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百合の花と黄揚羽と [花・昆虫]

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                                           ヤマユリ 山百合  ユリ科  ユリ属

   夏山の風のさびしさ百合の花さがして登る前にうしろに   若山牧水  

                           歌集  白梅集   夏の歌  山百合より

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 上に引用した牧水の歌のように、中学生くらいの頃、両親の故郷である長野県下伊那の山道を、ユリの花を探して歩いた記憶があります。

 牧水の歌集には、この歌と共に、次の歌が載せられていて、友人へ贈るために山百合を探していたらしいことが分かります。

  山百合の花のひとたばさげ持ちて都へのぼる友に逢はむため   若山牧水

 僕の場合は、その頃はまだ写真を撮る趣味も無かったので、ヤマユリでもササユリでも、ただ山に咲いているユリの花を見たかっただけでした。しかし、後に「花の歳時記」という、現在は絶版になっている文庫本(社会思想社 現代教養文庫)の「ユリ」の項目に載っていた「夏山の・・・」の歌を見付けてから、若山牧水の歌に興味を覚えて、読むようになった記憶があります。

  夏草の茂みが上に伸びいでてゆたかになびく山百合の花  
  若山牧水  

                           歌集  白梅集   夏の歌  山百合より

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 ヤマユリは、僕が現在地へ越して来た、小学生の頃には、家の近くの雑木林の中などに、いくらでも咲いていました。

 越して来た直後の、小学校の五・六年生から中学生
の頃には、友人と一緒に山から採って来て、庭に植えたりもしました。ところが、植えた後一・二年は咲くのですが、三年目位からは、芽も出なくなってしまうので、その後は採集を諦めました。
 しかし、その内に更に宅地開発が進み、家のすぐ近くまであった雑木林も殆ど失われて、当然ヤマユリも見られなくなってしまいました。

 写真のヤマユリは、近くのJAの直売所に、生産者が鉢植えで出していたものを、買って来て植えてみたものです。来年も咲くかどうかは分かりませんが・・・

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                                     オニユリ  鬼百合  ユリ科  ユリ属

 こちらは、ヤマユリとは対照的に、それぞれの葉の葉脇に生じたムカゴから、いくらでも増えて行くオニユリです。 

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                                 キアゲハ  黄揚羽  鱗翅目  アゲハチョウ科

 昨年は、アゲハとクロアゲハが、オニユリの花を訪れてくれたところを写真に撮れましたが、今年はキアゲハが来てくれました。

 勿論、他の種類の蝶たちも、訪れてくれてはいるのでしょうが、僕が撮れたのはキアゲハだけでした。

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     夏の光よ

     夏の風よ

     眩いほどに

     輝く季節よ

     時の流れは

     今この瞬間を

     惜しむことなく

     駆け抜けて行く

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     けれどもやがて 

     夏の夢は

     夏の記憶は

     切ないほどに

     遠ざかって

     失われた時は

     ためらうように

     漂い去ってしまう

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 まだ、始まったばかりの夏に、オニユリは眩いばかりのオレンジ色の花を、惜しむこともないように次々と、咲かせてくれています。

 子供の頃は、夏休みが始まると、それが永遠に続くかのような気がして、ただひたすらに楽しかったような気がします。
 でも、夏休みが終わりに近づくと、何だか虚しさのような思いが、心を占め始めたことも、確かな記憶として残っています。
 

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                                  カサブランカ (オリエンタル・リリー)  ユリ科  ユリ属

 最後のユリは、オリエンタル・リリーと呼ばれる、園芸品種のユリの一種である「カサブランカ」です。

 オリエンタル・リリーは、「東洋のユリ」と言う意味の通り、その原種には、ヤマユリやカノコユリ、また鹿児島県のトカラ列島産のタモトユリなど、日本を原産とするユリが、主に利用されているのだそうです。

 この花自体は、オランダで作出されたものですが、元々は日本のユリだったということになります。

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 「カサブランカ」は、スペイン語やポルトガル語で、「白い家」という意味ですが、本来はモロッコ王国の都市の名前です。
 でも、むしろハンフリー・ボガートとイングリッド・バーグマン主演の映画のタイトルとしての方が、より知られているかも知れません。
 尤も、七十年も昔の映画ですが、それでも今も普通に、廉価なDVD版が手に入りますし・・・

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 先日来の酷暑の後、急に気温が下がりましたが、家の庭のカサブランカは、丁度その頃に開花し始めました。
 その為、咲き始めた日には、朝少し開き掛けたままの状態で一日を過ごし、翌日になって全開となりました。

 おかしな気象状況に、まるで花も戸惑っているかのようでした。

 そして、寒い程の数日の後、再びの酷暑が戻って来ました。
 熱中症の話題が、繰り返しニュースとして報道されています。

 どうぞ、皆さんもご自愛下さいますよう、お願い致します。


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コメント 6

ゴーパ1号

おはようございます。
そういえば、庭のヤマユリ、消えちゃった。
今はオニユリがたくさん咲いてます。
by ゴーパ1号 (2012-07-26 06:54) 

mimimomo

おはようございます^^
今年は山百合を写しました。
山百合は難しいのでしょうね。球根を移動させると枯れると言う話を
耳にしたことが有ります。
でも、千葉市の平和公園の山百合は今年は沢山に増えていました。
来年どうなるか見ものです^^
山百合もカサブランカも香りが良いですよね。山ユリが母体だと言われると
何となく納得です。
by mimimomo (2012-07-26 09:27) 

(。・_・。)2k

蝶の寫眞 見事ですね(^^)
ユリもいろんな種類があるんですね~

by (。・_・。)2k (2012-07-26 22:25) 

ぜふ

はなびらに掴まったアゲハが翅を震わせると、
ちょうど雄しべの花粉が舞い散るようになっているんですよね。
はなびらはその絶妙の間合いになるように反り返っているのがフシギでおもしろい。

カサブランカが元々日本のユリというのは意外というか、むしろ納得というか・・^^
by ぜふ (2012-07-26 22:48) 

ねこじたん

存在感が すごいですね!
by ねこじたん (2012-07-27 00:26) 

albireo

◇ ゴーパ1号 さん
やっぱり、そうですか…
オニユリは、よく増えてくれますよね。

◇ mimimomo さん
園芸品種は、冬には球根を土から上げた方が良いと言いますが、
山百合は、やっぱり無理なのでしょうね…
mimimomo さんの山百合の写真、楽しみにして居ります。

◇ (。・_・。)2k
オニユリには、毎年蝶が来てくれるのですが、やっぱり自宅の庭だと、
多少は撮り易いですね。

◇ ぜふ さん
アゲハの翅にも、花粉が付着していますね。
花と昆虫との係わりって、本当に不思議で、本当に面白いです。

◇ ねこじたん さん
カサブランカも、今年は昨年よりは沢山咲いたので、それなりの存在感は感じました。
by albireo (2012-07-27 20:56) 

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