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蜂の活動する季節 [昆虫]

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                                               ヒメスズメバチ  姫雀蜂  膜翅目  スズメバチ科

 家の近くに、まだ雑木林が残っていた頃、カブトムシを探しに、樹液の出ているクヌギやナラの木に行って見ると、カナブンやタテハチョウに混じって、オオスズメバチの姿を見ることがよくありました。

 けれど、宅地化が進んで、雑木林の木々が失われて行くと、オオスズメバチの姿もまた、消えて行ってしまいました。

 時折大きなスズメパチが飛んで行く様子を見掛けると、もしやと思ってその姿を目で追うのですが、たまに、何処かに止まったところを見ると、それは殆どがヒメスズメバチです。

 

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 ヒメスズメバチは、オオスズメバチに次いで、大きな種類のスズメバチです。
 
 そのヒメスズメバチは、スズメバチの仲間では、最も簡単に見分けられる特徴があります。
 この写真のように、腹部の末端が黒いスズメバチを見掛けたら、それはヒメスズメバチです。

 今年は何故か、ヒメスズメバチを見掛ける頻度が多いような気がします。
 ヒメスズメバチは、羽音が大きく、威嚇するように、人の顔の近くへまで、平気で近付いて来ます。
 先日も、僕の顔の周りを、ブンブンと飛び回って威嚇して来ました。
 僕にとって、蜂は好きな昆虫のひとつでもあり、それなりに習性は分かっているつもりなので、僕としてはそれ程怖いとは感じませんが、勿論あまり嬉しい訳でもありません…

 

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 ヒメスズメバチは、スズメバチの仲間では、最もおとなしく、攻撃性も弱い上に、刺された場合の毒性も、然程強くはないと言うことです。
 とは言っても、 アナフィラキシー反応(過敏症のアレルギー反応)を引き起こせば、死に至る可能性もありますから、決して刺されないようにして下さい。

 スズメバチを避ける場合は、あまり急激な動きはせず、出来るだけ落ち着いて、身体を低くしながら、静かにその場から離れて下さい。
 また、手で叩き落とそう等とは、決してしないことが賢明です。

 

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                                            コガタスズメバチ  小型雀蜂  膜翅目  スズメバチ科

 コガタスズメバチには、十年ほど前に、ちょっとした不注意から、一度だけ手の甲を刺されたことがあります。

 痛みは、アシナガバチに刺された場合と、殆ど変らない程度でしたが、翌日になると手首から先がパンパンに腫れ上がり、熱を持ってだるいような状態が、一週間ほど続きました。

 僕は、結局医者へは行きませんでしたが、もし刺されてしまったならば、出来るだけ早く、病院へ向かうことが正しい選択です。

 スズメバチの毒は、「毒のカクテル」と呼ばれているほど、多種類の微量な有毒成分から出来ていて、その中には、神経毒やアナフィラキシー反応を引き起こす原因となる物質も含まれているそうですから…

 コガタスズメバチも、「小型」とは言っても、見た目には大きな蜂ですし、油断は禁物です。

 しかし、ここに載せた写真のように、花を訪れているような場合は、わざわざ人を襲ってくることは、滅多にありません。
 ですが、怖がって大袈裟に体を動かしたりすると、スズメバチの方が恐怖を感じて、防衛のために襲って来ることがあります。
 前の、ヒメスズメバチのところにも書いたように、あまり急激な動きはせず、出来るだけ落ち着いて、身体を低くしながら、静かにその場から離れて下さい。
 
 一番気を付けないといけないのは、蜂の巣の近くで遭遇した場合です。
 社会的生活を営むハチの仲間は、巣を防衛するという本能が強いようで、巣を守る為には、必死で攻撃を仕掛けて来ます。

 

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 夏から秋にかけては、登山やハイキングで、スズメバチの巣があるような場所へ出掛ける機会も多いと思います。
 そんな時に、巣があることを知らないまま、山道を大勢でドカドカと騒々しく通ったりすると、巣を守っている蜂としては、逆に恐怖を感じて、襲って来る場合があります。
 最近の登山ブームのせいで、マナーの悪いにわか登山家も多いように聞いていますが、マナーやルールを守ることは、登山の安全にも通じる筈です。そして、それはスズメバチの襲撃の可能性を減じることにもなると思います。

