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四年ぶりの奈良-1- ~興福寺~ [社寺]

              五重塔.jpg

 11月10日。
 久し振りに奈良へ行って来ました。
 前回行ったのが、2007年の11月でしたから、丁度4年振りということになります。 

 今回も、何時も通りの日帰りで、朝6:00 東京駅発ののぞみ1号で行き、夕方16:42 京都駅発ののぞみ244号で、帰って来ました。

 この日は曇り空で、こうした建物の写真を撮るには、些か残念な天候でしたが、天気予報で聞いていたような雨天にはならず、それ以外ではなかなかいい一日でした。

 

阿修羅フィギュア.jpg

 奈良へ行った第一の目的は、勿論 「この人」↑ に会うためです。

 「この人」、つまり「興福寺の阿修羅像」に会うのは、約2年半ぶりのことです。

 2009年の3月~6月に掛けて、上野の東博へ阿修羅が来てくれた時には、8回程も会いに行きましたが、その後は2年半も会いに行けずにいました。
  *因みに、上の画像はその時の「阿修羅展」限定販売のフィギュアの写真です。

 

国宝館.jpg 

 現在、阿修羅がいる場所は、興福寺の旧・食堂(じきどう)跡に建てられた「国宝館」です。

 興福寺では、東博と九博での展覧会の後、国宝館での展示方法も変更したと言うことでしたから、どのような展示なのか、早く観たいと思っていました。

 

阿修羅ポスター.jpg

 以前の展示では、ガラス越しの対面でしたが、新しい展示では八部衆の仲間たち共々、直接会うことが出来るようになっていました。(但し、顔と胸部のみを残して破損の著しい「五部浄(ごぶじょう)」に就いては、ガラスケースに収められています)

 10月から11月頃に奈良へ行くと、何時もそうなのですが、今回もまた修学旅行の中高生たちが大勢いて、国宝館の中もかなり混みあっていました。
 阿修羅の展示は、国宝館の一番奥の位置でしたから、僕は人波の間を縫うようにして抜けて行きました。その際何人かの男子生徒達が、前を塞いでいる他の生徒たちに「お~い、道を開けろよ」と、何度か声を掛けてくれました。そんな風に、他人を気遣うことの出来る男の子たちがいることを、僕は嬉しく感じつつ、「ありがとう」と言いながら、生徒たちを押しのけることなく、阿修羅の前に辿り着く事が出来ました。

 以前の国宝館の展示よりも、少し高い場所に立った阿修羅は、並んだ八部衆の中央に位置し、左右からのライトを受けて、背後に二つの影を写しだしています。

  上の写真は、興福寺の外の柵に掲示されていたポスターの一部を写したものですが、改めてこれを見ていたら、その幻想的な雰囲気に、僕は光瀬龍のSF小説「百億の昼と千億の夜」に登場する、「美少女・阿修羅王」の姿を、ふと思い浮かべました。

 

    特別公開ポスター.jpg

  実は、今回の奈良行きには、他にも幾つかの目的がありました。
  一つは、奈良博で開催中の「正倉院展」。
  そして、お隣の「東大寺」に新設された「東大寺ミュージアム」へ行くこと。
  更に、もう一つの目的は、上のポスターにある、興福寺の「国宝特別公開2011」という企画でした。
   *実は、京都駅に着いた時に、もう一つ目的が増えてしまったのですが、それは後程…

 

ポスター・三重塔.jpg

 興福寺の三重塔は、南円堂の後ろを少し下った、あまり目立たない場所にあります。

 普段は閉ざされている初層の扉の中には、上のポスターにある通りの「弁財天」が祀られています。

 「弁財天」は、七福神の一尊に数えられる女神の「弁天さま」のことですが、興福寺のこの弁天さまは、頭上に鳥居を頂き、その間から老人の顔が覗いていると言う、些か不思議な姿をしています。
 その老人の顔をした存在は、人頭蛇身の「宇賀神(うがじん)」という神様です。

 七福神の絵などに描かれた弁天さまは、手に楽器の琵琶を抱えていることが多いのですが、そちらを「妙音弁財天」といいます。
  これに対して、鳥居と宇賀神を頭上に頂く、こうした姿の弁天さまを「宇賀弁財天」と呼びます。

 日本では「弁財天」もしくは「弁才天」と呼ばれる、インド伝来の(元の名をサラスヴァティという)この女神様に、僕は何故か心魅かれものがあり、弁天さまに就いて書き始めると、きりがなくなるので、今回はここまでとします…
  *実は、弁天さまに就いては、かなり以前に書きかけたままになっている記事がありますので、
    何時かはアップしたいと思っています。

 尚、写真をクリックして頂くと画像が少し大きくなり、この弁天さまの姿も、もう少しよく分かります。

 

北円堂.jpg

 北円堂は、鎌倉時代の運慶一門の作とされる弥勒如来をはじめとする、諸仏が祀られた堂宇です。

 興福寺の宗派である「法相宗(ほっそうしゅう)」の基本的な論理である「唯識論(ゆいしきろん)」を確立したとされるインドの学僧「無着(むちゃく)」と「世親(せしん)」兄弟の写実的な木像もここに安置されています。 

