ひなまつり [祭礼・行事]
あかりをつけましょ ぼんぼりに
お花をあげましょ 桃の花
五人ばやしの 笛太鼓
今日はたのしい ひな祭り
うれしいひな祭り
サトウハチロー 作詞 ・ 河村光陽 作曲
雛祭りの頃になると、雛人形は勿論、桜餅や雛あられを売る店先からも、聞こえて来るのは、この「うれしいひな祭り」か「赤いもうせん しきつめておだいりさまは 上のだん きんのびょうぶに ぎんのだい」という歌詞の「ひなまつり(作詞:林柳波)」のどちらかです。
この二つの歌の中では、僕はサトウハチローさんの、「うれしいひな祭り」の方が、詩としては非常に優れていると思っています。
でも・・・
僕は、この「うれしいひな祭り」の歌詞を聞いていて、些かの疑問を感じたことがありました。
二番の歌詞に「お内裏様と おひな様 二人ならんで すまし顔」という条りがあります。
「内裏(だいり)」と言う言葉は、宮中の天皇の住居である御殿を指しており、そこから転じて、天皇自体を指す言葉ともなっています。
そして、「内裏雛(だいりびな)」と言う場合は、天皇と皇后を象った人形として、男雛と女雛の一対を指しているということです。
また、「お雛さま」の「雛」とは、「雛型」(模型・あるいはミニチュア)を意味します。
つまり、「雛人形」とは、謂わば(恐らくは平安時代の)「天皇と皇后」の姿を象った雛型であって、「雛」という言葉には、この歌の歌詞が示していると思われる「お姫さま」や「お妃さま」を指すような意味はまったくありません。
ということで、残念ながら、これは作詞をされたサトウハチローさんの勘違いとしか言いようがありません…
しかし、この歌の、優しくて些か切ない歌詞と美しい旋律は、やはり名曲と言えると思います。
また、二番の上に挙げた歌詞に続く「お嫁にいらした 姉様に よく似た官女の 白い顔」という歌詞には、結婚を間近に控えながら、若くして亡くなったサトウハチローさんのお姉さんのイメージが投影されているのだともいいます。
因みに、この歌を作詞した際、サトウハチローさんは「山野三郎」のペンネームを使用されています。
昨年の、三月三日の記事「桃の咲かない桃の節句」にも載せた、僕の母の形見の、押し絵の雛飾りです。
昨年の記事に、この押し絵雛は、大正の末から昭和初期の頃に作られたもので、男雛と女雛の並び方が、現行の内裏雛の並べ形とは逆で、より古い形態のものである旨を書いた記憶があります。
これは、宮中の古くからの慣例で、天皇は向って右。皇后は、向って左という並び方が決まっており、古い時代の雛人形は、それに倣って男雛が向って右、女雛が向って左となったのだといいます。
ところが、明治以降になって、大正天皇がヨーロッパの風習に合わせて、皇后様との並び方をこれまでとは逆にされ、昭和天皇もそれを踏襲されたことが影響して、雛人形の並べ方も、男雛が向って左、女雛が向って右に変更になったとされているようです。
インターネット百科事典のWikipediaにも、そのような事が書かれています。
しかし、江戸時代の浮世絵等の絵画作品に、時折描かれている雛人形を見ると、基本的には男雛が向って右、女雛が向って左のようですが、その逆に飾られている例も、確かに見受けられます。
実際のところ、江戸の町人の間では、その辺りはかなりアバウトだったのかも知れません。
どうも、雛人形の並べ方には、時代的な変遷だけではなく、江戸と京阪との地域による違いもあるようで、もう少し詳しく調べて見る必要がありそうです。
子供の頃、近所の友達の家に、五月人形が飾られているのを見た事がありました。
でも、子供の頃の僕にとって、人形というものは、より女性的で可愛らしいものであるというイメージが強かったようで、勇ましい姿の金太郎の人形等には、何となく違和感を覚えた記憶があります。
今でも、人形というものは、美しく神秘的で、どこか近寄りがたく、それでいてとても愛おしい・・・そんなイメージが心の中を占めています。
