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身近な蝶 ~その2~ [昆虫]

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                         イチモンジセセリ   一文字挵     鱗翅目 セセリチョウ科

 今回の記事も、ごく普通の蝶ばかりです。

 このセセリチョウの仲間は、「蝶」ではなく、「蛾」の仲間だと思われている節があるような気もします・・・

 以前、補虫網を持って走り回っていた小さな女の子が、セセリチョウを捕まえて「蛾が入っちゃったよ~」と言って、網から追い出している姿を見掛けたこともあります・・・

 

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 でも、セセリチョウの仲間は、「蛾」ではなく、れっきとした「蝶」です。

 尤も、日本では蝶と蛾をかなり厳密に区別しますが、外国の言語の中には、蝶と蛾との明確な区別のない場合もあるようで、例えばフランス語ではどちらも、殆ど区別なく papillon(パピヨン)と呼ぶそうです。ただ、昼のパピヨンが蝶で、夜のパピヨンが蛾を指しているという話を、何かで読んだこともあります。(そう言えば、犬にもパピヨンという種類がありますが、それはその種類の犬の耳の形を蝶の翅に見立てての呼び名だそうです) 

 

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                               キタテハ  黄蛺  鱗翅目  タテハチョウ科

 この蝶もまた、蛾と間違われている可能性があります。

 また、全く傷付いていない個体でも、翅がボロボロになっているように見えたりしますが、それはそういうデザインになっているのだと、そんな話を聞いたことがあります。 

 

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 前の写真と似たようなポーズで写っていますが、全く別の日に撮った、それぞれ別々の個体です。 


 

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                             アゲハ  揚羽   鱗翅目  アゲハチョウ科

 アゲハの後を追い掛けているようなハチは、多分ドロバチの仲間だと思いますが、撮っている時には、ハチの存在には、勿論気づいていません。
 家に帰って、PCに画像を取り込んでから気が付きました。

 

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 この蝶が、本来の「揚羽蝶」です。

 他のアゲハとの区別のために、ナミアゲハとも呼ばれます。
 つまり、普通のアゲハと言うことで「並揚羽」です。

 よく似た蝶に、キアゲハがいて、近くの耕作放棄地の辺りでよく見掛けます。
 水田だった場所なので、キアゲハの幼虫の食草である、セリが沢山生えているせいだと思いますが、激しく飛び交っているばかりで、今のところ写真は撮れていません。

 

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                         アオスジアゲハ  青筋揚羽   鱗翅目 アゲハチョウ科


 「身近な蝶」の最後は、僕にとって最も身近な蝶、或いは身近にいて欲しい蝶である、アオスジアゲハです。
 とは言っても、毎年のように、ヤブガラシの繁茂する藪のような場所が失われて行き、今年はアオスジアゲハの写真が撮れるかどうかと、些か心配になることが多くなっています。

 今年は、つい最近記事にしたばかりですが、七月に入ってからまた何度か、アオスジアゲハの写真が撮れたので、改めてここに載せて置くことにします。

 変わり映えのしない写真ですが、撮影した日は天気も良かったので、トレードマークの青いネオンカラーが、幾らか鮮やかに写っているような気もします。

 

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 ところで、今年の流行色は「ネオンカラー(蛍光色)」だと、先日テレビで言っていましたが、アオスジアゲハは、流行とは関係なく、ずっとずっと昔から、美しいネオンカラーを身に纏っています。

 

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 「昔」で、思い出したのですが、江戸時代の画家「伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)」に、「芍薬群蝶図 (しゃくやく ぐんちょう ず)」という作品があります。

 芍薬の花と共に、何種類もの蝶の絵が描かれていますが、その中央付近に、芍薬に止まるアオスジアゲハが描かれています。
 以前、僕はその作品を展覧会で観たことがありましたが、その際、絵に描かれたアオスジアゲハの姿に、何となく違和感を覚えました。

 しかし、展覧会場は混雑していたので、立ち止まって観察することは諦め、家に帰って図録を眺めながら、その違和感の理由を突き止めることにしました。

 

