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街の雪 [詩・歌]

yukimichi.jpg

 2月8日。

 今日、関東地方は、久し振りの大雪になりました。

 天気予報では、今朝の未明から降り始めると言うことでしたから、昨晩の内に雪かき用のスコップを出したりして、準備をして置いたのですが、今朝は雪かきが必要な程には、雪が積もってはいませんでした。

 でも、昼頃から、雪は激しく降り始めました。

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     冬の雨が 雪の粉に変わったのは

     少しやせた君を空が哀れんだから

     掌へと溶ける雪をぼくに見せて

     これが雪の涙なのと淋しく笑う

     しん・かん・しん・かん 雪が降る ビルの谷間に

     しん・かん・しん・かん 天使が描いた水玉模様
            
   
               ・
               ・

     しん・かん・しん・かん 雪が降る ほら指先に

     しん・かん・しん・かん 息吹きかけて あっためようね

                  太田裕美 「街の雪」
                  松本 隆 作詞
                  筒美京平 作曲
                  「海が泣いている」(1978年・Sony Records)所収

 雪が降ると、ふと思い浮かべてしまう歌です。

 この曲と同様に、松本隆さんと筒美京平さんが書かれて、太田裕美さんが歌われた「木綿のハンカチーフ」の逆ヴァージョンような内容の歌ですが、僕はこの歌詞の「しん・かん・しん・かん」の部分に、心惹かれてしまいます。

 子供の頃、雪が降り始めると、しんと静まり返った中に、「しん、しん、しん…」と言う音が聞こえて来るような、そんな気がしていました。その為、「しん・かん」と言う表現に、ノスタルジーのようなものを感じるのかも知れません。

 そして同時に、宮沢賢治の童話「雪渡り」の中で、幼い兄妹の歌う、「堅雪(かたゆき)かんこ、凍(し)み雪しんこ。」という歌をも思い浮かべます。

 そう言えば、数年前にテレビで放送された宮沢賢治の歌曲を取り上げた番組に、コメンテーターとして出演されていた松本隆さんが、賢治のオノマトペの素晴らしさについて語っておられました。

 尚、この曲は、本来はLPレコードのA面5曲目の歌で、シングルカットもされてはいませんが、YouTubeで検索すると、誰かが投稿したものが見付かります。でも、著作権がクリアされているとは到底思えないので、リンクは避けて置きます。

*因みに、上の写真は今日撮ったものではありません。
 もう6年前になりますが、2008年2月3日の大雪の時の写真です。
 カメラを雪で濡らさないように、傘を差しながら、片手で撮っていたために、画面の端に見知らぬお嬢さんたちが写り込んでしまったこともあり、使わないままになっていた写真です。既に、6年が過ぎたので、もしも写っていてるご本人がご覧になることがあったとしても、もはや気付かないと思いますので、今回載せて置くことにしました。
 

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 以下に、もうひとつ僕が高校生の頃に読んで、心に残っている雪の詩を、引用させて頂くことにします。

 ローデという、デンマークの詩人の詩ですが、世界の詩を集めたアンソロジーに載っていたものなので、ローデと言う詩人の作品については、他に読んだこともなく、詳しいことは殆ど分かりません。また、訳詩者の林穰二という人についても、まったく情報がありません。

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       雪

           ローデ
           林 穰二 訳 

  世のなかに、雪ほどしずかなものはない。
  そーっと大気の中をおりてきて
  君の跫音(あしおと)をきこえなくし、
  大きすぎる声で話している人を、
  やさしく、やさしく、黙らせるとき。

  世のなかに、雪ほど浄いものはない。
  天上の白い翼から落ちた白鳥(スワン)のわた毛。
  雪片は君の掌の上では
  涙の雫のよう。
  白い想念がなにもいわずにダンスする。

  世のなかに、雪ほど心を和らげるものはない。
  しーっ! 君は、物言わぬものが音を発するまで耳を澄ませる。
  おお、なんともいえない美しい音(ね)で、
  銀の鈴の歌が、
  君の心の奥底にひびく。

         「ポケット 世界の名詩」1982年 平凡社刊 他 所収

*上の写真もまた、今回の雪の写真ではありません。
 2004年12月31日ですから、2014年2月の今からだと9年前になりますが、お茶の水橋の上から、お茶の水の駅と聖橋を撮った写真です。
 今は廃止になった、中央線のオレンジ色の電車が写っている、もう撮ることの出来ない風景です。
 尚、この写真の別のショットを、ブログを始めたばかりの頃に、同じ「街の雪」のタイトルで、記事にしています。

 その「街の雪」のタイトルは、上に引用させて頂いた、太田裕美さんの歌「街の雪」から借りたものであることは、言うまでもありません。

 実は、この写真を撮った時、カメラを雪で濡らして、故障させてしまいました。
 それ以来、雪の日には、出来るだけカメラを濡らさないように気を付けて、濡れたらすぐに拭き取れるように、タオルを持って出かけることにするようになりました。

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 雪の中で、鳥の写真を少し撮りましたが、「街の雪」のタイトルにはそぐわないので、今回は、街中でも良く見掛けるハクセキレイだけを載せて、残りは次の記事に載せることにします。

 この雪も、夜中には雨に変わると言う予報でしたが、22時35分現在、雪は止んでいますが、雨は降っていません。この分だと、明日の朝こそは雪かきをする必要がありそうですから、明日に備えて、眠ることにします。

  関連記事 浅き春に寄せて  2008年に撮った雪の写真を、立原道造の詩に寄せて書いた記事です。


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コメント 4

mimimomo

おはようございます^^
今日の雪のつもり具合は凄いです。玄関のドアが途中までしか開きません。
屋根があるところに積もっています。やはり雪かきが必要ですね~腰に来るわ。夫婦して今少々腰痛気味・・・(><;
by mimimomo (2014-02-09 06:38) 

sakamono

雪がたくさんふった朝、確かにとても静かな気がしました。
たっぷり降り積もって、何の跡もついていない雪は、浄い感じがします^^;。
by sakamono (2014-02-09 13:44) 

はてみ

雪の降り始めに鳥写真を撮っているalbireoさんはさすがだと思いました。
by はてみ (2014-02-09 22:15) 

きまじめさん

雪の舞い散る御茶ノ水駅の写真素敵です。
そういえばもうオレンジ色の電車走っていない、貴重な写真なのですね。
by きまじめさん (2014-02-10 00:01) 

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