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羽繕い ~雀~ [野鳥]

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 その時摘(つ)んで来たごんごんごまは、いつどうしたか定かには覚えないのに、秋雨(あきさめ)の草に生えて、塀を伝っていたのである。
「どうだい、雀。」
 知らぬ顔して、何にも言わないで、南天燭(なんてん)の葉に日の当る、小庭に、雀はちょん、ちょんと遊んでいる。

                                         泉 鏡花  「二、三羽  ―  十二、三羽」より

                                                鏡花短編集 所収 (岩波文庫)

  注: 「ごんごんごま」は、ヤブガラシの異称であるということです。

 前回の「メジロ」に続いて、「スズメ」です。
 決して、珍しい鳥ではありませんが、どちらも僕の好きな鳥たちです。

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  スズメ 雀  スズメ目  ハタオリドリ科


 スズメは、人間の生活と密接に係わっている野鳥で、人間が住んでいない場所では、スズメの生息も見られないと言います。

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 唐沢孝一・著「都会の鳥 生き残り戦略」(2009年 明治書院・刊)によれば「過疎の村から人がいなくなるにつれて、いつの間にかスズメの姿も消えてしまう」ということです。
 また、同著によると、スズメは人里以外では、猛禽類の生息する林の中などで生活していることがあり、その場合は猛禽類の巣にもぐって繁殖しているケースも監察されているそうです。
 スズメは、カラス等の天敵から、卵や雛を守るためには、人や猛禽類を上手く利用しているようです。

 
 人間が、そこで暮らして生活をしている訳ではない、オフィス街などにも、スズメは少ないということです。

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 そんなスズメは、家の近所にもまだ沢山いるのですが、写真を撮ろうとして近寄って行くと、あっという間に逃げ去ってしまいます。
 窓の外の、電線や木の梢に止まっているスズメを見付けて、カメラを持ってそっと窓に近付いても、やはり素早く飛び立ってしまいます。

 でも、都内で見掛けるスズメは、人が相当に近付いても、滅多に逃げようとはしません
 先日来、ブログ仲間の方たち(さねさしさん春分さんsakamonoさん・・・)の記事で、不忍池の辺で人の手に乗って餌を貰うスズメの写真を拝見しましたが、恐らく公園などでは、餌を与える人が多くいる為、人間を危険な存在とは、思っていないのかも知れません。

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 それに対して、僕の家の近くには、未だ畑や田圃もあるため、スズメが人から追い払われることも多く、決して人に心を許してはいないということなのでしょう…

 今回の記事の写真も、都内墨田区の「旧安田庭園」で、撮ったものです。

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 スズメは、灌木の枝に止まっていました。

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 ここに隠れて、スズメは羽繕いをしています。

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 「ああ、さっぱりした」
 スズメは、そんな顔をしています。 

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 こんな風に、羽を広げたスズメはあまり見ませんが、茶色と黒に、白い縁取りの翼は、なかなか綺麗です。 

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     暖かな陽射しの午後の公園

     そっと流れて行く優しい時間

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     こんなに穏やかなひと時が

     永遠に続くことを祈るように

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     小鳥たちの鳴き交わす声が

     静けさの中にそっと響き渡る

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 主に、人の住む場所でしか暮らせないスズメですが、最近の人間の住宅では、瓦屋根も減り、スズメが巣を作る場所が、減少しているそうです。 

 実際のところ、家も瓦屋根ではないので、何かパイプなどでも使って、スズメが住めるような場所を作れないものかと、考えているところです。でも、最近はカラスが多いので、その対策も考えねばなりませんから、もう少し検討が必要ですが・・・

 参考図書

鏡花短篇集 (岩波文庫)

鏡花短篇集 (岩波文庫)

  • 作者: 泉 鏡花
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1987/09/16
  • メディア: 文庫

野鳥 (ヤマケイポケットガイド)

野鳥 (ヤマケイポケットガイド)

