黒い蝶 ―ナガサキアゲハ― [昆虫]
十月最後の日曜日、アザミの咲いている斜面を登って行くと、藪の向こうの遠くの花に止まる黒いアゲハが目に止まりました。
見慣れたクロアゲハとは、ちょっと違う感じがします。
僕は、間にある藪を踏み越えて、その黒いアゲハに近付いて行きました。
ナガサキアゲハ 長崎揚羽 鱗翅目 アゲハチョウ科
近付いて見ると、やっぱり普通のクロアゲハとはどこか違います。
見ている内に気付いた事は「尾状突起(びじょうとっき)」がないことです。
翅が、特にこの写真の位置からでは見えない、向こう側の翅がかなり傷んでいます。
しかし、翅の様子から見ても、付いていた尾状突起が千切れてしまったとは思えません。
アゲハの仲間で、尾状突起がない種類は、「ナガサキアゲハ」だけであるといいます。
ということは、これはナガサキアゲハに違いないと思いました。
帰って、早速図鑑に当たってみると、赤い斑紋の様子から見てもやっぱりナガサキアゲハです。
ナガサキアゲハは、本来近畿地方以西から、南西諸島に生息しているチョウです。
しかし、最近は関東地方での目撃例が増えています。
つまり、ここ千葉県の北部でナガサキアゲハを見掛けたということは、やはり地球温暖化の影響ということに繋がってくるようです…。
因みに、「ナガサキアゲハ」の名は、かのシーボルト博士の命名になるものだといいます。
また、メスの翅はもっと白い部分が多いようですから、この固体はオスだと思われます。
ツマグロヒョウモン(オス) 褄黒豹紋 鱗翅目 タテハチョウ科
こちらもまた、地球温暖化の一つの象徴のように言われることの多い、ツマグロヒョウモンです。
ツマグロヒョウモン(メス) 褄黒豹紋 鱗翅目 タテハチョウ科
このメスのツマグロヒョウモンも、ナガサキアゲハと同じ日に撮ったものです。
こちらも、アザミの花に吸蜜に来ていました。
このチョウを見ると、地球温暖化という現実が、目前に迫っていることを思い浮かべます。
けれど同時に、このチョウの美しさには、思わず見蕩れてしまい、その姿をカメラに収めようと、いつしか夢中になっている自分に気が付きます。
どう言ったらいいのか解らない、矛盾した想いが心の中で鬩ぎ合っている…。そんな気分になります…。
最後のこの写真は、今日十一月四日に撮った、オスのツマグロヒョウモンです。
枯れ草の上で休んでいましたが、シャッターを切りながら近付いて行くと、七枚目を撮った時に、元気に飛び立って行きました。
まだ、比較的暖かいとは言え、もう十一月です。
本来、温暖な地域に生息している筈のチョウたちですが、関東地方での繁殖を繰り返すうちに、耐寒性もついて来たのでしょうか…。
あるいは、それほどに温暖化が進んでいると言うことでしょうか…。
参考図書
おはようございます^^
ナガサキアゲハって綺麗ですね~。もしわたくしが見つけても、きっと即座に違いなんて分からないです。さすがalbireoさん・・・
日本でも生態系がどんどん変わっていっているようですね~。
by (2007-11-05 04:45)
長崎アゲハは、以前わが家の夏みかんの木に来ていましたが、今年は殆ど見かけませんでした。余り長く止まっていないので、撮りにくい蝶ですね。
by Silvermac (2007-11-05 10:24)
albireo さんのブログでツマグロヒョウモンを教えていただいて、見つけたときはとても嬉しかったです。
今度はナガサキアゲハも見てみたい~
by konkon (2007-11-05 20:47)
ご無沙汰していますm(_ _)m
我が家にも半袖が一匹…って、温暖化とは関係ないかな(笑)(笑)
by じゅんぺい (2007-11-06 05:01)
蝶の模様は指紋みたいね、
みんなそれぞれ違うかな、、
きれい♪
by sera (2007-11-06 08:39)
今朝のNHKテレビでも地球温暖化による悪い害が放送されていました こちらの記事をさきに見ておりましたら 真剣に見たのですが 家事をしながら聞いていましたので 沖縄にしか生息していなかったカタツムリのような貝?が九州でも10センチほどの大きさになっているのが見つかったとか
秋の蝶 元気に飛び立ってよかったですね
by さねさし (2007-11-06 16:25)
ナガサキアゲハ、などというチョウがいたのですね。今度、黒いチョウを見かけたら、注意して見てみようかと^^;。尾状突起がないところがポイントですね。
by sakamono (2007-11-08 00:23)
ツマグロヒョウモン、とても綺麗ですね!
確かに生態系の変化は怖いですが、蝶自体は魅力的だと思います。
本当に、難しい問題ですね。
by (2007-11-10 10:51)
ナガサキアゲハ、初めてです。ツマグロヒョウモン、綺麗ですね。耐寒性がついてきたと思いたいですね。
by penpen (2007-11-11 21:49)
お越しいただき、ありがとうございました。
ツマグロヒョウモンもナガサキアゲハも本来、南のチョウなので、本当に温暖化なんだな~と小さいチョウが警鐘を鳴らしているようで、私も複雑なんですよ。
美しいし、かわいい・・・好きなので、人工的に飼ってしまっていますが、本来は(ナガサキアゲハはまだ、勉強不足ですが)暖かい地域で成虫で冬を過ごすようなチョウが、北の方でどうやって越冬できるのか・・・。
耐性もできて幼虫で過ごす個体も増えているようですが、多くは声もなく絶えてしまっているんじゃないかなと思うと・・・可哀想です。
今、我が家にいる蛹も、来春まで蛹でいてくれ~と願って、北側の寒い部屋に置いているのですが、昨日ツマグロのメスが2頭、羽化しました。
ナガサキアゲハの蛹の色も緑から黒に変わっています。
複雑な思いで放蝶すると思います。
by (2007-11-14 07:44)
私実は蝶が苦手なんですが…
何故かalbireoさんの写真だと美しいなぁ~って感じます。
albireoさんの蝶への「愛情」がにじみ出ているからかもしれませんね。
by dino-tail (2007-11-15 11:29)