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菊譜 <きくふ> [古書・古文書]

         芥子園画伝(かいしえんがでん)二集 菊譜(きくふ) 下冊より
                           嘉永三年(1850年)十一月

上の菊の絵は、『芥子園画伝』という古い木版本に載っていたものです。
これは、日本で刊行された本ですが、元になった原本があります。それは中国の清の時代に刊行された、絵の描き方を教える本でした。

清国で刊行されたのが1679年で、最初は山水画、樹木、人物の描き方等を解説した本でしたが、好評だったため、二集・三集として花の書き方の本も出版されました。
また、この出版の成功に便乗した別の商人が、人物の描き方の本を四集として出版したそうです。
いつの時代にも、便乗商法というのはあるものですね・・・。

この『芥子園画伝』は、日本でも寛延元年(1748年)頃から、模刻版が刊行され、池大雅や与謝蕪村などの南画家に影響を与え、更に浮世絵版画の技術にも影響を及ぼしたと言われています。

今回の記事に掲げた絵は、幕末頃に日本で刊行された、『芥子園画伝』二集の内の「菊」の描き方を解説した分冊から抜き出したものです。
僕の手許にあるのは、『芥子園画伝』の二集の内の、この『菊譜』上下二冊のみですが、これは今から150年ほど昔の嘉永三年に、京都で刊行されています。

嘉永三年と言うと、三年ほど後には江戸湾に黒船が現れるという、騒然とした時代でした。また、この年には西日本は凶作で、飢饉の為、幕府は米などを支給したと言うことです。


実は、この記事を下書きした後、少し以前に so-netブログのどこかで、『芥子園画伝』の絵を拝見した記憶が蘇って来ました。
そして、本当に so-netブログだとすれば、もしかするとそれは lapisさんの記事なのではないかと思い、まだコメントの遣り取りをさせて頂く以前の記事を検索させて頂きました。

すると、やはりlapisさんの記事に載っていました。
こちら↓が、lapisさんの記事です。
http://blog.so-net.ne.jp/lapis/2005-05-11

lapisさんは、僕の持っている本より更に40年ほど昔に、日本で出版された、初集と二集を所有されているそうです。

 

『芥子園画伝』にも、黄色い菊が幾つも描かれていますが、僕は菊というと黄色い花をイメージしてしまいます。

黄色い菊に、特別な記憶も思い入れもないので、それが何故なのかよく分かりません・・・。

 

実を言うと、この記事は昨年の11月16日に書いて、下書きの状態にしていたものです。文章の推敲をしているうちに、菊の時期が過ぎ、下書きのままに終ってしまいました…。

今回、記事を公開するに当たって、写真を新しいものに差し替えようかとも思ったのですが、昨年の写真とは言え折角撮ったものなので、そのまま残すことにしました。

近いうちに、今年撮った菊の写真も、記事に載せる予定です。

 


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じゅん

江戸時代には、さらには中国にはもっと古く、
「絵の教科書」があったのですね。
僕も何故か菊と言うと黄色い物が印象に強いです。
カールした鮮やかな黄色の花弁が、何とも華やかです。
by じゅん (2006-11-18 21:31) 

konkon

albireo さんは貴重な古文書をお持ちなんですね。
私も、菊と言えば、まず黄色が浮かびます。
by konkon (2006-11-18 22:41) 

TBありがとうございました。
皆さん同様、僕も菊というと黄色いイメージが強いです。
albireo さんの香るような菊の写真を拝見すると、君主の花に相応しい気品を感じました。
記事中で、拙記事をご紹介いただき、ありがとうございました。
『芥子園画伝』などをめくっていると、和本の素晴らしさをしみじみと感じます。
江戸時代の本が、下手をすると昭和の本より綺麗だというのは、本当に驚きです。
こちらからもTBさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
by (2006-11-18 22:51) 

おはようございます^^
albireoさんは高尚な趣味人ですね・・・
こういう本を手に入れるって大変でしょ?
昔も今も勉強の方法は似ているのかしら。今もハウツー物って売れていますよね。
一年前の下書きのままのをよくちゃんと取り出せますね・・・
by (2006-11-19 06:08) 

じゅんぺい

すっかりご無沙汰してしまっていますm(_ _)m
なくなった父が定年後に備えて(?)菊を数年やっていました。
やっぱり白や黄色のイメージが大きいですね~。
by じゅんぺい (2006-11-19 07:11) 

dino-tail

日本画は本当に情緒豊かでいいですね。
花さきから段々薄桃色になるところがとてもいい感じです。
黄色い菊はちょっと「おいしそう」と思ってしまいます…(苦笑)
by dino-tail (2006-11-19 10:17) 

詩織

菊って、死者への花のようなイメージしかなくて、あまり惹かれなかったのですが、
最近菊祭りに行って、菊を撮りまくったときに、その魅力に引き込まれました。
すごく優雅で、華麗な花なんですよね。
だから、昔から、愛されてきたのでしょうね。
by 詩織 (2006-11-19 13:16) 

あやこ

近所でみかけるお花はこれかなぁ。。。
黄色い鮮やかなお花の色と葉っぱの濃い緑の対比がとてもきれいだなぁと思いながらみています^^
昔の本でカラーのを見るとどんなインク(染料)を使っていたのかなぁ?と思います
by あやこ (2006-11-19 19:02) 

kone

素晴らしい絵ですね♪
菊が生きている感じがすごくします♪
by kone (2006-11-20 07:48) 

uminokajin

開いた瞬間、ドキッとしました。
by uminokajin (2006-11-20 08:01) 

mippimama

貴重な古書をお持ちですね
菊は日本古来から愛されていたのね^^
by mippimama (2006-11-20 09:08) 

150年も前のものなのに、とてもきれいな状態ですね。
私も菊というとやっぱり黄色か、白をイメージします。
by (2006-11-24 01:00) 

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