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スズメバチ <コガタスズメバチ> [昆虫]

    コガタスズメバチ 膜翅目 スズメバチ科

秋頃になると、あちこちでスズメバチに刺されたという、被害報告が報道されます。
そして、蜂の巣が駆除されたことが伝えられます。

勿論、刺されて被害を受けた方や、亡くなられた方には非常に気の毒なことです。

しかし、深い山中や、人の住むあたりであっても、高い木の梢に作られた巣は、一様に危険なものであるとは言えません。

 

人間は、農作物や園芸植物に害を為す昆虫を、かなり恣意的に「害虫」と呼んで来ました。

そして、そうした害虫を捕食するような昆虫を、「益虫」と呼んでいます。

こうした分類を、スズメバチの仲間に当て嵌めるとすると、スズメバチたちは「益虫」として数えられる昆虫に含まれることになります。

オオズメバチは、クヌギなどの樹液をも舐め、他のスズメバチは花の蜜をも吸いますが、主要な食糧として、多くの「害虫」を捕食することはよく知られています。

と言うことは、ただスズメバチを駆除する方向だけで考えることは、決して正しいことではないと言えるのではないでしょうか。

先日、NHKテレビのニュースで、埼玉県北本市の自然観察公園の取り組みを見ました。
そのニュースによれば、自然観察公園にいる希少な「チャイロスズメバチ」を保護するために、蜂の巣の脇に「スズメバチよけのトンネル」を作り、人間がそのトンネルを通るようにしているということです。
つまり、サファリ・パークなどでの見学の仕方と、同じ方法という訳です。

スズメバチの中で、もっとも危険な種類は「オオスズメバチ」です。
僕が子供の頃には、カブトムシを探しに行くと、クヌギなどの樹液を求めて来ているオオスズメバチをよく見かけたものでした。しかし、住宅が立ち並ぶ現在、家の近くではその姿を見ることはまったくありません。

ひたすらに駆除だけを考えて行けば、やがては他のスズメバチも希少種となって行く運命にあります。

僕は、「自然保護」などという、おこがましくも思い上がった言葉は大嫌いです。
しかし、何かの方策を講じなければ、スズメバチにも人間にも、困った状況は続いて行くような気がしてなりません…。

人も蜂も、本当はどちらも自然の一部であり、自然に与えられた生命(いのち)なのですから…。

今回の記事の「コガタスズメバチ」は、小型という名前ですが、働き蜂の体長が2.8センチほどあり、スズメバチの仲間全体から見ると、中型の蜂です。この写真でも、ヤブガラシの花と比較して頂ければお分かりの通り、決して小さな蜂ではありません。

このコガタスズメバチは、毒性は比較的強くないようですが、それでも刺されると相当に酷いことになります。
僕は、一昨年の秋に手を刺されてしまい、一週間ほど腫れが引きませんでした・・・。(台風で落ちてしまった巣を、取り片付けようとして刺されました)

 

確かに、スズメバチの仲間は、不用意に巣に近付くと、巣を守ろうとして攻撃をして来ますから、とても危険です。

しかし、実を言うと、こうして餌を採取している蜂は、さほど危険ではありません。
僕は、子供の頃から蜂に慣れていることもあり、この時も数センチまで近付いて撮っていますが、まったく恐いという感覚は持ちませんでした。

でも、蜂に慣れていない方は、蜂が飛んだ瞬間などに、除けようとして、大袈裟な動きをされることがあります。そうすると蜂の方が恐れて、攻撃して来る場合もあるので、出来るだけ近付かないことをお奨めします。

また、蜂は香水の香りなどを、花の香りだと思って蜜を求めて来ることもありますから、特に女性で、香りの強い化粧品を好まれる方は要注意です。
観光地でも、多少とも野山を歩くような場所へ出かける時は、お化粧は控えめにした方が無難です。

そして、スズメバチは黒い髪の毛を目当てに襲ってくるともいいます。それは、熊がよく蜂の巣を狙って来るため、黒い毛を見ると、熊だと思って防衛のために襲って来るのだという説があるそうです。ですから、夏から秋にかけての登山やハイキングには、白い帽子を被った方が良いと言うことです。

一度蜂に刺されると、体内に抗体が出来るため、二度目以降に刺されると、死に至る場合もあると言われています。

ただ、それにも個人差があるようで、中学生くらいの頃に、スズメバチ科のアシナガバチに頻繁に刺されても、何ともなかった僕は、どうもその点では大丈夫なのかも知れません・・・。

でも、刺されるとやっぱり痛いし、あの酷い腫れはもう経験したくありませんから、自分なりに気を付けてはいますが・・・。

 

 

         生命(いのち)はただ

         生命のままに

         只管(ひたすら)現在(いま)

         生きて行くだけ

         
         風を感じて

         風を抱きしめ

         空に向かって

         ()けて行くだけ


         明日(あした)という

         憧れを目指して

         只管に夢を

         追って行くだけ

 

今回のの写真を採った場所は、東京の上野公園です。
東京国立博物館を出て、横断歩道を渡り、東京芸大の大学美術館に向かう道の脇に植え込みがあります。
そこの低木に絡みついたヤブガラシの花に、蜜を求めて来ていたのが、写真のコガタスズメバチです。
しかし、幸いなことに、殆どの歩行者は蜂の存在には気付くことなく、通り過ぎて行くようでした。

都内でも、上野公園の他、皇居の東御苑やその周辺、また六本木あたりで、何度もスズメバチの仲間が、花の蜜を求めて飛んでいる姿を見掛けています。

まだまだ、東京にも沢山のスズメバチの巣が、その多くは人知れず存在しているようです。

特に、一般の立ち入りが極度に制限されている皇居の森は、スズメバチだけではなく、多くの昆虫や小動物の聖域と言えるかも知れません。

 

