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春の生きものたち [季節]

春の野原。
桜の花びらの中に、柔らかな薄紫のスミレが咲いていました。
カメラを手にしたまま見ていたら、傍らの草の中で何かが飛び跳ねました。

それは、小さなアマガエルでした。

 

散った桜の花びらが、その小さな体に張り付いていました。
花びらを取ってやろうと、手を伸ばすと、アマガエルはビョンピョンと飛んで逃げて行きます。

 

  ニホンアマガエル  両生綱 無尾目 アマガエル科

何度も飛び跳ねた後で、ちょこっと一休み中のアマガエルです。

ニホンアマガエルは、ごく普通に見られる小型のカエルです。目の辺りの黒い部分が、見分けのポイントになります。

小さなアマガエルは、この後再び跳ねて行き、やがて緑の草の中で、見失ってしまいました・・・。

 

この毛むくじゃらな昆虫は、アブの仲間です。

僕は、もしかすると初めて見た昆虫かも知れません。
でも、見てすぐに名前は分かりました。
ビロウドツリアブです。

子供の頃、植物図鑑と昆虫図鑑が大切な愛読書だった僕にとって、この虫は図鑑の中ではずっと顔見知りの友達なのです。

だから、初めて会った気は全然しませんでした。

 

  ビロウドツリアブ 天鵞絨吊虻 ハエ目 ツリアブ科

ビロウドツリアブは、1cm程の小さなアブです。

ホバリングをしながら、長いくちばしで花の蜜を吸います。
その様子が、花から吊り下げられているようなので、ツリアブと名づけられたようです。
また、柔らかそうな体毛のイメージから、天鵞絨(ビロード)の名を冠されています。

成虫は、花の蜜を吸いますが、幼虫はハナバチの幼虫やサナギに寄生して大きくなります。

ビロウドツリアブは、4月から5月頃まで、晩春から初夏のころの短い期間だけに見られる昆虫です。

春の短い期間に咲いて散って行く野草を、「スプリング・エフェメラル」と呼びます。
ephemeral とは、「束の間の儚い命」という意味ですが、このビロードツリアブもまた、スプリング・エフェメラルと呼んでもいいような気がします。
 

   キジバト ハト目 ハト科

街中で見掛けるハトとは、ちょっと違うハトです。

見分けるポイントは、首の模様です。

鳴き方も、街中にいるカワラバト(或いは「ドバト」とも呼ばれています)の「クルックー」に対して、キジバトは「デデッポー」です。

キジバトは、薄紫や黄色い花が咲いている野原を、のんびりと歩いていました。

 

 

        暖かな春の陽射し

        柔らかな緑の草原

        やさしい風が吹いて

        生命たちは目覚める


        哀しみが胸の奥に

        蟠っているとしても

        始まりの季節の中へ

        きっと歩き出せる


        青く遠い空への憧れ

        生きることの喜び

        すべてが蘇って行く

        降り注ぐ春の光の中

 

 

   ムラサキサギゴケ  紫鷺苔  ゴマノハグサ科 サギゴケ属

紫の花は、ムラサキサギゴケです。

ムラサキサギゴケは、春から夏にかけて、比較的長い花期を持っています。
昨年は、白花にも出会えたのですが、今年は今のところ見掛けていません。

昨年の記事です↓
http://blog.so-net.ne.jp/albireo/2006-05-31

 

   ヘビイチゴ  蛇苺  バラ科  ヘビイチゴ属

黄色い花は、ヘビイチゴです。

季節が変わって行くと、次には赤い美しい実が見られます。

 

   サキグロムシヒキ  ハエ目 ムシヒキアブ科

ムシヒキアブの仲間は、他の昆虫を捕まえて、その体液を吸い取って餌にします。
ちょっと恐いアブですが、この仲間は人を襲うことはありません。

この仲間で、少し大きいシオヤアブは、蜂などを捕りますが、サキグロムシヒキは小型のチョウなどを狙うようです。

 

  ニリンソウ  二輪草  キンポウゲ属  イチリンソウ属

三枚の輪生する総苞葉から、普通は2本の花柄が立ち上がり、一つづつの花を付けます。
それで、ニリンソウと呼ばれるのですが、実際には一つの花のものや、三つの花のものもあります。
二つ花のあるもので、一つはすっかり開花していても、一つはまだ固い蕾だったりもします。

必ずしも、二つの花が並んで仲良く咲く訳でもありません。

 

