二人静 〔フタリシズカ〕 [野草]
フタリシズカ 二人静
先日来、『藤』『杜若(かきつばた)』と、古典芸能の能の題材になった花を紹介しましたが、この『フタリシズカ』という植物も、能と係わりがあります。
能の中でも、演じるのが難しいと言われている『二人静』という曲があります。
この植物の名は、その曲名にちなんで名付けられたと、江戸時代の百科事典『和漢三才図会』に、記されています。
それによると、この植物には、二本の花穂(正確には『穂状花序』)が立ち、その姿が美しいのことから『二人静』と命名されたと言うことです。
以下が、能『二人静』のあらすじです。
奈良県吉野の勝手明神という神社では、神事のための若菜を摘みに菜摘の娘を山へ向かわせます。
すると、山中に妖しい女性が現れ、「山を下ったら、自分の供養の為に写経を頼んで欲しい」と言われます。
驚いた菜摘の娘は、山を下り神社の神官にその事を話すうちに、霊に憑り着かれてしまいます。
その霊は、自分は源義経の愛妾であった、静御前の霊魂だと名乗り、舞を舞って見せるのですが、この曲ではその場面で、霊に憑り着かれた娘の脇に静御前の霊が現れ、憑り着いた娘を操るように、同じ衣装で同じ舞を舞うという演出がなされます。
このために、曲名を『二人静』と言うわけです。
最後には、再び供養を頼み静の霊は去って行きます。
能の面をかぶると、目に開けた穴からは、周囲の様子が思うようには、見えなくなるそうです。
この曲では、二人の能役者が、相手が殆ど見えない状態で、まったく同じ舞を舞わなければなりません。それは、本当に至難の業だということです。
それが、この『二人静』という曲が難しいと言われる理由です。
僕は、まだこの『二人静』という曲を、観たことがありません。
けれど、いつか一度は観たい曲です。
しかし、この花の様子から、二人の女性が舞う姿や、まして能の曲名を思い浮かべるとは、いったいどんな感覚を持った人が名付けたのでしょうか?
普通は、二本の花穂ですが、実際には上の写真のように、三、四本以上の花穂が立つ場合も、よく見受けられます。
また、近縁種に『一人静』という植物がありますが、これはこの『二人静』に対して、花穂が一つであることからの命名だと言う事です。
センリョウ科 センリョウ属
二人静。今年はまだ会っていません。静かなお花ですよね。おしゃべりに夢中になっていると、気づかずに通り過ぎてしまうような。
by (2005-05-20 18:23)
NiceNice
by alfalha (2005-05-20 20:16)
名前から 静御前にゆかりなのかな??と思いました^^
可憐なお花ですね^^ 対なのがいいですね^^
albireoさんのお話を聞いて、どんな能が観てみたくなりました^^
by あやこ (2005-05-20 20:35)
二人静、能の方しか知りませんでした。
二つの花穂が鏡のように並んでいる姿が、静御前なのでしょうか??
昔の方の名づけ方は粋ですね。
by はるまきママ (2005-05-20 20:47)
二人静にそんなお話があったんですね。静かに咲いているのかなって思ってました。昔の人はすごいなあ。
by penpen (2005-05-20 21:23)
「二」という符合が能の名曲とこの花穂を結びつけたのでしょうね。
なんとも粋な命名者です。
albireoさんと同じで能の『二人静』を観た事がないので、ぜひ機会を見つけて観に行きたいと思いました。
by dino-tail (2005-05-20 21:43)
能を見るのも何となく良いのですが、お話としてあらすじ聞くのもいいですね。シソみたいですけど、そんな由来が合ったとは。
by うっぴぃ〜 (2005-05-20 22:49)
これが、「二人静」なんですね!はじめて見ました。
能の物語は面白いのですが、能自体は見たことがありません。
機会があったら見てみたいものです。
by (2005-05-20 22:50)
私も、名前は知っていましたが初めて見ました。
by GRD (2005-05-20 23:03)
僕も見るのは初めてです。
能の世界はそんなに知りませんが、薪能とかは名古屋でも結構開かれてますね。
理解できるようになりたいです。
花は、雰囲気ありますね、名前付けた人の感性は凄いなぁって思います。
by shareki (2005-05-20 23:10)
お能のほうは聞いたことがあったものの、植物もあるとは知りませんでした。
葉っぱは大葉やタデに似ているみたいですね。
けっこう目にしているのに、気づいてない種類かも…。
by 満月堂 (2005-05-21 01:16)
見た目は地味ですが、名前を知ると立ち止まってみたくなる花ですね!
by HAL (2005-05-21 01:33)
なんかじーんと来てしまうお話......