  • 作者: 吉野 俊幸
  • 出版社/メーカー: 山と溪谷社
  • 発売日: 1999/03/01
  • メディア: 単行本
<おもしろくてためになる>鳥の雑学事典

<おもしろくてためになる>鳥の雑学事典

  • 作者: 山階鳥類研究所
  • 出版社/メーカー: 日本実業出版社
  • 発売日: 2004/02/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
都会の鳥―生き残り戦略 (学びやぶっく)

都会の鳥―生き残り戦略 (学びやぶっく)

  • 作者: 唐沢 孝一
  • 出版社/メーカー: 明治書院
  • 発売日: 2009/07
  • メディア: 単行本





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コメント 14

枝動

こんにちは。更新ペース、上がりましたね。(*^_^*)
albireoさんの花鳥風月に癒されておりますので、どんどん更新して下さい。
by 枝動 (2012-03-20 15:25) 

ぜふ

スズメは平凡ですが、その鳴き声は非凡にうつくしいと思います。
群れている風景も他の鳥の群れよりも平和的ですきですね^^
by ぜふ (2012-03-20 22:49) 

(。・_・。)2k

見事な写真ですね
スズメをここまで寄って見たことなかったです。

by (。・_・。)2k (2012-03-20 22:54) 

ゴーパ1号

気づけば鳥見からだいぶ遠ざかっている自分がいます。
きっと心に余裕が無いのでしょう。
でも、先日、ホーホケキョを聴きまして、嬉しくなった彼岸前でした。
by ゴーパ1号 (2012-03-20 23:15) 

ねこじたん

おいら 昔 落ちてたスズメちゃんを拾ったんですが
懐いてくれませんでした
ハタオリドリ科ってことは ツルさんと一緒???
by ねこじたん (2012-03-20 23:25) 

春分

旧安田庭園というのは行ったことがなかったです。良さそうな場所ですね。
by 春分 (2012-03-21 07:29) 

asahama

すっかりご無沙汰してしまいました・・・
雀、どの表情もいいですし、羽繕いの写真お見事です。
うちのだんなが雀の大ファンなのであとで紹介しよう!
by asahama (2012-03-21 11:22) 

じゅんぺい

そう言えば、あんまり見なくなりましたね。
冬にまんまるになるスズメが大好きです(^_^)
by じゅんぺい (2012-03-21 12:05) 

すずめ

雀たちをこんなに可愛くたくさん撮ってくださって、とっても嬉しいです。
私は雀の羽はとても美しいと前から思っておりました。
鮮やかな色イコール美しい、では語れない、日本の昔からの美術に通じるような、そんな美しい鳥だと思っております。
長く一緒に暮らしたおかげで、雀の鳴き声で、喜怒哀楽がなんとなくわかります。
のんびりとさえずる雀たちの声を聞いていると幸せです。
雀の表情がわかる美しい写真をたくさん拝見して、今はもういない私のちゅんたを懐かしく思い出しました。
by すずめ (2012-03-23 00:26) 

sakamono

人のいないに住むスズメは、猛禽類を利用しているなんて、面白い話です。
広げた羽の柄、確かにキレイですね。手乗りスズメには驚きました^^。
by sakamono (2012-03-25 13:41) 

きまじめさん

スズメを少し軽く見ていた気がします。
身のまわりに鳥がいない鳥がいないと言っていましたが、
こんなに可愛い雀がすぐそばにいたのですね。
羽を広げた様子、こんなに美しい羽根色をしていたのかと驚いております。
by きまじめさん (2012-03-26 00:17) 

mimimomo

こんにちは^^
ご無沙汰しました。
すずめは可愛いですね。でも仰るようになかなか写真を撮らせてくれません。
我家の軒下に時々スズメが巣を作るし、換気扇の穴も利用されます。

by mimimomo (2012-03-27 14:41) 

sera

うわ~すごいかわいいですね!
by sera (2012-04-08 20:12) 

ナナ

かわいい!
すずめさんに、思わず、癒されました♪
by ナナ (2012-04-19 17:08) 

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