秩父 観音霊場 [社寺]
随分、日が経ってしまいましたが、四月九日に行って来た秩父の観音霊場(観音札所)の写真です。
冬の寒さがなかなか去らない事もあって、病院への通院とリハビリ以外は、あまり外出をしていなかった父親ですが、秩父へなら行って見たいと言うので、車で出掛けて来ました。
秩父の札所は三十四か所ありますが、今回は日帰りで七か所へ寄って来ました。
以下は、お寺に行った順番と、宗派と御本尊の名前です。
一 番 四萬部寺 (しまぶじ) 曹洞宗 聖観世音菩薩
二 番 真福寺 (しんぷくじ) 曹洞宗 聖観世音菩薩
三 番 常泉寺 (じょうせんじ) 曹洞宗 聖観世音菩薩
四 番 金昌寺 (きんしょうじ) 曹洞宗 十一面観世音菩薩
九 番 明智寺 (あけちでら) 臨済宗 如意輪観世音菩薩
七 番 法長寺 (ほうちょうじ) 曹洞宗 十一面観世音菩薩
十三番 慈眼寺 (じげんじ) 曹洞宗 十一面観世音菩薩
その他に、二番 真福寺の納経所である「光明寺」へも寄って来たので、お寺としては八か寺です。
第一番札所 四萬部寺 (しまぶじ) 曹洞宗 聖観世音菩薩
四国の八十八か所は別にして、観音霊場は外に、西国三十三か所と坂東三十三か所とがあります。
三十三という数字は、観音菩薩が三十三の姿に化身をして、あらゆる立場の人々を救うという信仰に依るものです。
秩父も、本来は三十三か所だったそうですが、三つの霊場を合わせた九十九か所に、もう一つを加えると百か所になるため、秩父を三十四か所にしたのだと言います。
こうしたお寺を「札所(ふだしょ)」と言います。
元々は、参拝の際に木製の札を納めたり、お堂に打ち付けたりしていたため、札所と呼ばれるようになりました。
また、自ら写経した経巻を納めることもあり、「納経所」という言葉もあります。
現在は、大抵の社寺では、300円程を納めると「御朱印」を頂くことが出来ますが、本来の「御朱印」は「納札」や「納経」の受領証として発行されるものだったそうです。
今も、信仰の篤い人はそうしているようですが、僕は単に「御朱印」のみを頂いて来ました。
一番の四萬部寺本堂の壁面には、地獄の図と極楽の図が掛けられています。
先ずは、地獄の図です。
こちらが、極楽の図。
第二番札所 真福寺 (しんぷくじ) 曹洞宗 聖観世音菩薩
第二番の真福寺は山の上にあり、かなり細い山道を走らねばなりませんでした。
途中で、対向車が来たら避ける場所もない道ですが、幸い行きには対向車に会わずに済みました。しかし、下りの道ではトラックと出会い、道に慣れているらしい対向車が、バックをして通してくれました。
三十四ものお寺の中には、住職のいない小さなお堂等もあります。
今回行った中では、第二番の真福寺がそうでした。
その場合、「納経」の受領や「御朱印」押印は、別のお寺で行います。
真福寺の場合は、2kmほど離れた、光明寺が「納経所」になっています。
光明寺も曹洞宗の寺院ですが、元々の宗派は真言宗だったということです。
ここは、非常に格式の高いお寺で、真福寺の他にも、三番 常泉寺や、四番 金昌寺なども、嘗ては末寺だったそうです。
光明寺の境内に安置された、如意輪観音の石仏。
これは、まだ新しい像です。
光明寺の山門の外に置かれた、如意輪観音の石仏。
年代は分かりませんでしたが、かなり古い像です。
第三番札所 常泉寺 (じょうせんじ) 曹洞宗 聖観世音菩薩
僕の父は、脳梗塞の後遺症で、歩行が思うように行かないため、習志野市の社会福祉協議会から、車椅子を借りて来ました。
しかし、秩父へ着いてみると、お寺の境内は、石段や境内の段差の為に、車椅子が案外使えないことが分かりました。
ただ、三番の常泉寺は、駐車場から本堂まで距離が遠いので、ここでは借りた車椅子を活用させて頂きました。
常泉寺境内の六地蔵。
常泉寺の石仏の下に咲いていた、タチツボスミレ。
第四番札所 金昌寺 (きんしょうじ) 曹洞宗 十一面観世音菩薩
四番の金昌寺は、多数の石仏群で有名です。
今回の記事の冒頭に写真を掲げた「慈母観音像」(または「子育て観音像」)は、金昌寺で一番人気のある石仏で、本堂の上に設置された柵の中に祀られています。
尚、この金昌寺の石仏に就いては、後に別の記事にする予定です。
上の写真は、金昌寺の仁王門です。
一つ前の記事の「芝山仁王尊」の仁王門と同様に、門の前には「草鞋(わらじ)」が掛けられています。
これは、この大きな草鞋を履くほどの巨大な「金剛力士(こんごうりきし)」が、寺を守っていることを表して、魔物の侵入を遮る為の、一種の呪物と考えられるもののようです。
因みに、「仁王」とは「二王」とも書きますが、口を開いた「阿形(あぎょう)」と口を閉ざした「吽形(うんぎょう)」との、一対の「金剛力士」を指しています。
また、「草鞋(わらじ)」に就いては、現在では登山家の一部が、川を渡る際などに使うくらいで、全く一般的な履物ではありませんから、これを「草履(ぞうり)」と、思われる方が多いかも知れません。
