仙人の白いひげ [野草]
中国の古典に『抱朴子(ほうぼくし)』という本があります。
この本は、当時の「神仙思想」に基づいて著された書物で、仙人になる為のさまざまな方法等が書かれています。
著者の「抱朴子」(284~363)は、本名を葛洪(かつこう)という、中国の晋王朝(しんおうちょう:265年 ~420年)時代の人物です。
仙人になる方法の一つに、「尸解(しかい)」というやり方があるといいます。
これは、死後に自分の死体から抜け出して、仙人となる方法ですが、抱朴子もまた、尸解によって、仙人になって去ったと、後世にはそう思われていたと言うことです。
…突然のように、そんな奇妙とも云える書物のことを書いたのは、上の写真の植物の名前から、不意に、随分昔に少しばかり読みかけた、『抱朴子』を思い浮かべててしまったせいです。
この少し変わった感じの綿毛の付いた実を持つ植物の名は、「センニンソウ(仙人草)」。
名前の由来は、この白い綿毛を、仙人の髭に見立てたことに由るものだと言います。
花の方は、昨年の9月に「センニンソウとボタンヅル?」のタイトルで、このプログにも、写真を載せたことがあります。
一度、その綿毛を見たいと思っていたのですが、僕がこの花を見付けた場所が、道路脇の藪の中のせいか、以前果実が出来る頃に行って見ると、既に刈り取られていて、跡形もありませんでした。
そこで、今年は花の咲いた蔓を少しばかり切り取って、家に持ち帰えり、それを更に短く切って、プランターに土を入れて、挿して置きました。
すると、その内の一つが、花が終わった後、白い綿毛を見せてくれました。
根付いたのかと思って、枯れた茎をそっと引っ張って見ましたが、残念ながらそうではありませんでした。
でも、こうして幾つもの種が出来ているようなので、取り敢えずはこのままにして、来年の春を待って見ることにしました。
このプランターや、庭の土の中から、仙人草が芽吹くことを、微かに期待しています。
ところで、センニンソウには、ボタンヅルという近縁種の植物があります。
その二種類の花は、とてもよく似ているのですが、葉の形状がはっきりと異なっています。
それは、昨年の記事にも書きましたが、その際、僕はセンニンソウとも、ボタンヅルとも、見分けのつかないような葉を持つ花を見付けました。
今年は、その花のことをもっと良く調べてみようと思っていたのですが、さまざまに慌ただしい状況の中で、それは叶いませんでした…。
でも、見たかった綿毛を見ることが出来たので、取り敢えずは満足ということにしたいと思います。
それにしても、この綿毛から仙人を連想するというのも、なんとも面白いことです。
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参考図書
おはようございます^^
もう綿毛が出来て終わり近いかしらーー
見に行けると良いのですが時間は容赦なく過ぎ去りますね~
by mimimomo (2009-10-30 07:10)
蔓性なのですね!おもしろいなぁ。
by ゴーパ1号 (2009-10-30 08:49)
抱朴子は存じませんでした。いろいろ教えて頂ける。
by 春分 (2009-10-30 21:04)
この9月にセンニンソウの綿毛を初めて見ることができ、感動しました。
ふしぎな姿ですよね。
by はてみ (2009-10-31 11:12)
センニンソウの、この綿毛を初めて見た時は感動しました。
それまで、花しか見たコトがなかったので...
「尸解」というのは、「帝都物語」という小説の中で聞いたコトがありました^^;。
by sakamono (2009-10-31 16:32)
センニンソウの綿毛を見て初めて仙人草なのだと実感しました。
綿毛の広がる様子もとても綺麗で面白いです。
いつか育ててみたいもののリストに入れてあります(^^;
by HEIJI (2009-11-01 02:48)
センニンソウは見たことがないんです、、、
仙人のひげを連想させるのは面白いですね
花には色々イメージが膨らみますね、
物語りは色々面白いのがありますね♪
by sera (2009-11-01 22:26)
HEIJIさんと同じで、尸解仙という言葉は、大学時代に読んだ『帝都物語』で初めて知りました。
『抱朴子』は、面白そうですね!
まだ、読んだことがないので、そのうち読んでみたいと思います。
by lapis (2009-11-03 23:30)
やわらかそうな綿毛ですね。まだ見たことがありません。
仙人になる方法はほかにもあるんですね。
その、「尸解」というのはかなり難しそうですから。
by penpen (2009-11-07 21:55)
仙人になるためのさまざまな方法ですか・・
死後に抜け出す・・
なんか、「西の魔女が死んだ」とふと思い出しました
by ナナ (2009-11-08 20:48)