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秋の日―蝶の羽ばたき― [昆虫]

    ウラナミシジミ  裏波小灰蝶   鱗翅目  シジミチョウ科

前の、「秋の日」に載せた写真のウラナミシジミに比べると、翅の後ろの方が、少し傷ついているようです。それは、もしかすると鳥にでも襲われて付いた傷かも知れません。
だとすると、この蝶の翅の後方に付いている尾状突起(びじょうとっき) と、丸い目玉のような斑紋が、立派にその役目を果たしたということになります。
何故ならば、この尾状突起と目玉模様の斑紋は、それぞれを触覚と目に見せることで、鳥などがそこを蝶の頭だと思って狙って来た時に、素早く飛んで逃げ去るために付いているものだと考えられているからです。

 

   ヤマトシジミ  大和小灰蝶   鱗翅目  シジミチョウ科

しかし、どのシジミチョウも、そんな尾状突起や目玉のような斑紋を持っているわけではありません。
ヤマトシジミは、もっとも普通に見られるシジミチョウの仲間ですが、多くのシジミチョウと同様に、尾状突起は持っていません。

  モンシロチョウ  紋白蝶   鱗翅目  シロチョウ科 

モンシロチョウは、春を象徴するような昆虫ですが、実際には三月から十一月くらいまで、年に六回以上も発生しています。
秋型のモンシロチョウは春型に比べて大きく、何となく落ち着いた雰囲気を感じます。

 

        秋の陽射の中を

        白い蝶が舞う

        緩やかな輪舞(ロンド)

        密やかな(きらめ)


        あの空はあまりに高く

        憧れは果てしなく遠い

        生きて行く苦しみと

        在ることの切なさと


        誰の胸の奥にも

        そっと潜んでいる

        悲しみたちをすべて

        風の中へ解き放って


        そして一つだけでも

        叶えたい夢を抱いて

        きっと訪れるはずの

        明日を信じていよう

 

モンシロチョウは、ほぼ世界中に分布しています。
日本には、縄文時代ころにアジア大陸から、おそらくは栽培植物と共に移入して来たのであろうと考えられています。

 

   ヒメアカタテハ  姫赤蛺   鱗翅目  タテハチョウ科

ヒメアカタテハは、初夏から秋にかけて現れる蝶です。
しかし、どちらかというと秋によく見かけるように感じます。

とは言っても、秋も深まって来るころになると、かなり翅も傷んで来ます。 

このヒメアカタテハは、ヨーロッパにも分布しています。
そして、ヨーロッパに住むヒメアカタテは、アフリカ大陸まで海を越えて集団で移動するといいます。
それほどの蝶ですから、例え傷ついた翅でも力強い羽ばたきを見せてくれていました。

かなり前の記事ですが、ここ に、7月頃のまだ綺麗な翅のヒメアカタテハがいます。
http://blog.so-net.ne.jp/albireo/2006-07-25

 

 

    アカタテハ  赤蛺   鱗翅目  タテハチョウ科

アカタテハとヒメアカタテハは、かなりよく似ています。
もう少し、翅の斑紋がよく分かる写真を撮りたかったのですが、あまりにも近くに止まってくれたため、返って上手いタイミングが掴めませんでした…。
実は、アカタテハを写真に撮ったのは、この時が初めてでした(多分…)。
ですから、もう一度出会う機会があれば、今度こそはと思っています。

 

 

    キタテハ  黄蛺   鱗翅目  タテハチョウ科

キタテハによく似た蝶に、シータテハやエルタテハという蝶がいます。
それは、翅の裏にそれぞれ、アルファベットの「C」や「L」に見える、小さな白い斑紋を持つことによって付けられた名前です。
しかし、実はこのキタテハにも、翅の裏には「L」に似た斑紋があります。
それを見てしまうと、一体どちらなのかと、思わず迷ってしまったりもします。

そこで、キタテハの見分け方としては、下の翅の黒い斑紋の上に、白い斑紋がはっきりと見えることが、一つのポイントになると思います。

 

ところで、実はもう一種類、本来であれば関東地方には生息していなかった蝶と出会いました。
それは、例のツマグロヒョウモンと共に、地球温暖化によって生息域を広げて来たと考えられている蝶です。
多分、次回はその蝶の記事になる筈です。

 

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コメント 9

おはようございます^^
お馴染みはシジミ蝶くらいですね~。いろんな蝶をよく見つけられますね・・・
先日、泉自然公園でお結び食べていたら、シジミ蝶がお弁当を包んでいた
アルミホイルに止りました。それこそ近すぎてカメラを構えることも出来ませんでした(><)
by (2007-11-02 05:06) 

sakamono

秋の日差しが羽に透けているモンシロチョウがキレイだなぁ...ヤマトシジミはよく見ていると思うのですが、ウラナミシジミとか、他のシジミチョウを見た記憶がないです。見てみたいと思います。○○タテハの違いがよく分かる写真です。これで、今度見た時、見分けられるかな^^;。
by sakamono (2007-11-02 07:51) 

はるまきママ

モンシロチョウは世界中に分布しているんですか!
漠然と、日本固有種だと思い込んでいました。。。
蝶は春のイメージなのですが、光の色味が秋を感じさせますね。
by はるまきママ (2007-11-02 11:07) 

konkon

albireo さんは色んな種類の蝶を呼ぶ魔力をお持ちなのかしら?
今日、私もツマグロヒョウモンを見ました。
弱ってじっとしてるみたいでした。
by konkon (2007-11-02 20:39) 

Silvermac

私も先日「アカタテハ」を撮りましたが、アクロバットてきに止まってたのでうまく撮れませんでした。図鑑で見ても名前を探せませんでした。
by Silvermac (2007-11-03 11:49) 

渋樹

今日、ヤマトシジミを見ましたが、可愛いものですね^^
by 渋樹 (2007-11-03 15:12) 

アルファルハ

秋に触れ、一つだけでも叶えられる夢が皆に
訪ねて来てほしいですね。
by アルファルハ (2007-11-04 19:49) 

秋の穏やかな陽射しが、蝶の魅力を引き立てていますね!
特に3枚目の暖かな色彩が、好きです。
by (2007-11-10 10:42) 

penpen

2羽?の白いモンシロチョウが「輪舞」にぴったり。アカタテハもヒメアカタテハも見かけません。キタテハは今年野菊に止まっているのをかなり見ましたが。
by penpen (2007-11-11 21:57) 

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