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藤崎の藤 [歴史・伝説]

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 いつもの、家の近くの公園、習志野市・藤崎森林公園の池の畔に咲いた藤の花です。

 池の畔の木々の樹冠に、かなり広範囲に咲いていて、かなり見事なものなのですが、写真は部分的に撮ったものを載せています。
 尚、どの写真も、クリックをすると、拡大します。

 

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 この公園は、「森林公園」という名が大袈裟に思えるほどの小さな公園ですが、元々が所謂「里山」のような場所だったこともあり、自然に生えた、かなり太い幹を持ったフジが、ごく近い場所に三本あります。

 そられが、木々の幹に巻き付き、樹冠に広がって沢山の花を咲かせています。

 

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 実は、僕が住んでいる習志野市藤崎の地名の由来は、藤の花との係わりがあると言われています。


 

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 『この藤崎村という地名は、家康が子安神社(藤崎一丁目)で、休憩したとき、境内の藤の花が見事に咲いているのを見て、「藤咲村」と命名したのが起こりであるという。』
  
           「東金御成街道を探る」 本保 弘文・著  暁印書館 平成10年11月26日刊行

 また、習志野市教育委員会が平成二年に発行した、「習志野-その今と昔」にも、同様の記述があります。
 そこには、「藤咲村」が「藤崎村」となったことに関して『「咲」は、子安神社の祭神である木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)の咲で、その字を使うのは恐れ多いことから「崎」の字を当てたといわれています。』とあります。

 尤も、その地名の由来については、残念ながら出典が明確にされておらず、些かの疑念は残ります。

 

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 ただ、江戸時代の初期に、徳川家康は「東金(とうがね)」(現・千葉県東金市)での鷹狩を二度行っており、その際には船橋を経由して、現在の習志野市藤崎の辺りを通っていることは事実で、子安神社の近くには、「藤崎古道」と呼ばれている、東金御成街道の名残の道が僅かですが残されています。

 

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 子安神社は藤崎森林公園から、西北の方角に向かって、歩いて数百メートル程の距離にある神社ですが、現在の境内にはフジは咲いていません。

 尚、子安神社の現在の祭神は、「木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)」ではなく、「素戔嗚命(すさのおのみこと)」と、その妃である「櫛稲田姫命(くしいなだひめのみこと)」とされています。実際、神社の祭神が変わってしまうことは、決して珍しい事ではありませんから、何とも言えませんが、この近くには別に「富士浅間神社」を祀る祠(ほこら)があり、その祭神こそが「木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)」である筈ですから、そちらと混同していると言う可能性も有り得ます。

 

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 この杜の中に、富士山の溶岩を運んで来て積み上げたと思われる、所謂「富士塚」があり、その頂上に「富士浅間神社」を祀る祠(ほこら)があります。

 その周辺は畑になっていますが、縄文後期の貝塚の遺構でもあり、この地域の小字名から「堀込貝塚」と呼ばれています。

 

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 畑の上には、現在も当時の貝殻が散在しており、土器の破片なども見ることが出来ます。
 但し、これらは文化財であるため、拾って持ち帰ることは禁止されています。

 

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 以前、この公園には、もう一本の大きなフジがありましたが、巻き付いていた木が倒れてしまった際に、そのフジも伐採されてしまったということがありました。

 その際、僕の父親が「藤崎の藤」を伐らないようにと、市役所に申し入れたのですが、既に間に合わず、委託業者により伐採されてしまったと言うことです。

 また、僕の父は本業の他に、ボランティアで永年に亘って福祉関係の仕事をして来たのですが、その折に市役所に対して、この立派なフジを利用して、公園に藤棚を作ることを提案をしたそうです。しかし、予算等の関係もあるのか、実現はしていません。

 いずれまた、フジが巻き付いている樹木が倒れることは、有り得ると思いますが、その際には以前のようにこのフジが伐採されないことを祈るばかりです。

 

参考図書

東金御成街道を探る

東金御成街道を探る

  • 作者: 本保 弘文
  • 出版社/メーカー: 暁印書館
  • 発売日: 1998/11
  • メディア: 単行本

角川日本地名大辞典 12 千葉県

角川日本地名大辞典 12 千葉県

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1984/03
  • メディア: 単行本


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コメント 6

nutscats

こんなにすばらしい場所があることを知りませんでした。。。
自分の住む街を、ほとんどよく知りません。
情けないことです。
by nutscats (2013-04-26 01:10) 

mimimomo

おはようざいます^^
習志野と言うのは確か明治天皇の命名と聞いたことがありますが、
藤崎の名の由来もおおよそのところは分かっているのですね。
何だか羨ましいような場所ですね^^
この藤も立派ですね。
by mimimomo (2013-04-26 06:29) 

sakamono

富士塚の写真のような、こういう佇まいの場所がすごく好きです。
子供の頃、近所にこんな感じの場所があったような気がするのですが。
太くて立派な、藤の幹ですねぇ~。
by sakamono (2013-04-27 13:46) 

ねこじたん

地名って 奥が深いんですよね〜
たま〜にしか 考えないのですが
見始めると とまらなくなります
by ねこじたん (2013-04-28 10:03) 

きまじめさん

藤の花も、このように自然のなるがままに咲いている姿を
あらためていいなと思いながら拝見しました。
藤崎の地名の由来興味深いですね。
自分の身の回りでも、気にもしないで使っている地名のなかに
意外と興味深いものもあるのではないかなどと考えました。
by きまじめさん (2013-05-01 00:20) 

ぜふ

この藤、見ました(撮影もしました)。この辺りは林も畑もあっていいところですよね。
実はこの時期に出現するあるトンボを探しに行ったのですが、残念ながらいませんでした。
昨シーズンも探しに行ったのですがダメでした。
見た目は変わらないけれど、昆虫にとっては環境が変わっているのかもしれません。
by ぜふ (2013-05-02 06:47) 

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