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 そして分かった違和感の元は、若冲の絵のアオスジアゲハの後翅には、他のアゲハ類のような、「尾状突起(びじょうとっき)」が描かれていたことでした。

 アオスジアゲハの写真と、その前のアゲハの写真とを、見比べて頂ければ分かる通り、アオスジアゲハには尾状突起はありません。

 

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 若冲は、実物写生を重視した画家として知られていますが、あまりにも忙しなく、花から花へと飛び回るアオスジアゲハの本当の姿は、あの若冲をしても捉え難かったと言うことなのでしょうか…

 その為、他のアゲハの姿を参考に、尾状突起を書き入れてしまったのかも知れません…

 尚、念の為に、江戸時代の他の博物画家による、アオスジアゲハの図を何点か確認しましたが、当然のことながら、どれもここに載せた写真の通りの、尾状突起のない姿が、描かれていました。

 

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 家の近くの公園などには、アオスジアゲハの幼虫の食樹である、クスノキやタブノキが、割合沢山植えられています。

 そんな木々の葉に産卵をするために、見上げるほどに高い所を飛んでいるアオスジアゲハを、度々見掛けます。

 写真を撮ろうとしても、とても届かない高さを飛び交っているので、ちょっと悔しいような、焦るような思いが胸を過ります・・・


 

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  それでも、アオスジアゲハの青いネオンカラーの美しい翅の輝きは、連日の耐え難いような暑さを、ほんの一瞬だけ忘れさせてくれるような気もします。

 少なくとも、僕にとっては・・・

 

 


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mimimomo

おはようございます^^
セセリチョウは確かにガに思う人もいるでしょうね~そんな色合い^^
でも目がとても可愛く、わたくしは結構好きな部類の蝶です。
albireoさんの蝶のお写真は鮮明でとても綺麗ですね。
by mimimomo (2013-07-10 04:45) 

ぜふ

これらのチョウをあらためて見させていただくと、翅と体の大きさの比率がそれぞれ違っていておもしろいですね。
アオスジの忙しない翅のはばたきは相当シャッタースピードを稼がないと止まりませんが
どれも見事に撮れていてすばらしいです♪ さすが熟知されてるなぁと感心します^^

by ぜふ (2013-07-10 06:44) 

ゴーパ1号

若冲さん、そんな事もあるのですねえ。うふふ^^
今年は確かにネオンカラーが流行りです。
誰かが流行りといえば流行っちゃう世の中。
来年はネオンカラーなんて最悪〜。な〜んて言ってるギャルも出てくるかな。
そんな中でもアオスジアゲハのブルーは永遠ですね。
by ゴーパ1号 (2013-07-10 07:56) 

ichii

『伊藤若冲-芍薬群蝶図 』を検索して見ました。
本当にアオスジアゲハに尾状突起が描かれていて、不思議な感じでした。
ヤブガラシに来るアオスジアゲハは比較的近いところを飛んでいるのでしょうか?
クスノキに来るアオスジアゲハはあまりに上空過ぎて、よく見たくても見れませんが、albireoさんのおかげでこんなにはっきりとじっくりと美しいアオスジアゲハが見れて、本当に感謝です。

アオスジアゲハについて散文のような雑感を記事にしましたので、後程トラックバックさせて下さいね。
by ichii (2013-07-10 18:34) 

きまじめさん

ブログを始めるまで、私も イチモンジセセリ を蛾だと思い、
よく眺める事もありませんでした。
よくよく眺めるとおめめパッチリの可愛い顔をしていることに驚きました。
ぼけ写真でしたが、カメラに収めることができたときのうれしさ、今も覚えています。
by きまじめさん (2013-07-10 22:46) 

sakamono

子供の頃は、胴体の太いヤツが蛾、というふうに自分の中で分類していました。
でも、よく見ると、大きな蝶は、それなりに胴が太いですね^^;。
by sakamono (2013-07-13 15:56) 

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