草むらにひっそり咲いてる雰囲気がいいわ〜♪
by mippimama (2005-05-21 07:00)
静御前であろうとは想像していたのですが、そのような話があったのですか。
ひっそりと咲いている、でもその姿が凛とした女性を思わせますね。
by (2005-05-21 09:31)
◇ mimimomo さん ありがとうございます。
咲いていそうな雑木林の中を、目を皿のようにして探しました。
◇ alfalha さん ありがとうございます。
alfalha さんも、ブログ始めませんか?
◇ あやこ さん ありがとうございます。
義経と静は、今も昔も人気があって、そのどちらかの出てくる能がいくつもあります。
本当は、この記事を書く前に観たかったのですが、なかなか機会に恵まれません。
◇ はるまきママ さん ありがとうございます。
『和漢三才図会』を読むと、二つの花穂を二人の人に見立てたようです。
◇ penpen さん ありがとうございます。
何か、とても風雅な感性を持った人が、名付けたのでしょうね。
◇ dino-tail さん ありがとうございます。
僕も、もう10年以上前から能を観ているのですが、中々『二人静』を観る機会が巡って来ません。
◇ PETAMUN_R さん ありがとうございます。
確かに、花が咲く前の葉を見ても、どれがフタリシズカか、なかなか見分けが付きません。
◇ lapis さん ありがとうございます。
能は面白いです。ただ、見ていると、心地よい眠りに誘われますが・・・。
『二人静』は、どうしても観たい曲です。
◇ OMEGA 7 さん ありがとうございます。
なかなか、目立たない花ですからね。
◇ 渋樹 さん ありがとうございます。
能は、ボーっとして観ています。ただ、「きれいだなぁ~」と・・・。
昔の人の風雅な感性には、驚かされます。
◇ 満月堂 さん ありがとうございます。
花が咲かないと、解かりづらいし、咲いても目立つ花ではありませんからね。
◇ HAL さん ありがとうございます。
側によって、よく観察すればかなり可愛いのですが、本当に目立たない花です。
◇ mippimama さん ありがとうございます。
まさしく、ひっそりと咲いています。側で見れば可憐な花ですが、あまりにも目立たないので、本当にこれがフタリシズカなのかと、疑ってしまうほどです。
◇ min さん ありがとうございます。
漢字で書くと、やっぱり静御前かなとは思いますね。
近くで見ると、清楚な美しさを感じます。
by albireo (2005-05-21 12:41)
花びら、がくが無い変わった花ですよね。
by atom (2005-05-21 12:52)
ヒトリシズカとはまた違う趣ですね。
TBします!
by (2005-05-21 18:54)
タイトルだけみて勘違いしていた自分が恥ずかしい...(←野草って書いてあるじゃん)
by ccq (2005-05-21 21:00)
一人静かは知っていたけど
二人静もあるんですね。。。
by maya (2005-05-21 21:17)
・・・関係ないけど。
やっぱり、一人より二人がいいね
by ナナ (2005-05-21 22:51)
◇ atom さん ありがとうございます。
丸まったような、花という感じのしない花ですね。
◇ tanaka-ma3 さん ありがとうございます。
TBありがとうございます。
同じ仲間とは、思えないほど感じが違いますね。
◇ ccq さん ありがとうございます。
何と、勘違いされたのでしょう?
◇ maya さん ありがとうございます。
花の名前としては、どうもこちらが先のようです。
『二人静』という能はありますが、『一人静』という能はありませんので。
◇ ナナ さん ありがとうございます。
・・・そう思います。ちょっと、痛いです・・・。
by albireo (2005-05-22 00:17)
初めて聞きました&見ました!能の話もはじめて聞きました。義経のあの静御前の静だったんですね!!その能も興味あります。
ほんとに、かわいい姿です♪
by (2005-05-22 07:59)
ご先祖様がお能の先生だったのに、「二人静」の話は初めて知りました。ひっそりと向かい合って咲く花が素敵だと思います。
by barbie (2005-05-22 16:41)
静かにさいてますね☆
by ユイリ (2005-05-23 14:02)