   アシブトハナアブ 脚太花虻 ハエ目 ハナアブ科

ニリンソウに止って蜜を吸っていたのは、アシブトハナアブ。

普通のハナアブと似ていますが、後脚の腿にあたる部分が太い為に、「アシブト」名付けられています。

この写真には、上手い具合に後脚が写っていてくれました。
そうでなければ、多分名前は不明のままに、終わってしまったかも知れません。

 

 


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コメント 15

はてみ

アマガエルは花びらがくっついていても気にしていないみたいですね。
3枚目の光を浴びているような写真が好きです。
図鑑が愛読書、というのはなんとなく少しはわかる感じです。
でも残念ながら自分はそうでもありませんでした。
by はてみ (2007-04-22 20:58) 

konkon

詩と文章と写真、感動しながら読みました。
まさに「スプリング・エフェメラル」
albireo さんのブログは感動と学習のページです。
アマガエルはアクセサリーに桜の花びらをつけたつもりかしら。
去年の鷺ゴケのページに行ってみたら、私がalbireo さんに恐る恐るコメントを入れた初めてのページだったので、びっくり!!
by konkon (2007-04-22 22:34) 

おはようございます^^
少しお時間にゆとりがおできになったようで、嬉しい限りです(^^)
アマガエルって可愛いですよね~。大きなカエルは‘ちょっと~’ですがアマガエルは見ていても色が綺麗だし、楽しいですよね~。
この頃ニリンソウも増えましたね。結構群落があります・・・
さすがalbireoさん 虫のことにはお詳しいですね・・・とてもわたくしには無理だわ。
by (2007-04-23 05:38) 

uminokajin

キジバトとドバト、鳴きかたも違うのですね。
ハトはよく庭にくるのですが、知りませんでした。
by uminokajin (2007-04-23 06:26) 

Silvermac

私も、昨日アマガエルを見ました。
by Silvermac (2007-04-23 08:59) 

はるまきママ

アマガエルの写真を見て、「田植えの季節がきたなぁ」と思ってしまいました。(田舎住まいなので…)
ムシヒキアブ、最近よく見かけていたのですが名前が判らずにいた虫でした。こちらで名前が判って、ちょっとすっきりしました。^^
by はるまきママ (2007-04-23 11:27) 

sakamono

アマガエルの写真がいいなぁ、と思いながら拝見しました。少し、くすんだような、周りの草の緑とちょっと違った色合い。今年は、まだカエルに会っていないなぁ、と思いました^^。
by sakamono (2007-04-23 12:55) 

じゅんぺい

カエルくんがかわいい!!!
なんだか童話の世界に迷い込んだような気分になりました♪

>この虫は図鑑の中ではずっと顔見知りの友達なのです。
ゆうきも同じなのでしょうね(^-^)
今は植物に夢中です!!!担任が理科の先生なので
もっと理科の授業を増やして欲しいと直談判したらしいです(笑)(笑)
by じゅんぺい (2007-04-24 05:11) 

m-tamago

albireoさん、こんにちは。
私も春の野にでかけたような気分で楽しみました。
桜の花びらのついたアマガエル、かわいいです~。
最近野原に行ってないなぁ。
by m-tamago (2007-04-24 12:17) 

さねさし

先日土筆を写していると かわいい かえるがでてきて 喜んで 撮りましたが 目の片方が閉じていて 片方はしっかりあけているようで 不思議に思いました ホバリングのお写真大好きです

ナイスありがとうございました
by さねさし (2007-04-24 21:31) 

puripuri

アマガエルはピョンピョン跳ねても花びらはついたままで、まるで撮って、、
とアピールしているみたい。 こちらのスミレと同じのを見かけたのですが
低くて撮りづらく諦めてしまいました。
ビロウドツリアブ、、ビロウドは懐かしい響きです。
by puripuri (2007-04-24 22:37) 

春は生命に満ちてくるので、やはり素晴らしいですね!
ヘビイチゴの花、久しぶりに見ました。
ニリンソウの花も可憐ですね!
by (2007-04-26 00:08) 

penpen

1枚めの春の野原が素敵ですね。小人さんになってこの世界に入りたいです。虫さんもいっぱい出てきましたね。私も今年このビロードツリアブを見つけました。でもかなりのスピードで次から次へと移動しますね。写せませんでした。キジバトの首の模様には気が付きませんでした。今度じっくり観察してみます。
by penpen (2007-04-26 21:48) 

あやこ

桜の花びらの中のスミレ とても素敵です^^
桜って散っても素敵ですよね^^
by あやこ (2007-04-27 20:39) 

春分

きれいなスミレですね。
ビロードツリアブは、私も見ました。春の森も楽しいですね。
今年はまだ、カエルを撮ってません。声は聞いていますが。
by 春分 (2007-04-28 15:26) 

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