 

西金堂.jpg

 北円堂の前の芝生の中に、「西金堂跡(さいこんどうあと)」の石碑があります。

 今は、建物はありませんが、阿修羅を始めとする八部衆など天平時代の諸仏は、元はこの「西金堂」に安置されていたものです。

 

南円堂.jpg 

 「北円堂」に対する「南円堂」。

 ここには、美しい「不空羂索観音(ふくうけんさくかんのん)」が祀られていますが、通常は非公開で、今回の特別公開での開扉はありませんでした。

 

礎石・南円堂.jpg

 現在、興福寺では天平時代の 伽藍を再現する為の境内整備が行われています。

 

中金堂.jpg

 興福寺の中金堂は、火災で焼失後、江戸時代に仮金堂として再建された建物が、そのまま使われていましたが、あくまでも仮の堂宇として建てられたと言うこともあり、酷く老朽化が進んだ為、天平時代の姿を取り戻すための建て替え工事中です。 

 

中金堂工事現場.jpg 

 五重塔がなければ、ただのビル工事のようにも思えました。

 

五重塔-2.jpg

 現場のシートには、「平成30年落慶予定」の文字が見えます。

 

計画図.jpg

 「天平伽藍 興福寺境内整備」の計画を示す看板も建てられています。 

 

鹿-02.jpg

 奈良と言えば、僕には「阿修羅」の他には、鹿が思い出されます。

 

鹿-01.jpg

 興福寺を一巡りした後、奈良国立博物館へ開催中の「正倉院展」を観に行きましたが、ここも修学旅行の生徒たちでいっぱいでしたが、装飾の美しい太刀など、大方の名品は観ることが出来ました。
 尚、今年の「正倉院展」は、11月14日で終了しました。

 その後は、奈良公園内で鹿せんべいを買って、東大寺へ向いました。

 次回の記事は、(多分)東大寺です。


 


タグ:奈良 阿修羅 鹿
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コメント 11

ぜふ

興福寺のこの弁天さま、弁財天と書かれていないとわからないです^^
鳥居を頂いているのが目に付きますが、腕もたくさんあるんですね。

by ぜふ (2011-11-15 06:40) 

mimimomo

おはようございます^^
日帰りであちこちよくご覧になれますね~それだけ色々通じていらっしゃるからでしょうね。わたくしも
日帰りで行けたら行きたい所は沢山有るのですが、きっと一箇所見たら一日が終わりそうで・・・
結局、東京での阿修羅展も人が多くて嫌で行かず仕舞いになりました。
by mimimomo (2011-11-15 09:04) 

ゴーパ1号

芸術の神様、弁天様。とっても穏やかな素敵なお顔ですね。
見たかったなぁ〜。奈良っていいですよね。
by ゴーパ1号 (2011-11-15 09:13) 

さねさし

私が行ったときは北円堂閉まっておりました
二十三日までは行かれそうになく残念です 
国宝館も違った展示になっているんですね 見に行きたいですね
by さねさし (2011-11-15 20:13) 

sera

あ~懐かしいの興福寺!行きたいな~~

工事で周りはちょっと落ち着かないですね、、、
興福寺、正倉院と東大寺を回って、日帰りで、すごいです!
、、、もったいないでも思いますが、、、(汗)

私は以前、法隆寺に日帰りで行ったら、大変でした。
久世漢音が見たくて、無理やりに行きましたが、
もっといたかったです。

阿修羅像は新しい場所に移されましたか、、、
会いに行きたいな♪
by sera (2011-11-15 20:51) 

きまじめさん

奈良へは一昨年5月に行きましたが、
運悪く「興福寺の阿修羅像」様は東京に出張中でした。
皆と、なんと運の悪い、日程をよく考えなくてはと嘆いたものでした。
奈良へ日帰りできるのですね。考えた事ありませんでした。
by きまじめさん (2011-11-15 23:26) 

ねこじたん

小さい頃 シカに囲まれて泣いた事があります…
奈良はそんな思い出です
by ねこじたん (2011-11-16 01:41) 

miya_gon

はじめまして、阿修羅王好きです。福岡に来てくれた時に会ったっきりです。
光瀬龍読みました。確かに思い起こしますね。弁財天について書かれていたとのこと、興味津々です。楽器を弾く
関係上どうしても自分の技量の精進を願わずにいられない神様です。

by miya_gon (2011-11-16 07:49) 

マチャ

地元・奈良へようこそでした(^-^)/
私も先日、正倉院展の後で北円堂に行ってきました。
無著・世親像は最高傑作ですね。
by マチャ (2011-11-16 21:26) 

sakamono

阿修羅像のフィギュアなんていうモノもあるんですね。
密かな人気が伺えます^^;。
頭の上に鳥居のある弁天様なんて初めて見ました。
こういう弁天様もいるのですねぇ。
by sakamono (2011-11-19 11:09) 

asahama

奈良はゆっくり訪れたい場所です。
修学旅行以来行っていないもので・・・。
阿修羅展、8回もいらしたとは!何度もお会いするとまた格別なのでしょうね^^

by asahama (2011-11-29 00:51) 

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