「草鞋(わらじ)」と「草履(ぞうり)」との違いは、ビーチサンダルのように突っ掛けて履く「草履(ぞうり)」に対して、「草鞋(わらじ)」は、足首に結わえ付ける縄が付いていて、脱げ難い形状になっていることにあります。足首にベルトを掛けて留めるタイプの、現代の女性用の履物に近いかも知れません。まあ草鞋は、そんなにお洒落なものではありませんが・・・
第九番札所 明智寺 (あけちでら) 臨済宗 如意輪観世音菩薩
秩父の観音札所は、埼玉県秩父市・秩父郡横瀬町・秩父郡皆野町・秩父郡小鹿野町に点在しています。
街の中の狭い道も多く、車で走っていると、小さな標識を見落としたりして、本当は次に五番を目指したのですが、いつの間にか道をそれて、武甲山に近づいてしまい、次に辿り着いたのは横瀬町にある、九番の明智寺でした。
秩父の札所のお寺は、曹洞宗が非常に多いのですが、ここは同じ禅宗でも臨済宗でした。
他には、真言宗と天台宗のお寺もあるのですが、今回行けたお寺は、明智寺を除けば、すべて曹洞宗でした。
第七番 法長寺 (ほうちょうじ) 曹洞宗 十一面観世音菩薩
折角だから、武甲山のよく見える所に行こうと思い、探していると七番の法長寺に辿り着き、そこの駐車場から武甲山を撮りました。
武甲山は、石灰岩が産出される山で、セメントの原料を採る為に、山が削られています。
しかし、昨日のテレビのニュースでは、武甲山の山開きが報道されていましたが、毎年多くの登山者が訪れるそうで、山頂付近では、カタクリの花も見られると言う事でした。
また、武甲山に近付いて行くと、最近のニュースに映像が映っていた、被災地の瓦礫を受け入れたセメント会社も見えましたが、車を止められず写真は撮れませんでした。
第十三番 慈眼寺(じげんじ) 曹洞宗 十一面観世音菩薩
最後に、十三番 慈眼寺を参拝して、今回の秩父札所巡りは終わりにしました。
本堂前には、大きな桜の木があり、丁度満開の花を見ることが出来ました。
前にも書いた通り、今回の秩父行きの為に、社会福祉協議会から、車椅子を借りて来ましたが、神社にしろお寺にしろ、石段が多いこと、境内に砂利が敷き詰めてあること等の為に、車椅子の使用は物理的に制限されてしまいます。
今回利用できたのは、駐車場から本堂まで距離が長い三番札所の常泉寺と、帰りに寄った道の駅くらいでした。
でも、以前テレビで紹介していた、地方のリハビリを専門に行っている施設では、敢えてバリアフリーを避けて、バリアを増やすことによって、リハビリを推進するという取り組みをしていました。
そういう意味では、ただバリアフリーにすれば良いということではないのかも知れません。
父も、家に帰って来てから、いいリハビリになったと言っていましたので、それはそれで良かったのかも知れないと思っています。
今回は、七か所を巡っただけでしたので、何れまた出掛けて来たいと思っています。
ただ、札所のお寺の中には、かなり山深い場所にあるところもありますから、現状ではすべてを巡ることは難しいかも知れませんが、何年かを掛けて、少しづつでも行けるようにしたいものです。
三十三と三十四はそういう意味があったんですね。
お年寄りはあえて二階に住まわせるという話を聞いたことがあります。
by ぜふ (2012-05-03 07:04)
おはようございます^^
秩父の札所は34箇所ですか。わたくしは四国に行きたいと思いますが、夫が
秩父で良いといいます。歩いて周りたいですが、それこそ何年がかりになるものやら^^
by mimimomo (2012-05-03 09:26)
地獄の彫り物 怖いですね~
極楽と天国は違うんですかね?
天国は 酒は美味いし姉ちゃんは綺麗だというけど
極楽に 綺麗なお姉ちゃんが居ない気がしました(^^;
by (。・_・。)2k (2012-05-03 10:24)
お寺の表情もそれぞれ違うのですね〜
by ゴーパ1号 (2012-05-03 13:02)
禅寺が多いんですね。
西国の方で巡礼したいと思うのですが、なかなか、結願できるかどうか・・・・・。
私は、お寺へ参拝した時必ず読経します。写経は時間に制限がある為、なかなか納経出来ません。そこで、自分の中で読経を納経として、御朱印頂いて帰ります。
by 枝動 (2012-05-03 22:33)
父が札所めぐりをするのに、無理やりつきあわされたことを思い出します。
今思えば…と色々胸に去来するものがあります。
お寺というと山にあるのが多いけど、車いすの使える参道が整備されてもいいですね。
できればお寺の雰囲気を壊さないような色とか形で。
by はてみ (2012-05-04 00:53)
知らなかった!
「わらじ」と「ぞうり」の違い。
何も気にせず使っていました。
さすがalbireoさん。覚えておきます♪
それがまた魔物に対するハッタリ的な意味合いがあるなんて、面白いですね
少し微笑ましいです
by ナナ (2012-05-06 22:50)