知り合いの、高校生のお嬢さんが、修学旅行のお土産に、可愛いシーサーを送ってくれました。
この笑顔のシーサーも、何だかお雛様のように見えたので、ここに載せて置くことにします。
今年の桃の節句は、桃の花どころか、梅さえも漸く咲き始め掛けているという状況ですが、それでも少しづつは、春も近付いて来ているようです。
二月九日の記事に、蕾の写真を載せたアネモネが、漸く花を咲かせてくれました。
仏の座の優しい薄紫は、近付く春を告げてくれているようで、些かなりとも気分だけは、春の訪れを感じられます。
それでも尚、まだまだ寒い日は続きそうです。
どうか、皆さんもご健康には、充分にお気を付けて下さい。
昨年の記事、しっかり覚えております。
あっという間の1年でしたね。
今年も無事にひな人形を飾ることができて良かったです。
by ゴーパ1号 (2012-03-04 07:31)
おはようございます^^
お母様の形見の押し絵の雛飾りがとても素敵ですよね~
現代風も勿論良いですが、こう言うなんとも古式豊かなと言ったらいいのか、こういうのが
好きです。
日本人形って言うのでしょうか、女の子、愛くるしいお顔ですね^^
by mimimomo (2012-03-04 08:32)
“お雛様”というとやっぱり女雛を連想してしまいますが
確かに男雛って言いますよね。勉強になりましたm(_ _)m
そんな我が家は息子ふたりでは盛り上がりません。
お母さんは女の子だからと言っても却下されるし(苦笑)
by じゅんぺい (2012-03-04 08:52)
「桃の咲かない桃の節句」読ませていただきました。
お母様の形見の押絵の雛飾りを一年に一度だされる
お母様への思い素適です。
きっとよろこんでおられることでしょう。
桃の花は間に合いませんでしたが
アネモネが春を告げるべく美しく咲きましたね。
by きまじめさん (2012-03-04 22:18)
”桃の節句”という呼び方がすたれていきそうな気候変動ですね。
ホトケノザ、ずいぶんたくさん咲いてますね。
by ぜふ (2012-03-04 22:43)
3月3日の朝日新聞の「うたの旅人」にサトウハチローの「うれしいひなまつり」が取り上げられていて、まさに「お内裏さまとおひなさま」はあり得ない呼び名だと書かれていました。さらに赤い顔は右大臣でなく左大臣なのだとか。
うちにはお雛様がないので、確認できないのが残念ですが。
by はてみ (2012-03-04 22:44)
あ、はてみちゃんと同じ事を追記しようと思ってて^^
http://www.asahi.com/shopping/tabibito/TKY201203010324.html
ここに載ってます^^
by ゴーパ1号 (2012-03-05 22:40)
1枚目の写真は何んともきれいなお顔立ちのお雛さまです。
男雛、女雛の位置については私も色んな説を聞いた事があります。
うちはお雛様がないので、こちらで様々なお雛様を楽しませて戴きました。
お雛様は大人になってからその味わいや美しさをしんみりと感じられる気がしています。
ありがとうございます。
随分昔に作った『卒業式』の歌を、アコースティックギターのバージョンで公開しています。
お時間のある時にでも聴いて頂けたら嬉しいです。
by ichii (2012-03-07 21:39)
まったく知りませんでした。私も勘違いしていたウチの1人です^^;。
こうしてアップで見ると、美人さんですね。
by sakamono (2012-03-07 22:28)
押し絵の雛飾り、とっても素敵ですね!
件の歌詞の「お嫁にいらした」の解釈で、
「行った」のか「来た」のかずっと悩んでいるのですが
そういう背景があるとなると「行った」の方が正解でしょうか?
albireoさんならハッキリした回答をご存知でしょうか?
もしよろしければ何かの機会に教えてくださいませ。
by dino-tail (2012-03-08 09:25)