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水温む ~白鷺のいた水辺~ [野鳥]

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 一月。
 十四日の、久し振りの雪から、十日程が過ぎた頃でした。

 十二月の記事「白い鳥のいた水辺」の、白鷺のいた元田圃の水溜りは、すっかり凍り付いて、周囲には未だ雪が融け残っていました。

 吹き抜ける冷たい風が、氷の上を吹きわたって行きます。

 

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 コサギは、氷を突いて餌を採ろうとしたのか、嘴の先に見える白いものは、砕かれた氷のかけらのようにも見えます。

 

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 あちこち、歩き回っていましたが、ついに餌を採ることは出来なかったようです。

 

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 そして、二月の初めの頃。

 氷の解けた水辺に、コサギが戻って来ていました。

 

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 いつものように、水の中を歩き回り、足で水を掻いて、獲物を誘き寄せようとする様子が見られましたが、嘴を水に入れて、獲物を採る姿は、殆ど見られませんでした。

 暫く凍り付いていた水の底で、アメリカザリガニも、より深い泥の中に隠れてしまったのでしょうか…

 

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   通り過ぎて行く季節の

   遠ざかって行く足音

   やがて巡り来る季節の

   近づいて来る足音

   けれどもそれはまだ遠くて

   あまりにも遠過ぎて

   立去り損ねた寒い季節は

   もう一度この場所に戻って

   冬を蘇らせようとしている

   

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 二月になっても、寒い日々が続いていましたが、流石にこの水溜りも、もう凍ることはありませんでした。
 でも、今は耕作放棄地となっている、嘗ては水田だったこの場所も、水溜りのままの状態が、何時までも続くことはなく、やがて失われて行くことは、ほぼ間違いのないことです。

 多分、いつかは宅地となり、新しい家が建って、引っ越して来た若い家族の、未だ小さな子供が、嬉しそうによちよちと歩いている姿を、そしてそのあどけない笑顔を、僕は幻影のように見たような気がします。

 その時には、この美しい白い鳥が、この場所を訪れることは、もう決してありません。

 その時には、この美しい白い鳥こそが幻影となり、僕の記憶の中にだけ存在することになります。

 その時には、この美しい白い鳥に出会うために、僕は何処か遠くまで、歩いて行かなければなりません。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 二年前の地震の時に、書庫にしている部屋の、書棚にあった本の、殆どすべてが崩れ落ちました。
 しかし、他の生活するための部屋の片づけを優先せざるを得ず、書庫の本たちは、暫く放置したままの状態になっていました。
 取り敢えず、積み重ねられるものは、適当に積み重ねて、棚に戻せるものは、殆どを横積みにして、押し込むような状態で、棚に乗せてありました。

 今月になって、漸く本格的に、書庫の片づけを始めました。

 本を、少しづつ棚に戻して行くと、殆ど記憶のない、でも面白そうな本が出て来たり、買いそびれたと、些か残念に思っていた本が、実は買ってあったりと、喜んだり苦笑をしたりしながら、片付けています。
 ただ、ハードカバーの本で、崩れた時に斜めになった状態のままで放置してしまい、曲がってしまったものがあることは、もう少し早く手を付けていたらと、悔んだりもしています。
 少しばかり、本が多過ぎて、もう少し時間が掛かりそうですが、たった一つ、その場では、決してページを開いて読み始めないことだけを厳守しながら、書庫の片付けを行っているところです。

 そんな状態で、本当はもう少し早めに更新する予定だった、この記事を漸くにしてアップします。

 先週は、トーハクの展覧会を観に上野へ行って、寒桜と冬牡丹を撮って来たのですが、それは三月になってから、記事にすることにします…

 


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コメント 8

ぜふ

耕作放棄地の行く末はさびしいものがありますが、もうどうしようもありませんね。。
この記事のように今この瞬間を見て楽しむのがいいと感じます。
コサギも氷の上で楽しくスケートしているように見えますよ♪^^
by ぜふ (2013-03-01 06:52) 

mimimomo

おはようございます^^
身辺の移り変わりは早いですね。うちの近くでも次々家が壊されては宅地が半分になって二倍の家が出来ていっています。
人口は増えないのに家は増えますね(--
鷺さんの住む所、遊ぶところも市街地では減っていくのでしょうね。
本の整理は時間がかかりますね。読まないでおこう・・・それだけでも随分違うと思います^^ 頑張ってください^^
by mimimomo (2013-03-01 07:14) 

ねこじたん

次にやってくる時は なにか食べ物みつかるといいな〜
やせちゃいますもんね♪
本の整理 おつかれさまです
写真と同じく ちょっと見直しちゃってしまいますね〜
by ねこじたん (2013-03-01 08:22) 

枝動

おはようございます。
水面が鏡のようで、美しい画ですね。
視線をおとした時、彼らに自分の姿はどう写るんでしょうね。
by 枝動 (2013-03-01 10:45) 

きまじめさん

身近にいるこんな美しい鳥を見る事が出来なくなる日が
そう遠くないだろうという事はさびしい事ですね。
我が家の周りも田んぼや畑がどんどん宅地に変わってきています。
by きまじめさん (2013-03-01 22:37) 

sakamono

コサギの真っ白な羽が美しいです。
本の片づけをする時は、ページを開いて読み始めてはいけませんね。
私もそう思います^^;。
by sakamono (2013-03-02 14:49) 

miya_gon

コサギの足が黄色いのを始めてみました!
考えたら、いつも水に入って佇んでいるのを撮っていたからです。
これにはびっくり、凍った水の上だから見られたのですね。
とてもめずらしいお写真だと思います。宅地に変わっていく・・・とても
悲しい思いで読ませていただきました。
by miya_gon (2013-03-03 07:21) 

ichii

コサギさん、寒さを忘れるほど、爽やかな白い色ですね。
美しいです。

>たった一つ、その場では、決してページを開いて読み始めないことだけを厳守しながら
その気持ち、よくわかります。
気を抜くと、懐かしさに取り込まれてしまい…^^;
早く、お部屋の本が落ち着くといいですね。

by ichii (2013-03-03 19:59) 

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