 また、スズメバチは自ら香りを発生させることによって、例えば餌の在処を知らせる等、香りを通信手段としているという説がありますが、実際に香りには非常に敏感であると言います。
 その為、キャンプ場などに放置された、ジュースの空き缶等に、スズメバチが集まったりする例もあります。
 最近は、若い女性の登山者も増えているようですが、香水の香りなども、スズメバチを引き寄せる原因と成り得ますから、山や森林に入る際には、充分に気を付けて頂きたいと思います。
 更に、帽子を被る場合は、スズメバチは黒い色の物に襲い掛かる習性があるそうですから、出来るだけ白っぽい帽子を被った方が安全だと言われています。

 尚、蜂は一度刺すと死んでしまうと思われがちですが、それはミツバチの話で、スズメバチ等は何度でも刺すことが出来ます。

 

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                                       セグロアシナガバチ  背黒脚長蜂  膜翅目  スズメバチ科

 セグロアシナガバチが、巣を作っていました。

 僕が子供の頃、野山でよく刺されたハチです。

 刺された時には、すぐにカタバミの葉を探し、指先で揉んで、その汁を付けると、殆ど即座に痛みは消えました。これは、亡き母に教わった民間療法のようなものですが、恐らく長野県の下伊那地方では、ごく一般的な、蜂に刺された際の対処法なのだと思います。

 但し、コガタスズメバチに刺された際には、カタバミはの効果は、殆どありませんでしたので、これはアシナガバチやミツバチ程度の小さなハチにのみ、有効な手段なのかも知れません。

 

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                                    フタモンアシナガバチ  二紋脚長蜂  膜翅目  スズメバチ科

 フタモンアシナガバチは、体長が16mm 程度の、細くて小さなハチですが、攻撃性は強いので、気を付けて下さい。

 

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 フタモンアシナガバチの巣は、大きなものでは、部屋数が千個ほどにもなるという、かなりの規模のものだそうですが、僕は未だ見たことがありません。

 

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                                    オオフタオビドロバチ  大二帯泥蜂  膜翅目  ドロバチ科

 ドロバチの仲間は、土をこねて巣を作ります。

 その巣の中に、毒針で刺して仮死状態にしたガなどの幼虫をを入れ、卵を産み付けて、自らの幼虫の餌とします。

 人への攻撃性は殆ど無いので、僕は刺されたことはありませんが、毒針は持っていますから、手で捕まえようとすれば、当然刺されると思います。

 

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                                                 クマバチ  熊蜂  膜翅目  ミツバチ科

 クマバチは、体は大きいですが、おとなしいハチです。

 特に、オスには毒針が無いので、刺すことはありません。

 メスには毒針がありますが、元々毒針とは、産卵管が変化したものと考えられていますから、それも当然のことと言えると思います。

 

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                                           セイヨウミツバチ  西洋蜜蜂  膜翅目  ミツバチ科

 最後は、二種類のミツバチの写真を載せます。

 日本にいる、二種類のミツバチのひとつは、セイヨウミツバチです。

 これは、養蜂のために導入された外来種ですが、現在は果物などの受粉のためにも役立っています。 

 

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 外来種の動植物の中には、生態系への影響が問題とされるものが多いように思いますが、セイヨウミツバチには、そうした恐れは殆ど無いと言われています。

 当然、養蜂家の巣箱から、蜂の群れが逃れ出て、木の洞(うろ)などに営巣することはあるようですが、人間に依る保護から外れた状態では、その多くはスズメバチに襲われて、全滅してしまうと見られています。

 日本にいるもう一種類のミツバチ、ニホンミツバチには、外敵であるスズメバチへの、独自の対処方法がありますが、元々の原産地にスズメバチが存在しなかったと言われるセイヨウミツバチには、その対処方法が無いために、スズメバチの襲撃から逃れられないものと考えられます。

 

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                                            ニホンミツバチ  日本蜜蜂  膜翅目  ミツバチ科

 この可愛いハチが、日本在来種のミツバチ、ニホンミツバチです。

 これは、今年の五月に撮った写真ですが、シラー・ペルビアナ種の花へと、蜜と花粉を求めて飛んで来たところです。

 

