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江戸時代の梅の絵 『乾山遺墨』 [古書・古文書]

そろそろ、梅の花も終わりに近づきました。

そこで、今回は江戸時代の梅の絵を紹介します。
絵と言っても、木版本です。

これらの梅の絵は、元々は陶器に描かれていました。

元の陶器の作者は、江戸中期の陶工「尾形乾山(おがた けんざん)」(1663~1743)です。

その陶器の絵付け図柄を集成して、「乾山遺墨」を出版したのが、江戸後期の文人画家「酒井抱一(さかい ほういつ)」(1761~1828)でした。


僕の手許にある本は、表紙の題箋が傷んでいますが、よく見ると「乾山遺墨」と書かれているようです。
この本は、183年前の文政六年(1823年)に出版されたものの一部で、ここには陶器の図柄が集められています。

この絵は、抱一か、その系譜に連なる画家が、模写したものを、版木に起してすりあげたもので、今で言えば乾山の陶芸作品の「図録」のような物と見ていいのではないかと思います。

勿論、様々な図柄の絵が載っていますが、今回はその内から「梅」の絵だけを紹介したいと思います。

  

同じような構図で、写真を撮りたかったのですが、それは無理でした・・・。

 

この図だけは、クリックすると大きな絵が表示されます。

 

尾形乾山は、江戸中期の京焼の陶工です。
御室焼の野々村仁清から陶法を学び、京都に「乾山窯」を起し、作陶を始めました。また、陶芸作品の他に、絵画も残されています。

乾山の兄には、画家として有名な尾形光琳がいます。
その為、乾山の陶器には、兄である光琳が絵付けや意匠を受け持った作品もあるそうです。

「乾山遺墨」を編集した酒井抱一は、姫路城主酒井忠以(ただざね)の弟で、様々な文芸の才能に恵まれ、最終的には画家として優れた作品を残しています。
自ら、尾形光琳の起した「琳派」の後継者を自負していましたが、画風には江戸後期の通人らしい、繊細で洒脱な面が現れていると評されています。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

先日、上野にある「東京国立博物館」(略称:東博)から届いたメール・マガジンによると、博物館奥の「庭園」では、「江戸彼岸枝垂れ」が、咲き始めたということです。(庭園は、常時開放されていませんが、現在は春の開放期間にあたります)

また、館の前庭では、「関東タンポポ」も、開き始めたと書かれていました。

運が良ければ、「シロバナタンポポ」にも、会えるかも知れません。

早速、明日の土曜日にでも行って来ようかと思っています。

枝垂桜の写真が撮れたら、明日の記事に掲載しようと思います。

 


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蒲公英

今年のシロバナタンポポ・・楽しみにしております。
蒲公英はどれも大好きですが、出会った事のない白い花びらには、とても魅力を感じます。
by 蒲公英 (2006-03-25 03:07) 

昔の梅を好んだ人が多かったようですね。
今年は、梅の開花が遅れたようで、筑波山の梅園は、去年より2週間おくれて開花したそうです。
by (2006-03-25 04:36) 

マイケル

酒井抱一は、姫路城の歴史を調べていた時出てきました。姫路城の大天守の中にも作品が展示されていたと思います。
by マイケル (2006-03-25 08:13) 

Runa

昔の人って 桜より 紅梅や 白梅 梅が好きなんでしょか?
紅白で めでたい なんて事は・・・ないですよね。
お写真の 梅 とても 綺麗ですね。
こちらでも シロバナタンポポに あえると 良いのですが
見つけたら 絶対 写真撮りたいです。 下手ですが
by Runa (2006-03-25 11:33) 

YAYA

白い花びらの中で、花弁が踊っているようです♪
梅清楚な面持ちで見ているのか、見つめられているのか・・・。
尾形光琳と尾形乾山は兄弟だったんですね。

シロバナタンポポの会えるといいですね、写真楽しみにしています。
by YAYA (2006-03-25 12:46) 

shareki

albireoさんらしい、風情のある記事ですね。
落ち着いて、お茶飲みながら見ていたくなります^^
by shareki (2006-03-25 16:34) 

m-tamago

江戸時代の梅の図、じっくり見たことありませんでした。花はそれほど精巧に描かれていませんが、枝振りがなんとも美しく描かれていますね。梅らしいーって感じがします。
江戸時代の木版画や図って好きです。これからも色々ご紹介ください。
by m-tamago (2006-03-25 17:26) 

じゅん

昔から、梅はよく愛されてきたのだと再確認です。
ポップコーンのようにポッポッと愛らしいですね。
by じゅん (2006-03-25 17:59) 

こんばんは。
緒方乾山はお茶道の茶碗で有名ですね~~もちろん私たちの目に触れるのは本物ではないですが・・・
by (2006-03-25 19:18) 

あやこ

絵には、写真とは違った魅力がありますよね^^
昔の絵は、ぬくもりを感じます♪
by あやこ (2006-03-25 20:59) 

tan-daily_blog_nature

やっぱり、和に梅はマッチしますね!
by tan-daily_blog_nature (2006-03-25 21:53) 

さねさし

ほんとに素敵なお写真と古書の梅の絵と関連づけられて とても惹かれました

 あひにあふ ときはの宿の 花なれば 長く久(?)しく 匂ふ梅が香

   と読めばよろしいでしょうか

              紫翆(?)省画

  と読めばよろしいでしょうか

 
by さねさし (2006-03-25 22:32) 

ちゅーりっぷ

これはこれはとても貴重なものを見せていただきありがとうございます。
桜もいいけれど梅の花も素敵です。
by ちゅーりっぷ (2006-03-26 00:40) 

ブログと(最近買った)カメラのお陰で、今年の春は、特に、梅に関心が向きます。
先週も、近所の親水公園に撮りに行ったのですが、上手く撮れませんね。

歴史を超えて愛されてきた梅・・・ますます好きになってきました。
by (2006-03-26 08:39) 

はてみ

陶器そのものではなく、図柄をわざわざ木版画にして出版する、そんなことを
183年前にやっていたというのがおもしろいです。
カメラがあればやはり写真で残すところだったんでしょう。
素晴らしい図柄だと評価されていたんですね。
梅の実物とはまた違った味わいがいいです。
by はてみ (2006-03-26 22:47) 

penpen

絵と写真を交互に載せられているのですね。どちらも素敵です。5枚目なんて書いてあるのかなと思えばsanesasi さん ありがとうございます。
by penpen (2006-03-29 21:10) 

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