参考図書

校庭の昆虫

校庭の昆虫

  • 作者: 田仲 義弘, 鈴木 信夫
  • 出版社/メーカー: 全国農村教育協会
  • 発売日: 1999/07
  • メディア: 単行本


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コメント 21

konkon

スズメバチ、こんなによくよく見たのは初めてです。
スズメバチのこと、いろいろ勉強させてもらいました。
by konkon (2006-10-04 00:40) 

おはようございます^^
写真を撮るようになって、いろんな昆虫に慣れてきましたが、蜂だけは恐いですね~。albireoさんは、子供の頃から蜂とお友達でいらっしゃったようですね^^
by (2006-10-04 05:29) 

kei果

おはようございます。
ミツバチハッチ♪蜂にとっても一生は甘いのでしょうね。^^
それではー
by kei果 (2006-10-04 08:03) 

Baldhead1010

ミツバチなどは生存競争のため餌食になりますが、人間は彼らの脅威にならなければ、襲ってくることはない、そのことを知って、慎重な行動が望まれますね。
by Baldhead1010 (2006-10-04 08:50) 

じゅん

albireo さんの記事のおかげでスズメバチに対する見方が変わりました。
人は物事を白か黒か単純化して考えがちですね。
彼らも同じ命、理由があって襲うのですから、
よく理解して、上手く付き合いたいですね。
by じゅん (2006-10-04 14:09) 

YAYA

albireoさんが撮ると、スズメバチもよく見えてしまいます~♪
記事を読んで、見方も変わりました。
スズメバチがうまく生きられる所があればいいのですね~。
by YAYA (2006-10-04 14:16) 

初めて参上・・です、
きれいな写真ですね・・・・・お見事!
by (2006-10-04 18:25) 

penpen

コガタスズメバチの目カッコイイですね。虫はみんな一生懸命ですね。
by penpen (2006-10-04 20:44) 

春分

実はまた、トックリ型の巣をつくられてしまいました。
気がつく前に放棄されたようですが、危ないところでした。
by 春分 (2006-10-04 22:41) 

puripuri

ヤブガラシの蜜を吸うのに夢中のようですね。
黒い頭(服装)、香水、出会っても追い払ったりして騒がないこと、、等々
いろいろと為になります。私も一度小さい蜂に刺された事があります。
2度目はどうでしょうね。
by puripuri (2006-10-04 23:23) 

sakamono

大きくて黄色と黒の、このハチを見ると、やはりコワイと思ってしまいます。キレイな色なんですが...自分も1度、右手を刺されて、手全体がむくんだように腫れたことがありました。確かに考えてみるとスズメバチは益虫かもしれないですね。
by sakamono (2006-10-04 23:45) 

はてみ

大きい虫は、なにか考えているように見えます。
小さい虫はそんなふうに見えないんですけど。
黒は襲われやすいと聞いていたけれど、自分の頭のことまでは考えませんでしたので、白い帽子は参考になりました。
by はてみ (2006-10-05 00:14) 

ミヤ

スヅメバチが、強力な武器を持っていて危ないから駆除されて、
希少種になるのは、自然の環を壊すことでしょうね。
夫は顔を刺されて、お岩さん状態が長かったです。コワイ~~
by ミヤ (2006-10-05 10:47) 

虫は、子供の頃から苦手だったのですが、ブログを始めてから、少しはその生命を尊べるようになりました。
相変わらず、実物を観ると恐れおののいていたりもしますが。
春先に藤を撮りに行ったとき、花に群がっているハチやアブに近づいても、警戒もせずに普通に撮っていた自分は、度胸があるのか、あるいは鈍感なのか。。。?
by (2006-10-05 20:53) 

ヤブガラシとスズメバチ、おもしろい取り合わせですね。
by (2006-10-06 22:05) 

reo-3830

危険と言われるスズメ蜂でも,、albireoさんの写真のスズメ蜂は素敵で愛らしい!?そして、なんとなくセクシー!
こちらへは、私のブログ仲間:hashiba511さんからお邪魔しました。癒されにたまにお邪魔致します。
by reo-3830 (2006-10-07 00:45) 

COLE

こんなに近接して大丈夫なんて 恐れ入りました 新しい世界が広がりました
by COLE (2006-10-07 10:16) 

さねさし

我が家の軒に 昨年は 蜂の巣が作られ ブログにも載せ albireo さまから 蜂の名前を教えていただいたりして楽しんだのですが 今年は一つも蜂の巣が見当たらず 少々寂しく思っています 
自然観察公園の取り組みなどとても面白く思いました 上野の東博の近くでお撮りになったとは驚きです
by さねさし (2006-10-07 11:06) 

あやこ

蜂が近くに来たら 過剰反応してしまいそうです。。。(^^;
今日 カナブンに体当たりをされてしまいました(>_<)
結構 痛かったです。というか、驚きました(^^;;
by あやこ (2006-10-07 22:36) 

じゅんぺい

すっかりご無沙汰してしまっていますm(_ _)m
小学校の木にもアシナガバチが巣を作って校長先生と教頭先生が
駆除したといっていました(!)そしてその巣と蜂の残骸をビニール袋に
入れて持って帰ってきたのはうちの長男です(>_<)机の上で飽きずに
眺めていました…。確かにこうやって拝見するととても美しくてカッコイイ
ですけどねえ…(苦笑)
by じゅんぺい (2006-10-13 04:44) 

寺部

はじめまして、寺部と申します。

コガタスズメバチの写真がとてもきれいですね。

スズメバチが大好きなので、このような写真を見ますと
とてもウキウキしてきます。

良い写真が撮れましたら、どうぞまた載せてくださいね。

それではまた。

by 寺部 (2008-05-03 04:09) 

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