秋の日の花 [季節]
彼岸が過ぎた頃、庭の彼岸花が咲き始めました。
「彼岸花」という花は、何故かよく墓地に植えられているせいか、また仏教用語で死後の世界を指すと言われる「彼岸」という名を負っているせいか、庭に植えることを忌む人もいます。
でも、家では父親も僕も、そうした迷信めいた事をまったく気にしないので、庭には十数本の彼岸花が植えてあり、今年も色鮮やかな花を咲かせてくれました。
尚、「彼岸」という言葉は、「般若心経」の記述等を見る限りでは、「悟り」の後に行き付ける境地の事を言うのであって、必ずしも死後の世界というわけではないようにも思いますが…
夏は逝き
訪れる秋
たゆたうように
巡り行く季節
過ぎ去った時への
密やかな祈り
遠ざかる日々への
苦く甘い想い
悲しみに似た
切なさの彼方
すべては移ろい去り
二度とは帰らない
彼岸花の向こうの薄紫は、家の庭にかなり以前から植えられているヤブランです。
「蘭」という名が付いてはいますが、本当はユリ科に分類される植物です。
何処からともなく飛んで来た種から、昨年初めて花を咲かせてくれた、薄紅色のフヨウは、今年も柔らかな色合の花を咲かせてくれました。
少し大きくなり過ぎたキンモクセイの木は、そろそろ剪定をしなければなりません。
今年も良い香りを運んでくれ、更には家の前の道路をオレンジ色に染めてくれました…
実際のところ、後の掃除が大変ですが、何だか愛おしい花ではあります。
過ぎ去ったものは
年月もそして人も
二度と戻っては来ない
けれども新たな日々は
確かに目の前にあって
何度でも巡って来る
懐かしい季節のように
繰り返し繰り返して
穏やかに緩やかに
密やかな時を刻み続ける
ミゾソバというタデ科の植物を知ったのは、ブログを始めてからのことですが、今はこの可憐な花を見るのが、待ち遠しいような気さえするようになりました。
ミゾソバを探しに行くと、同じタデ科のイヌタデも咲いていました。
イヌタデは、そのピンク色の米粒のような花を「赤飯」に見立てて、「アカマンマ」或いは「アカノマンマ」等という俗称を持っています。
そしてツユクサ。イヌタデの近くに、沢山咲いていました。
この青がとても好きで、昨年庭の片隅に植えたのですが、今年はあまり咲いてくれませんでした…
今回の記事には、「秋の日の花」というタイトルを付けましたが、そこには秋の七草が含まれているわけでもなく、ただ九月の終わり頃から、十月も半ばに近付いた今日までに、庭に咲いた花と、家の近くの路傍や公園の片隅に咲いていた花々の写真を、謂わばただ並べてみただけのものになりました。
ただ、最後のイヌタデとツユクサの写真は、「露草や赤のまんまもなつかしき」という、泉鏡花の絶筆となった句を意識して撮っています。
いえ本当は、鏡花のその句を、ブログ「カイエ」の記事「鏡花の絶筆」の中で教えて下さった、So-netブログ仲間の今は亡き lapis さんを意識しながら…というのが真実ではありますが…
相変わらず、ブログの更新が思うように出来ていませんが、写真だけは僅かな時間の合間にも、何とか撮り続けています。
その中には、何故か今年は何度も撮る機会が巡って来た、アオスジアゲハとホシホウジャクがいます。その虫たちがまだ活動している内に、何とか記事の更新をしたいと思っているのですが…
追記: 前回の記事の初めに、「10月23日-秋分の日-」と誤って書き込んでしまっていたことを、ずっと気付かずにいたのですが、So-netブログ「自然な色と形」のアルファルハさんが、それをわざわざ教えて下さいました。お陰で誤りを正し、改めて「9月23日-秋分の日-」とすることが出来ました。
アルファルハさん、本当に有り難う御座いました。
田舎では彼岸花のことを、ゆうれい花と言ってました。
墓地でよく咲いていました。私は好きですけど、嫌う人もいるでしょうね。
by 枝動 (2011-10-11 02:28)
おはようございます^^
そのあたりに何気なく咲いているお花たち
albireoさんが写されると生き生きとしてきますね~
今年はミゾソバを見なかったです。まだどこかへ行けば有るかしらね~
by mimimomo (2011-10-11 05:12)
秋の花も、こんなに色とりどりなんですねぇ~
しっとりと落ち着いた「紅色」の彼岸花、
子どもの時に手折ろうとして「仏様のものだからいけない」と
叱られた記憶があります。
今年は露草をまだ見ていないので、探しに行こうと思います!
by dino-tail (2011-10-11 05:53)
いろんな花が咲いているお庭でうらやましいです。
ヒガンバナは今年咲くのが少し遅かったような気がします。
ミゾソバはまだ咲いてますね。なんともタイニーな花で撮るのは大変ですよね。。
by ぜふ (2011-10-11 06:53)
おはようございます。
詩、しみじみと拝見させていただきました。
by ゴーパ1号 (2011-10-11 08:53)
仏教、泉鏡花、庭の花と言う話題であれば、lapisさんを思わずにいられません。
少しその後の話ができそうですから、どこかでまたお会いできればと思います。
平地の紅葉の頃には少し私も時間もできそうに思います。
by 春分 (2011-10-11 11:42)
ヤブラン、我が家でも咲いていますが、気にもしていませんでした。
albireo さんの写されたのを拝見すると、
なかなかいいものだとあらためて見直しました。
by きまじめさん (2011-10-11 23:14)
とても美しいお写真 いつもalbireo さんのお写真のような写真を撮りたいと思いながら 未だ撮れたことがありません
実は今lapisさんのところに伺いましたが
「客さまがお探しのページは見つかりませんでした。」 と
エラーページになっていました
lapisさんにもいろいろと教えていただいたり とても好きだった方です 亡くなられたショックはしばらく続きました
今また 記事が見られないとはショックです
9月にも私の娘のような若い方の大好きだったブログの方が亡くなり
とても寂しい思いをしております
by さねさし (2011-10-12 20:26)
彼岸花をこんなふうに見ると、また違った美しさがありますね。
私は、どう撮ったものか、と思い悩んでいました^^;。
また、詩が沁み入りました。
by sakamono (2011-10-15 19:18)
ミゾソバはタデ科の植物だったんですか?
ミゾソバの花は好きで、群生を見つけると嬉しくなります。
タデの可愛いピンクの花も好きなので、同じ中間と知って更に嬉しくなりました。
彼岸花の妖艶な姿といい、いつもながら美しい写真の数々に心が洗われるようです。
そういえばアオスジアゲハの写真は今年は未だですね。
実は我が家に、たまたま前回飼育していた幼虫にやっていたクスノキの葉に着いていた卵が2個、成長し蛹になりました。
今年は外から持ってきた幼虫は尽く寄生されていて全滅でした。
この屋内で育った2体はきれいな蛹ですが、この時季に成虫になっても、と不安に思いながら様子を見守っています。
大好きなアオスジアゲハ、なかなか上手く写真を撮れないので、いつもこちらで楽しませて頂いています。
by ichii (2011-10-16 14:03)