夜咲く花 [花]
オシロイバナ オシロイバナ科 オシロイバナ属
オシロイバナは、南米原産ですが、江戸時代初期には既に日本に渡来していたと言います。
名前の謂われは、種を潰すと出て来る白い粉状の胚乳を、白粉(おしろい)に見立てた事に拠ります。
色は様々で、ピンクや白、黄色などがありますが、花びらに見えるものは、ガクに当たる部分です。
この花は、普通に昼間咲いているようなイメージがある方が多いかも知れません。
でも、本当は夕方の四時過ぎ頃から咲き始める、夜咲く花の一つです。
夕暮れ時から咲き始める事と、オシロイバナという名を負うせいでしょうか、この花には「夕化粧」の別名があります。
でも、江戸時代初期に渡来したオシロイバナよりも、かなり後年の明治時代に渡来した、アカバナ科 マツヨイグサ属 の小さな赤い花の咲く植物に、ユウゲショウと名付けられた花があります。
ただ、オシロイバナよりも、そちらのアカバナ科のユウゲショウの方が後発であるせいか、「アカバナユウゲショウ」と呼ばれることもあるようです。
このような、夜間に咲く花の授粉には、スズメガという夜行性の大型の蛾が関わっている事が多いと言われています。
勿論、オシロイバナも例外ではありませんし・・・
オオマツヨイグサ アカバナ科 マツヨイグサ属
先日紹介しました、オオマツヨイグサも例外ではありません。
でも、この花は写真で見ても解ると思いますが、雄蕊と雌蕊が接近している為、昆虫などの媒介がなくとも、比較的容易に自家受粉が出来るようです。
また、このような小型の蛾が訪れていた事もありましたから、 マツヨイグサの仲間には、様々な授粉媒体が存在しているように思います。
メマツヨイグサ アカバナ科 マツヨイグサ属
こちらは、オオマツヨイグサよりも、かなり小型の花を咲かせるメマツヨイグサです。
上のオオマツヨイグサよりも、かなり遅れて帰化しました。
この植物の増加が、同属のオオマツヨイグサを駆逐してしまったと考えられており、現在はごく一般的な”雑草”として、あちこちに繁茂しています。
このメマツヨイグサの花には、やはり小さな蛾や、徘徊性のクモなどを見掛けることがありますから、そうした小型の昆虫や、クモのような小動物が、授粉に関与しているのかも知れません。
タカサゴユリ ユリ科 ユリ属
スズメガが、授粉の媒介をするとされているのは、夜間にのみ咲く花ばかりではありません。
昼咲く花の中には、夜間には閉じてしまう花も少なからずありますが、このユリのように昼夜を問わず花を開いている植物で、特に大型で白い花を咲かせる種類の授粉には、スズメガの存在が大きく寄与していると考えられているそうです。
カラスウリ ウリ科 カラスウリ属
この花は特に、スズメガの媒介を頼りにしていると言えます。
雌雄異株のカラスウリは、マツヨイグサのような自家受粉の可能性はまったく考えられない為、仲介する昆虫の存在が、授粉の必須の条件となります。
そして、その昆虫も当然、この花と同様に、夜行性のものでなければなりません。
また、カラスウリの花の周囲のレース状、或いは糸状の部分は、闇の中を飛来するスズメガに、花の所在をより明確に知らせる為に発達したと考えられているようです。
実は、カラスウリの写真を撮りに行った際、吸蜜に訪れたスズメガを、確か二回ほど見掛けています。
でも、残念ながら写真は撮りそびれてしまいました…。
真夏の夜に咲くカラスウリの花も、八月も終わりに近づいて、花の数も夜毎に少なくなって来ました。
それでも、まだもう少しだけ、カラスウリの花には、咲き続けるものもあります。
花が終わると、雌株にはやがて、小さな緑色の果実が付き始めます。
そして、本格的に秋が訪れる頃、色付いたカラスウリの実は、艶やかな朱色に染まって行きます。
尚、スズメガに就いては、昨年の九月に「夜飛ぶ蛾の役割 <ブドウスズメ>」という記事を書いています。
そこに、スズメガの一種である、「ブドウスズメ」の写真を載せていますので、興味のある方は、宜しければご覧下さい。
また、今回のこの記事が、先日の記事「暗闇に咲く花 ~カラスウリ~」に頂いた、 ゴーパ1号 さん・dino-tail さんからのコメントへの、答えになっていたら幸いに思います。
おはようございます^^
‘ガ’にはあまり関心がないので全然と言っていいほど知らないのですが、
こうして色んなお花を見せていただいていると、夜咲くお花って案外多いことに気づかされました。
by mimimomo (2010-08-30 05:17)
なるほどです。ありがとうございます。
色や形など「無駄」なデザインは無いという事ですよね。
種を残すために。
by ゴーパ1号 (2010-08-30 08:54)
オシロイバナの香りは、子供の頃の夏休みを思い出す匂いです。
by すずめ (2010-08-30 13:51)