SSブログ

奈良―法隆寺― [社寺]

11月3日の奈良は、青い空に白い雲が美しい、心地よい晴天でした。

今回も、日帰りで出掛けた奈良でしたが、興福寺の特別拝観と奈良博の正倉院展を見た後、もう一箇所どこかへ行けそうだったので、取り敢えずJRの奈良駅へ行って、次の行き先を決めることにしました。
そして、帰りの新幹線の時間から逆算して、行けそうな社寺を探した結果、法隆寺へ向かうことにしました。

 法隆寺 中門と五重塔

僕が、前に法隆寺へ来たのは、確か1999年の10月だったという記憶があります。

それ以来、本当に久し振りの法隆寺でした。

法隆寺は、平成五年(1993年)に、日本で最初のユネスコの世界文化遺産として登録されています。

日本最古と言われる金剛力士像・阿形。

口を開いている像が「阿形(あぎょう)」で、口を閉じているのが「吽形(うんぎょう)」です。
「阿吽の呼吸」という言葉は、この「阿」と「吽」からきています。

「阿・吽」とは、本来はインドのサンスクリット語で、最初の言葉「ア」と最後の言葉「フーム」が語源とされていて、万物の始原と終末を表しているのだそうですが、「阿吽の呼吸」という言い回しからは、本来の意味は既に失われているようにも思えます。

この像を見ながら、小学生くらいの男の子が、一緒来ていた友達に、「これが阿形で、こちっちが吽形なんだよ」と、得意そうに説明していました。どうも、お父さんに教わったようでした。



こちらは、吽形(うんぎょう)の金剛力士像。

どちらも塑像ですが、残念ながら吽形の金剛力士像は、顔と右腕以外は、16世紀頃の補修で木造に作り直されてしまったと言うことです。

多くの寺院では、南大門の両脇に立って寺院を守っている金剛力士ですが、飛鳥時代には中門に安置されるのがふつうだったようです。

この像の前では、別の小学生の女の子が、「ねえ、この人どうしてここに立っているの?」とお母さんに質問していました。訊かれたお母さんの方は、返事に窮している様子だったので、「この人は、金剛力士と言って、このお寺を守っている人なんだよ」と言うと、「へえ、だからこんな格好をしているんだ」と、女の子は取り敢えずは納得してくれたようでした。

 

 

法隆寺には、昔から七不思議と呼ばれているものがあります。
その多くは、不思議とも何とも言えないような出来事だったり、現象だったりします。
例えば、お寺の伽藍にはクモが巣を張らないとか、地面に雨だれの穴があかないなどということも、七不思議に含まれています。しかし、法隆寺長老の高田良信さんの著書「法隆寺の謎」によれば、事実はクモの巣も沢山あるし、雨が降れば雨だれの穴も沢山出来るそうです。

そんな七不思議の中に、「五重塔の屋根に立つ、九輪(くりん)に四本の鎌がある」と言うのがあります。

実際、写真を拡大して見ると、このように鎌が写っています。
その理由はよくは解りませんが、前述の「法隆寺の謎」では、昔は雷を魔物の仕業と考えていたところから、雷除けのために、鎌を取り付けたのではないかと、高田良信長老は推測されています。

回廊の柱の胴には、エンタシスと呼ばれる、ふくらみがつけられています。
これは、古代ギリシアの様式と同様であるため、遥かにシルクロードをたどって日本にもたらされた建築技法と考えられています。

  「夢殿」に向かう参道

昔、法隆寺の宗派は、前回の記事の「興福寺」と同じ、「法相宗(ほっそうしゅう)」でした。
しかし、現在は「聖徳宗(しょうとくしゅう)」という独自の宗派を立てて、その総本山となっています。
「聖徳宗」の名は、法隆寺が聖徳太子所縁(ゆかり)の寺であることに由来するのだと思いますが、近隣にある中宮寺や、法起寺・法輪寺なども「聖徳宗」に所属しています。

 

十一月の初めでは、紅葉には少し早過ぎましたが、桜の葉だけは赤く色付いていました。

 

法隆寺の「夢殿」隣には、尼寺の「中宮寺」があります。
その中宮寺の庭に咲いていた八重の山吹です。

 

参考図書 

法隆寺の謎

法隆寺の謎

  • 作者: 高田 良信
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1998/10
  • メディア: 単行本

魅惑の仏像 釈迦三尊―奈良・法隆寺金堂

魅惑の仏像 釈迦三尊―奈良・法隆寺金堂

  • 作者: 小川 光三, 西川 杏太郎, 山崎 隆之, 西村 公朝, 小川 瞳, 高田 良信
  • 出版社/メーカー: 毎日新聞社
  • 発売日: 2001/01
  • メディア: 単行本

魅惑の仏像 (27)

魅惑の仏像 (27)

  • 作者: 小川 光三
  • 出版社/メーカー: 毎日新聞社
  • 発売日: 1996/09
  • メディア: 大型本

 

 

追記
先日、このブログも、皆さんに頂いたnice!が10,000になりました。
このところ、更新も滞っていて、ずっとコメントバックもしていない上に、皆さんのブログへのご訪問も、遅れがちになっています。
にも拘わらず、いつも来て頂き、優しいコメントを下さる皆さんには、本当に感謝しております。
ちなみに、記念すべき 9999から10001までを踏んで下さったのは、lapisさんでしたことを、申し添えておきます。