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 ニホンミツバチは、偵察に来たスズメバチを見付けると、何匹もでスズメバチに襲い掛かり、協力をして取り囲み、体を包み込んで、その体温でスズメバチを蒸し殺してしまうという戦法を取って撃退します。

 セイヨウミツバチよりも、見た目も可愛らしく、ニホンミツバチの養蜂家の方が書かれた本等に依ると、実際におとなしい性質で、人にも慣れてしまえば、全く刺すこともないと言うことですが、その反面、外敵に対しては、見掛けに依らない凄い力を発揮するようです。

 

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 ニホンミツバチの蜂蜜は、とても美味しい蜂蜜です。
 しかし、蜜の採れる回数も、採取量も少ないそうですから、流通している量も少ないようです。

 かなり以前のことですが、宮崎県に伝わる「椎葉神楽」の特別公演が都内の国立劇場で開催されたことがありました。
 それを観に行った時に、会場のロビーで展示即売していた宮崎県産のニホンミツバチの蜂蜜を買って食べてみると、普通のセイヨウミツバチの蜂蜜とは比べ物にならないくらい、香りも良く美味しかったことを覚えています。
 但し、値段もまた、比べ物にならないほどではありましたが・・・

 

 夏から秋にかけて、蜂が元気に活動する季節です。

 人から恐れられているスズメバチですが、実際には農作物を食い荒らす、蝶などの幼虫である毛虫や芋虫を捕食してくれる、益虫であると言う、側面をも持っています。

 しかし、同時に、スズメバチに刺されて亡くなった方の被害者数は、熊や毒蛇に依る被害で亡くなられた方よりも多く、スズメバチこそが日本最大の危険生物と言えるのかも知れません。

 ですが、充分に注意をして接すれば、防げる被害状況も少なくはないと思われますので、蜂の習性を少しでも理解して、危険を避けるようにして頂きたいと思います。

 

 


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コメント 10

スミッチ

クマバチは最近だいぶなれました。スズメバチ気になります。そっと遠ざかるように注意はしています。
by スミッチ (2013-08-05 23:09) 

ゴーパ1号

黄色と黒のシマシマを見ると緊張しますね〜。
by ゴーパ1号 (2013-08-06 07:24) 

mimimomo

こんにちは^^
蜂はやはり怖いですね~
クマバチやミツバチは何となく大丈夫って思うのですが、
我家の庭をうろうろするのは、シマシマの細長い蜂なので、きっと
スズメバチやアシナガバチの類のものでしょうね~怖いです(><;
by mimimomo (2013-08-06 10:09) 

ぜふ

スズメバチ、アシナガバチ、ミツバチ・・刺すのはみな社会性生態のハチなんですよね。
クマバチはわかっていてもその大きさにどうしても一瞬たじろいでしまいますね^^;
はるかに小さくてもクロスズメバチのほうがキケンなのに・・おかしなものです。
by ぜふ (2013-08-06 21:31) 

きまじめさん

軒下にアシナガバチが巣を作っているのを見ても大騒ぎしてしまいますが、
ハチの生態や習性を知っていると、それほど怖いものではないのですね。
知人が蜂に刺されて、アナフィラキシーショックを起こして、入院したと聞きました。
やはりスズメバチは怖いですね。
by きまじめさん (2013-08-06 22:21) 

sakamono

私も手の甲をスズメバチに刺されたコトがあります。albireoさんと同じ症状になりました。刺されると痛いですねー。スズメバチの大きな体と、この顔は、やっぱりコワイです^^;。
by sakamono (2013-08-10 12:41) 

barbie

蜂は私にとって恐ろしい存在でどれも同じに見えてました。
こんなに至近距離?ではっきり見たのは初めてです(^^;;
by barbie (2013-08-12 23:38) 

すぅ〜(*´`*)

ご無沙汰してます(u_u)

それぞれの習性がある…勉強になりました☆
by すぅ〜(*´`*) (2013-08-13 23:05) 

mimimomo

おはようございます^^
いつもありがとうございます~♪
11日、御岳山に行ってきました。虫の写真も写しました~w
名前は分かりません(__;  クマバチらしいのも写しました。
by mimimomo (2013-08-14 09:57) 

ichii

突然ですが、写真借用の件でホームページの方に書き込ませて頂きました。
お忙しい中申し訳ありませんが、よろしくお願いします。
by ichii (2013-08-19 18:43) 

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