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彼岸花 [花]

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      ヒガンバナ  彼岸花   ヒガンバナ科  ヒガンバナ属

 9月16日の記事に、シロバナヒガンバナの写真を載せた際、ヒガンバナの蕾の写真も掲載しました。
 その後、20日過ぎ頃から咲き始めましたが、今年最後の蕾が、今朝開き始めました。

 今年はかなり増えて、プランターに植えたものを含めると、50本ほどのヒガンバナが生えて来ました。
 狭い庭なので、纏まって植えられる訳ではないため、段々増えて来た球根を掘り出しては、4か所程に分散して植えてあります。

 

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 ヒガンバナは、中国から渡来した外来植物ですが、稲作の伝来と同時期頃には、日本に入って来ていたと考えられています。

 とても目立つ花なので、古い時代の和歌などに詠まれているのではないかと思い、調べて見たのですが、少なくとも僕が調べて見た範囲内では、見付けることが出来ませんでした。

     路の辺の壱師の花のいちしろく人皆知りぬ我が恋妻を  柿本人麻呂
                                  万葉集 11巻 2480

 万葉集の柿本人麻呂の、この↑歌にある「壱師の花(いちしのはな)」と言うのが、ヒガンバナであると言う説があるそうですが、僕の手元にある「岩波古典文学大系」本の「万葉集」(第三巻)には、エゴノキやクサイチゴなどの説は載っていましたが、ヒガンバナと言う説は、見当たりませんでした。また、角川ソフィア文庫版の「万葉集」(下巻)では、未詳としてあります。
 僕は、どちらかと言うと、無理に比定するよりも、未詳とする方が、より学問的な態度なのかも知れないと思っています。

 平安時代の和歌にでも、詠まれていないかと思い、八冊の勅撰和歌集を纏めた、「八代集」のCD-ROM版で検索もして見ましたが、まったく見当たりませんでした。 

 

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 ヒガンバナには、「死人花」「地獄花」「火事花」等と言う、どうも不吉なイメージの別名が、数多く見られます。

 この植物は、アルカロイド系の毒を含有していますが、球根から上質なデンプンが採れるため、一旦すりおろした球根を水に晒し、毒抜きをしたものを、救荒作物として食用にしていたと言われます。

 そうした、毒のイメージと、花の色の毒々しい程の赤さなどのため、昔から嫌われていたため、和歌に詠まれる機会がなかったのでしょうか・・・
 と言うことで、現近代になって、この花のイメージが些かなりとも変化するまでは、詩歌に歌われることはなかったのかも知れません・・・

 でも僕は、この花には何故か、和歌、或いは短歌が似合うような気がしています。

 

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      秋の野を 唐紅(からくれない)に彩れる  冷たき炎 彼岸花燃ゆ

 

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     静かなる 炎と見えし彼岸花 秋空の下 揺らぎ燃え立つ

 

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      仄白き 芽吹きの内に微かなる 紅を秘め 彼岸花萌ゆ

  

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     胸の内に 蟠(わだかま)りいる過ぎし日の 記憶の中に 彼岸花赤し


 ヒガンバナの歌を詠もうとすると、いつも「炎」のイメージが浮かんで来てしまいます。
 以前の記事を見ても、言うまでもなく拙い表現ですが、「炎」や「野火」という言葉を使って書いたものが殆どです。

 そう言えば、この花の姿から、博物館で見た縄文時代の「火焔土器(かえんどき)」を、思い浮かべることもあります。
 僕は多分、ヒガンバナを見た時に、本当の「火」ではなく、デザインされた「炎」のイメージを思い浮かべているのかも知れません。

 

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 今朝、開き始めていた、家の庭での今年最後のヒガンバナです。

 まだ、花弁が伸び切っていないので、何となく違う花のようにも見えてしまいます。

 

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 本来、ヒガンバナの葉は、花が完全に終わった頃に、地上に現れます。

 けれど、庭の一か所にだけ、毎年花よりも先に、葉が出て来る球根があります。

 それは何故なのか、いつ花が咲くのかと、毎年見ているのですが、今のところ不明です。

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 出来れば来年は、以前の記事にも載せた、シロバナヒガンバナが少しでも増えて、一緒に咲いてくれるといいのですが・・・


タグ:ヒガンバナ
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旅爺さん

燃える様な真赤な赤には元気が貰えそうな気がしますね。
なので一昨日山で一面に咲く彼岸花を見て来ました。
by 旅爺さん (2013-09-30 06:10) 

mimimomo

おはようございます^^
ヒガンバナは子供のころ『近づいちゃいけない』と言われていました。
きっと毒がある《花にもあると思われて》からなのだろうと思います。
縁起が悪い花とも言われていました。
でも綺麗なお花ですよね。わたくしは大人たちからそう言われるのがちょっと不満でしたよ^^
庭にあると言うのは良いですね。ヒガンバナの球根は自ら動いて上に上がるのでしたっけ・・・結局固まってくると言うのを何処かで読んだ記憶があります。
by mimimomo (2013-09-30 07:48) 

じゅんぺい

我が家も白い花が先に終わりました。面白いですね。
by じゅんぺい (2013-10-01 07:08) 

ゴーパ1号

みなさまの素晴らしい彼岸花のお写真を堪能していて
ふと、自分の目で今年は見てないな〜と気づいたのは昨日。
車を走らせていたらぽつりぽつりと。
by ゴーパ1号 (2013-10-01 11:13) 

きまじめさん

子供のころは忌花として家の庭には植えない花でしたが、
その美しさゆえに、今では秋を彩る花として
そこここのお庭で見かけるようになりましたね。
私も撮りに行ったのですがうまく撮れませんでした。
こちらで美しい姿を拝見させていただきましたので
それで満足しております。
by きまじめさん (2013-10-01 23:04) 

はてみ

『雨柳堂夢咄』というマンガの一話に、彼岸花の柄の打掛や小袖を好んだ花魁が出てくるのですが、壱師太夫という名前でした。
名づけの由来が、この記事を読んで14年ぶりにわかって嬉しいです(^^)
ところで本物よりalbireoさんの写真の花の方が美しく見えます。
自分が本物の花をちゃんと見ていないからですね、きっと。
by はてみ (2013-10-02 00:33) 

bun-ta

Ichiiです。
彼岸花、いい写真です。綺麗ですね。
詠まれた歌もすてきです。
彼岸花が外来種だとは知りませんでしたが、外来種は全体的に派手な花が多いので、言われて見ればどこか納得できます。
葉っぱだけ出てくる、お庭のそれが気になりますね。
稀にあぜ道の真っ赤な群生の中に、白い彼岸花があって驚きます。
お庭の白の彼岸花も楽しみですね。
by bun-ta (2013-10-02 01:07) 

ねこじたん

お庭にたくさん咲いたのですね
すごいな〜
今年は撮りに行けなそうなので
こちらで堪能できました♪
by ねこじたん (2013-10-02 08:09) 

さねさし

素晴らしい お写真と短歌 いつ伺っても レベルの高さに心打たれます
日向薬師の彼岸花 見に行ったときは きれいに草が刈られて一本の花も見られず 10日ほど過ぎていくともう遅かったりしました
by さねさし (2013-10-04 16:16) 

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