また、So-netブログ以外の方からも、時折随分以前の記事にコメントを頂いたりすることもあります。
それもまた、とても嬉しいことです。
コメントをして下さる方。そっと覗いて見て下さる方。また、So-netブログの方。それ以外の方も含めて、いつも僕の拙いブログをご覧になって下さる方々に、改めて心よりの感謝を申し上げます。
そして、これからも何卒宜しくお願い致します。


 

 


nice!(18)  コメント(15)  トラックバック(2) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 18

コメント 15

アルファルハ

albireoさん
10、000niceおめでとうございます。
by アルファルハ (2007-11-13 02:18) 

おはようございます^^
この阿・吽の金剛力士像って何故だか親しみがわきます^^
法隆寺のご両人は特に立派ですね^^

albireoさんのお話で法隆寺自体も少し理解が進みそうです。
いつもありがとうございます~♪
by (2007-11-13 05:14) 

じゅんぺい

10000niceおめでとうございます♪
albireoさんの知識の豊富さにはいつも驚いています。
そして自分の無知…にも((((((^_^;)
これからもいろんなお話、楽しみにしています!!
by じゅんぺい (2007-11-13 05:28) 

Silvermac

albireoさん、 10,000ナイスオメデトウございます。思えば私がブログを始めた頃からのお付き合い、これからも宜しく。お互い続けましょう。
by Silvermac (2007-11-13 08:15) 

春分

もうすぐ1万nice!と思っていましたが、踏めませんでした(残念)。
ですがlapisさんは踏むのに最もふさわしい方と思います。
奈良の情景と法隆寺の解説はとてもいいですね。基本を踏まえ、
トリビアネタと思われる内容も交え、誰もが楽しめると思いました。
よそのお子さんとの小さな出会いもまたいい情景ですね。
蜘蛛の巣の件は知りませんでした。
by 春分 (2007-11-13 11:52) 

春分

話は違いますが、こぎんさんのところでアオスジアゲハの幼虫と蛹の
特集(?)をしていました。これはなかなかすごいです。
http://blog.so-net.ne.jp/kogin/2007-11-11
by 春分 (2007-11-13 11:53) 

konkon

10000niceおめでとうございます。
albireo さんのブログを楽しみにしている人の多い証ですね。
この時期の奈良、いいでしょうね~
最近は出かけることがままならないのですが、
若いときは途中下車してよく奈良の町を歩きました。
懐かしし思い出です。
前頁と、今日のページ、拝見して、ああ、また奈良の仏たちに会いに
行きたいなと・・・
前頁の阿修羅像 随分昔に拝観しました。
 < 阿修羅見し堂出て纏うショールかな >
丁度今頃の時期でした。
by konkon (2007-11-13 17:09) 

penpen

10,000ナイスおめでとうございます。
日帰りでずいぶんたくさん回られたのですね。「阿・吽」はサンスクリット語なのですね。日本語の初めの「あ」と最後の「ん」と同じなのですね。
by penpen (2007-11-13 21:26) 

渋樹

こんばんは、今冬の間、奈良へ必ず行くつもりでいます。
夢殿の形はやはり良いですねぇ。

10000nice、おめでとうございます。
引き続き、楽しみにしています。
by 渋樹 (2007-11-13 22:02) 

10,000nice!おめでとうございます。
今後とも、よろしくお願いいたします。
10,001は、確かに僕が押したのですが、10,000は多分COLEさんだと思います。
蝶の記事を拝見した後、用が出来たのでブログを拝見するのをいったん止めました。その後またお邪魔したとき、ちょうど10,000になっていたので、10,001を押させていただきました。
前記事でのコメントの書き方が悪くて申し訳ありませんでした。

八重の山吹、とても綺麗ですね!
この時期にも咲くものがあるとは思いませんでした。
by (2007-11-14 20:58) 

sakamono

10,000nice!おめでとうございます。
いつもステキな写真と、興味深い記事をおもしろく拝見しています。
法隆寺は修学旅行で行ったきりですが、大人になった今、京都、奈良辺りを散策してみたいなぁ、と思います。また違った感じがするのではないかと...
by sakamono (2007-11-15 00:30) 

dino-tail

おひさしぶりです!PCの不調でしばらくぶりでお邪魔しました。
そうしたら、抜けるような青空と力強い金剛力士像の写真で
なんだか嬉しくなっちゃいました!
あおによし~ と一句ひねりたくなっちゃいますね。
これからまたちょくちょくお邪魔させていただきたいと思いますので
どうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m
by dino-tail (2007-11-15 11:24) 

さねさし

10000ナイスおめでとうございます 伺うごとに何か教わること多くとても楽しみにしております
奈良といいますとついつい会津八一の歌でお寺めぐりをしているような気がして 歌を書きたくなります 特に下の歌は好きです

夢殿の救世観音に
「あめつち に われ ひとり ゐて たつ ごとき この さびしさ を きみ は ほほえむ」
by さねさし (2007-11-18 21:01) 

はてみ

女の子に教えてあげられて、よかったですね。
先日水鳥公園で、コサギを見た若い女の子たちが、
「あれ、トキじゃない?」などと言っているのを聞いて(!)、教えてあげるべきかと思いましたが、
「ちがうんじゃない?」という声が上がったので、胸をなでおろしました(^^)
by はてみ (2007-11-18 22:20) 

aranjues

小学校の修学旅行で行ったきりの法隆寺、日本初の世界遺産、
行かない手はないですね。
by aranjues (2007-11-28 11:56) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 2

奈良―興福寺―秋の日―赤い果実― ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。