暗闇の妖精-昆虫編 <アブラゼミの羽化> [昆虫]
前の『カラスウリ』 の記事に、『暗闇の妖精』というタイトルを付けましたが、僕にとっては、夏の夜だけに出会える、もう一つの妖精がいます。
それは、羽化したてのセミです。
↑ 上の写真は、7月20日の夜に撮ったアブラゼミですが、既に11時を過ぎていたため、羽の色もかなり濃くなって来ていました。
その後は、なかなか羽化しようとするセミを見る機会がありませんでしたが、8月1日の夜、漸くアブラゼミの羽化の様子を見ることができました。
その際に撮ったのが、以下の写真です。
数年振りで、アブラゼミの羽化のほぼ全過程を記録することが出来ました。
写真は、全15枚となりますが、宜しければ、どうぞご覧下さい。
2009年8月1日 20:05
8月1日。
土曜日の夜、7:30過ぎ頃に、勤め先から帰宅すると、庭のセンリョウの木の葉に掴まって、じっとしているセミの幼虫を見付けました。
一旦、家に入って用事を済ませてから、8時過ぎにセミの様子を見に行くと、もう幼虫の殻を破って、セミが羽化しようとしているところでした。
その為、幼虫の背中が割れ始めるところから、写真を撮ることはできませんでした。
先ほど、セミの羽化の「ほぼ全過程」と書いたのは、そういう意味からです。
20:16
セミは、 少しづつ殻を抜け出して行きます。
20:19
殻を抜け出して、自由になった前脚を、時々動かしています。
20:37
セミは、この状態で暫くぶら下がっています。
この日は、時折少し強い風が吹くことがありました。
その度、逆さにぶら下がったセミは、大きく揺れます。
木の葉が急に揺れ動くと、このまま落ちてしまうのではないかと、些か心配しましたが、幸いなことに、それは杞憂に終わりました。
20:48
羽化の開始から、約40分が過ぎました。
アブラゼミは、漸く上体を起こし始めます。
20:48
少しづつ、前脚を伸ばし始め、掴まる場所を探ろうとしているようです。
20:49
漸く上体を起こしたセミは、前脚で自分の殻につかまります。
20:49
殻につかまって、しっかりと体を支えると、セミは殻の中に残った尻尾の部分を抜き出し始めました。
20:49
もう少しで、完全に殻を抜け出そうとしています。
20:49
これで、すっかり殻を抜け出せましたが、まだ翅は縮んだ状態のままです。
20:51
また暫く、こうしてぶら下がったまま、翅が伸びて行き、そして乾燥するのを待ちます。
20:53
この時のアブラゼミの姿を見ると、僕は北の海に棲む、「クリオネ」を思い浮かべます。
虫嫌いの人には、些かグロテスクに感じるかも知れません。
でも、昆虫好きの僕には、何だかとても可愛い姿に思えます。
20:55
翅が少しづつ伸びて来ましたが、このアブラゼミは、この時羽化直後からぶら下がっていた場所から、少し上に登ろうとし始めました。
恐らくこの時、伸びて行く翅が、下にある葉に触れたからでしょうか?
今までの観察例では、この時点での移動はあまり見たことがないように思います。
まだ乾き切らない柔らかな翅が、何か硬い物体に触れると、翅が変形してしまうことも考えられます。これは、それを避けようとする行動だったのかも知れません。
この後、アブラゼミは、更に少しづつ移動をして、やがて羽化を開始した時点でつかまっていた葉の裏側に移ってしまいました。
21:02
すっかり伸びた翅は、素晴らしく美しい色をしています。
21:57
まだ、完全には、翅が乾き切ってはいませんが、セミの羽化は完了しました。
恐らく、もう数時間ほどたてば、アブラゼミは、昼間普通に見るような、もっと濃い茶色になる筈です。
本当は、深夜に、もう一度写真を撮りに行きたかったのですが、翌日の日曜日も早朝から出掛けなければならない用事があったので、これ以上遅い時間の撮影は断念しました。
相変わらず、思うように時間が取れず、8月1日から毎晩少しづつ記事を書いて、漸く「公開する」のボタンを押せるようになりました。
その間に、「夏休みの自由研究」や「セミの羽化」に関する検索ワードで、僕のブログを見て下さった方たちがいらっしゃったようです。
そこで、夏休みの自由研究の参考になればと思い、セミの羽化の過程の写真に、それぞれの時間を表示しました。
この時間は、それぞれの個体差や、その日の気象状況にも影響を受けると思われますので、実際の観察の際には、あくまでも参考としてお役立て下さい。
尚、セミの羽化の観察は、原則的に夜間の野外活動になりますので、様々な意味で、充分に注意をして行って頂きたいと思います。
セミの羽化 関連記事
http://albireo190.blog.so-net.ne.jp/2008-07-27
http://albireo190.blog.so-net.ne.jp/2007-08-09
http://albireo190.blog.so-net.ne.jp/2006-08-05
http://albireo190.blog.so-net.ne.jp/2005-07-28
HP 風の森 「昆虫写真館」
http://www015.upp.so-net.ne.jp/albireo/konchyu-01.html
こんにちは^^
毎年お疲れ様です。
見せていただく度に、観察をして見たいと思うのですが
とても探し出せません《蚊に刺されると思うとちょっとひるみます》
albireoさんはどうやって蝉の羽化している場所を探し出されるのかしら、それが不思議^^
by mimimomo (2009-08-07 11:56)
私も2日ほど前にセミの羽化を見ました。帰宅時です。撮りませんでしたが。
9時過ぎでしたから、翅は伸びていました。なるほど参考になりますね。
でも、ここを丸写しする子供はいないだろうなー。ばれるぞー。やめとけよー。
by 春分 (2009-08-07 21:42)
見事にとらえましたね。
家の庭の木にも、抜け殻が沢山ありますが、羽化は見た事無いです。
今年は、蝉が少ないような気がします。
by kaisersd (2009-08-08 00:38)
お見事!
by gillman (2009-08-09 10:26)
以前にも見せていただいた記憶があります。
羽化したばかりは、実にキレイな色合いをしてますね。
2時間近くの撮影もスゴイですが、楽しかったでしょうね^^。
by sakamono (2009-08-12 08:15)
最近は見ることがありませんが、
子供の頃はセミの幼虫を捕ってきては庭の木につけて
朝早く羽化を確認したものです。
以前、早朝に近くの神社へ散歩途中で寄った時、
一本の木に何十匹というすごい数の幼虫がぶら下がっているのを見かけ、
驚いた事があります。
本当はじっと観察したかったですけどね。
こちらで、久しぶりに色付く前の翡翠のような美しい姿に会えて
とても嬉しいです。
by ichii (2009-08-14 11:46)
本当に、羽化の様子は神秘的ですね
私は見たことはないですけれど・・
この間、桃の保育園(お寺)で、セミの幼虫が運動場をよろよろ歩いていたんですよね
それを、保育園の子たちが囲んでみていたんだけど・・皆恐がって触れないんです
そしたらね、桃がその輪の中に入っていって、セミを捕まえて、木のある所まで連れて行って、幹に止まらせたんですよ
もうね、それだけで、子供たちとそのお母さんたちに大絶賛されてました
「かっこいい!」って!
桃も予想外だったみたいで、ちょっと恥ずかしそうでしたけど、得意気でした
(*´艸`*)
by ナナ (2009-08-15 23:27)