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原子力発電 [防災]

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 これは、東京電力が、発電所の見学者への配布用に作成した、手帳の見開きページです。

 手帳のタイトルは、「未来へのパスポート PASSPORT for FUTURE 」

 内容的には、小中学生の見学者向けと思われますが、僕の父が、以前の仕事の関係で、福島の原発の見学をした時に、貰って来た物だそうです。

 昨年三月十一日の地震の際に、父の嘗ての仕事用の資料棚から崩れ落ちて来た、本や書類と共に出て来たものです。

    *画像をクリックすると、大きくなり、手帳の文字が読めます。


 

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  この手帳には、「地震だって 平気だよ!」とありますが、津波に就いては触れていません。
 ただ、「どんなことが起きても」放射性物質を「外へ出さない」とは書いてあります。

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 軽水炉の説明では、「かしこい」という言葉で、原子炉を擬人化さえしています。

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 今回引用した画像に就いては、地震に関するページを中心に紹介したため、編集されたままのページ順ではない事をお断りして置きます。

 また、この他にも、「原子力の歴史」や「核融合エネルギー」の概説、また水力や火力の発電に就いても書かれています。もし今回の事故が発生しなければ、電力や原子力平和利用の分かりやすい手引書と言えたかも知れません。
 

 しかし、どのページを開いて見ても、ひたすらに原発の安全性のみが強調されていて、リスクやデメリットと言った、マイナス要因に就いては触れられていません。

 常に、繰り返しこのような説明がなされていれば、多くの人が安全を疑わなかったとしても無理は無いのかも知れません。
 そして、関係者自身の頭の中にも、こんなに絶対的な安全の概念があったとすれば、昨年の地震の際に起こったことは、夢か幻のようにしか思えなかったことでしょう・・・
 将に、「安全神話」に外ならないと思います。

 ここから、どうやり直して行けるのか、冷静に問い直さなければならない訳ですが、日本が世界で初めての被曝国であること、そしてその時の原子爆弾よりも、今回の事故の被害の方が、広範囲に亘るものであることを忘れてはならないと思います。

 因みに、この手帳の巻末には4ページに亘って、1993年から19年間分のカレンダーが掲載されています。そして、何とも皮肉なことに、そのカレンダーは2011年で終わっています。

 昨日今日の二日間は、昨年の地震と被災地関連の番組が沢山放送されていました。

 しかし、復興が遅々として進んでいない現状には、歯痒さと同時に、恐ろしさも感じてしまいました。
 東北が、未だこのような状態の中で、関東あであれ東海であれ、次の地震が来たら、日本は壊滅してしまうのではないかという気さえします。

 それなのに、各政党は地方自治体の独裁的な思想を持った首長(しゅちょう)たちからの、「維新」だの「保守新党」だのという発言に翻弄されて、肝心の震災復興を忘れているように感じるのは、僕の思い過ごしでしょうか。

 僕は、このブログには政治的なことは、書かないことにしていました。しかし、ここのところ、そのような独裁的な首長(しゅちょう)たちが、平和憲法を目の敵にして、憲法改正のための国会での賛否の比率を下げようとか、現行憲法の破棄だとか、不穏な言動が目に付きます。
 どんな思想を持とうとも自由ですが、大災害後の不安定な情勢を利用するかのように、
日本が法治国家であることを無視してでも、自分たちの主張を通そうとする者がいることには、充分に注意しておかなければならないと感じています。

 昨日、三月十日は、六十数年前に東京大空襲があった日でした。
 テレビでも、震災関連の番組と同時に、東京大空襲に関する番組を放送していた事もあり、この目で軍国主義の世の中は見たくないと思った次第です。

 
 今の僕には、被災地の野菜や海産物を買うことや、早い復興を願う事しか出来ませんが、政治家には、つまらない政治的画策は止めて、早急な復興を目指して欲しいと思います。

 そして、今は少しづつでも、次の地震への備えを怠らないようにしながら、出来る限り、世の中の動きを見詰めていたいと思っています。
 


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コメント 11

ばん

仰せの通りですネ。
by ばん (2012-03-12 00:50) 

(。・_・。)2k

2011年で終わることが決まっていたんですね、、、

by (。・_・。)2k (2012-03-12 01:17) 

ねこじたん

2011年でおわってるとは…

by ねこじたん (2012-03-12 02:58) 

mimimomo

おはようございます^^
難しい問題ですね。
by mimimomo (2012-03-12 07:55) 

ゴーパ1号

こうやって住民の人達を命ごと巻き込んでいったわけですね。
by ゴーパ1号 (2012-03-12 14:22) 

春分

東海村の施設は行ったことがありますから、うちにもあるかな。
二重三重に守られているから大丈夫だと私も信じてましたけども。
「だからダメだって言ってたんだ」とは言えないです。
黙ってた人も含めて大人はみんな責任はあるのではないかな。
せめて我が県も瓦礫の受け入れをして欲しいです。
by 春分 (2012-03-12 17:49) 

ぜふ

今夏に発表されるらしい、新しいエネルギー政策は気になりますね。
”安全神話”も「原子力発電所は停電することがある」ことがわかって消えてくれればよいですが、またぞろストレステストの実績などを掲げて再構成するような施策がでてこないことを祈ります。
by ぜふ (2012-03-12 23:23) 

きまじめさん

安全神話が崩れ去ってもなお、
色々理由をつけて、
何とか原発再開の流れにのせようとしているように見えてしまいます。
この様な状態で、次の震災が起こったら・・・とても不安です。
by きまじめさん (2012-03-13 23:00) 

じゅんぺい

地震の日に手帳が見つかって
カレンダーが2011年までだったなんて
何かの因縁としか思えませんね。
五つの壁が吹っ飛ぶことを
誰も考えなかったのでしょうか…。

by じゅんぺい (2012-03-15 12:07) 

はてみ

私は広島の原爆で放射能がとても恐ろしいものだと認識したし、
放射性廃棄物がとても長い期間放射線を出し続けると知って、
十代の頃から機会があれば原子力発電はやめるべきと、雑談レベルで主張していましたが、
「世の中のことがわかってない」なんて、ばかにされてばかりで、つらかったです。
こんなひどい事故が起こる前に、自分が感じていた危険をまわりに理解させられたらよかった。
でも難しいんですよね。
軍国主義的な雰囲気を感じてその危機感を友だちに伝えても、
「まさか戦争なんか起こるわけないじゃない」とあきれられてしまうし。
それでも、小さい声で言い続けようと思います。
by はてみ (2012-03-16 20:46) 

asahama

カレンダーが2011で終わってるのは何ともびっくり・・・
「安全だ」と言われれば言われるほど何だか心配になります。

by asahama (2012-03-21 11:32) 

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