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瑠璃小灰蝶(ルリシジミ) [昆虫]

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        青いチョウ

                 ヘルマン・ヘッセ
                  高橋健二  訳

     小さい青いチョウが
     風に吹かれて飛ぶ。
     真珠母の色のにわか雨のように、
     きらきらとちらちらと光って消える。

     そのようにたまゆらのまばたきで、
     そのようにふわりと行きずりに、
     幸福が私をさし招き、きらきらと
     ちらちらと光って消えるのを、私は見た。

            ヘッセ全集10  孤独者の音楽
                       詩集 階段 所収
                 新潮社版 1983年刊行

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   ルリシジミ ♀   瑠璃小灰蝶 雌    鱗翅目  シジミチョウ科

 ルリシジミが止まっているのは、前の記事のニワナナカマドの葉です。 

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 ニワナナカマドの蕾が、膨らみ始める頃、ルリシジミが訪れます。 

 
 ルリシジミは、ニワナナカマドの蕾へと、卵を産み付けて行きます。

 それは、ルリシジミの幼虫の食草が、バラ科やマメ科の植物の蕾や花びらだからです。

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 今年も、ルリシジミはニワナナカマドの枝を飛び回りながら、何度も卵を産み付けていました。

 でも、僅か2~3mm程のニワナナカマドの小さな蕾に産み付けられる卵は、更に小さいため、なかなか見つかりません。

         

 そこで、2005年に撮った、ニワナナカマドの蕾に産み付けられた、ルリシジミの卵の写真を、2005年6月16日の記事から、ここに転載して置くことにします。

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 ほぼ毎年、ニワナナカマドで見掛けるルリシジミですが、翅の表側は、滅多に見せてはくれません。

 でも、シジミチョウの仲間は、午後になると日光浴をするかのように、木の葉や石などに、翅を開いて止まってくれることがあります。今回は、その瞬間を待ってみました。

 ルリシジミも、他の多くのシジミチョウ同様、雌雄で翅の色等が異なりますし、個体差も見られるようです。

 雌雄の差で言えば、雄の方がより青い色をしていますが、この個体は産卵に来た雌であるため、些かくすんだような色をしています。

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 この蝶の名前にある「瑠璃(るり)」に就いては、かなり以前に「永遠の青」という記事にも書いていますが、古代インドのサンスクリット語で「バイドゥーリヤ」及びその俗語形の「ベールーリヤ」を、唐の時代の頃の中国で、仏典を翻訳する際に「吠瑠璃(べいるり)」と音訳したことから派生した言葉で、恐らくは鉱物の「ラピス・ラズリ」を指す言葉だと考えられています。

 そのラピス・ラズリを砕いて作られる顔料や絵具は、「群青」或いは「ウルトラマリン」と呼ばれる色です。
 その意味では、少なくともこの個体の翅の色を「瑠璃」と呼べるかどうか些かの疑問も感じますが、それでもこの蝶が舞い飛ぶ時には、冒頭に引用したヘッセの詩のように、 きらきらとちらちら と、思わず目を奪われるほどに、青く美しく煌めいて見えることも確かです。



 

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 ニワナナカマドの花には、蜜を求めてハチの仲間やアブやハエの仲間も、沢山訪れて来ます。

 そして、前回の記事の写真を撮っている時には、花の蜜を求めて来る訳ではない、トンボも止まっていました。

 未だ未成熟なアキアカネです。
 この日には、藤崎森林公園の菖蒲田でも、アキアカネを撮りましたので、次回はトンボの記事を書く予定です。

 


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コメント 12

ゴーパ1号

小さなシジミちゃんの小さな小さな卵!
by ゴーパ1号 (2012-06-24 22:55) 

ぜふ

ルリシジミは身近に居るうつくしい翅をしたチョウですよね。
キレイなオスを見つけたら思わず追い掛け回してしまうことも^^
でもこうして見るとメスの翅の色も奥ゆかしくてなかなかいい感じですね。
アキアカネ、でてきましたね。トンボの季節♪
by ぜふ (2012-06-25 06:47) 

mimimomo

おはようございます^^
ルリシジミの実物は見たことがないのだと思いますが、
美しいですね~ 飛んでいると青いお色が見えるのですよね~?
見てみたいわ。
昨日はクロイトトンボ(?)を写しました。
by mimimomo (2012-06-25 07:22) 

はてみ

幸せの青い蝶…でしょうか。
ラピスはラテン語で石、ラズリはペルシア語からきた青の意と、最近仕事で知りました。
なぜラテン語とペルシア語がまざったのか、疑問です。
by はてみ (2012-06-25 21:18) 

albireo

◇ ゴーパ1号 さん
最近は、小さいものに近寄って撮るのが、ちょっと苦手になりました・・・

◇ ぜふさん
ルリシジミは、なかなか止まってくれないのですが、今回はやっと撮れました。
色々なトンボに出会いたいものです。

◇ mimimomoさん
飛んでいる時には、本当にきらきらしてとても綺麗です。
mimimomoさんのトンボの写真、楽しみにしております。

◇ はてみさん
ヘッセの詩では、幸福も煌めきながら消えて行きますが、ルリシジミが飛んでいる姿を見る時には、一瞬の幸せを感じているのかも知れません。
ラピスラズリの語源に就いては、僕も不思議に思って、前に記事を書いた時に調べて見たのですが、結局分かりませんでした・・・
by albireo (2012-06-25 22:01) 

ねこじたん

難しいことは全くわかんないですけど
ちいさいちいさいとこに
もっと ちいさいちいさい 卵をつける
神秘的ですね
by ねこじたん (2012-06-25 23:30) 

きまじめさん

写真でもこんなに美しい翅の色をしたシジミチョウですから、
実際、青く美しく煌めいて飛んでいるのを見る事が出来たら、
美的感覚のない私でも、その姿のとりこになってしまうと思います。
by きまじめさん (2012-06-26 00:46) 

(。・_・。)2k

凄い接写に驚きです
見事な写真ですね(^^)

by (。・_・。)2k (2012-06-26 01:10) 

albireo

◇ ねこじたんさん
小さい蝶なので、卵も小さくて、でも確かに神秘的です。

◇ きまじめさん
そう珍しい蝶でもないのですが、なかなか止まってくれないので、実は僕もあまり見ていません。
でも、飛んでいる時には、本当にきらきらしています。

◇ (。・_・。)2kさん
あの頃は、小さいものを撮ることが、然程大変ではなかったのですが、段々撮るのが辛くなっているかも知れません。
過去データがあって良かったと思います。
by albireo (2012-06-26 23:13) 

ichii

ルリシジミを始めて見た時は、あまりにも美しくて新種を発見したかと思いました。(笑)
昆虫関係のブログで知りましたが、シジミチョウの卵は、その種類によって突起の数や形状がガラリとかわるんですよね。
自然は不思議です。

by ichii (2012-06-26 23:29) 

sakamono

このチョウが舞い飛んでいると、表側がきらきらちらちらと...なるほど!
by sakamono (2012-06-27 22:49) 

albireo

◇ ichiiさん
シジミチョウは、小さいけれど、魅力的な蝶ですね。
でも、身近にいて写真が撮れるものは、案外少ないです。

◇ sakamonoさん
本当に、きらきらとちらちらと 輝いているように見えました。
by albireo (2012-06-28 00:20) 

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