秋の色 その一 [季節]
リンドウ 竜胆 リンドウ科 リンドウ属
花屋の店先で売られているものとは、ちょっと違う雰囲気です。
切花として店先に並ぶのは、近縁種の「エゾリンドウ」を改良した栽培種です。
花びらのそり方など、比べて見ると随分違うところが目に付きます。
この写真のリンドウは、すこし淡い青紫ですが、濃い青紫から赤紫、時には白花も見られ、変化に富んだ色合いの花があります。
また、リンドウやエゾリンドウの根は、漢方では竜胆(りゅうたん)と呼ばれて、胃薬などに利用されています。
いろいろな虫たちが、蜜を求めてやって来ます。
ホソヒラタアブです。
でも、その前に翅のあるアブラムシが、先客として訪れていました。
そして、これはハナバチの仲間です。
すっぽりと、花の中へもぐり込んでしまいました。
以前、『野菊』の記事のときに、伊藤左千夫の小説『 野菊の墓』の一節を紹介しましたが、その少し後には、こんな場面がありました。
花好きな民子は例の癖で、色白の顔にその紫紺の花を押しつける。やがて何を思いだしてか、ひとりでにこにこ笑いだした。
「民さん、なんです、そんなにひとりで笑って」
「政夫さんはりんどうの様な人だ」
「どうして」
「さアどうしてということはないけど、政夫さんは何がなし竜胆の様な風だからさ」
民子は言い終って顔をかくして笑った。
「民さんもよっぽど人が悪くなった。それでさっきの仇討(あだうち)という訣ですか。口真似なんか恐入りますナ。しかし民さんが野菊で僕が竜胆とは面白い対ですね。僕は悦(よろこ)んでりんどうになります。それで民さんがりんどうを好きになってくれればなお嬉しい」
伊藤左千夫 野菊の墓
野菊と竜胆の青紫は、僕にはどちらも秋の色だと感じます。
そして、次のこの花の赤紫も、やっぱり秋の色だと思います。
ホトトギス 杜鵑草 ユリ科 ホトトギス属
もうそろそろ終わりかと思っていたのですが、まだ沢山の花を付けていたホトトギスです。
昔、近くの小山の藪に咲いていた『ホトトギス』は、子供の頃の僕には、ちょっと不気味にさえ感じる花でした。
今は、好きな花のひとつになっていますが、それは多分『ホトトギス』が、大好きなユリ科の植物だと知った時からのような気がします。
でも、もう沢山の実を付けているものも、目に付きました。
11月の終わりごろには、この種も黄色くなって裂けるそうです。
リンドウの青、とても美しいです!特に1枚目が好きです。
やはり、albireoさんが撮られると、ひと味違います。
また、「野菊の墓」の引用も素敵でした。
過去記事で、申し訳ないのですが、2つほどTBさせていただきますのでよろしくお願いいたします。
by (2005-11-11 23:45)
蜂がすぽっと入っていってしまうところがおもしろいです。
それも花の“策略”なのでしょうね~。
ホトトギス…花は知っていましたが名前は初めて知りました。
よ~く見ると、おもしろい形をしていますね!!
by じゅんぺい (2005-11-12 05:34)
おはようございます。
リンドウの青いい色ですよね。いつもお花の美しさを綺麗に収めておいでです。
虫たちも、最後の出稼ぎかしら・・・?
by (2005-11-12 05:49)
蜂のおしりが愛らしい(笑)
りんどうの花、岩手の安代町が産地で有名ですがこれも色々な種類があるそうです。 ピンクとかもありますね。 綺麗です。
by 風の又三郎 (2005-11-12 07:31)
秋の色.りんどうの青が美しいですね。。。
青系を撮ろうとしても、色が飛んでしまいますε=( ̄。 ̄;)フゥ
ホトトギスも深みが増してきてますね♪
by mippimama (2005-11-12 07:44)
リンドウの青は凛とした風情できれいですね。わが家のホトトギスもまだ咲いています。
by Silvermac (2005-11-12 08:34)
何だか、本当に最近、お写真そのものがキリリと繊細になってらっしゃいますね・・
新種のリンドウは凛とした感じですが、このリンドウは、なんというか・・可愛らしい感じがしますね!
もじもじしていそうな感じがいじらしいです。
ホトトギス・・確かにお子様には、ちょっとグロテスクな花かもしれませんね(笑)
オニユリとか、彼岸花とかと同じ括りでまとめてしまえそうな気がします。
by ナナ (2005-11-12 08:48)
リンドウの青さが とても 美しいですね~
その青さに 吸い寄せられて 頭を突っ込んだハチさんの
おしりが 可愛いです。 笑
by Runa (2005-11-12 12:18)
albireoさん、本当に紫は秋らしい色ですね。青紫と赤紫両方見てしみじみそう思いました。
竜胆って胃薬としても使われているのですね、中国では薬として優れていて”竜のきも”と珍重されていたのでしょうか。漢字が不思議だったのですが、なるほど。
ホトトギスは私もグロテスクと思っていました。両方とも茶花に使われます。秋ならではのお花ですね。
by m-tamago(http://blog.goo.ne.jp/m-tamago/) (2005-11-12 15:24)
素敵ですねー♪りんどうもホトトギスも、この間までうちのリビングに飾ってありましたが、私はちーっとも何にもカンジなくて・・・情緒のない女です;
by (2005-11-12 17:26)
いつも思うんですが、自然界の紫って清冽な色ですね
by gillman (2005-11-12 17:48)
蜂のおしりがかわいいとは、思ってませんでした。
どうしたらこんなにうまく撮れるのだろうと目を見張るばかりです。
by 春分 (2005-11-12 17:58)
あらまぁ、また偶然だ。
by (2005-11-12 18:03)
リンドウは、ハチのサイズとぴったりですね。
ホトトギスは好きな花です、風情がありますよね。
写真は、どれもクリアで素晴らしい、さすがです。
by shareki (2005-11-12 18:21)
花の中に入っているハチ、、、面白いです(^_^)v(^_^)v
ホトトギスって、花の模様は欄みたい、、、
by sera (2005-11-12 21:17)
ふっくらと可愛いリンドウですね。生け花ではそのエゾリンドウを使っていたのですね。先が広がらずあまり好きなお花ではなかったのですが、最近やっぱりこんな風に先の開いたリンドウも見かけます。この方が虫さんも入りやすそうですね。こんなに突っ込んで出られるのかな。
by penpen (2005-11-12 21:24)
秋色というと紫が思い浮かびます。
リンドウの紫、綺麗な色ですね。
by atom (2005-11-12 23:54)
リンドウのブルーがすきなんです!
いいですよね。秋にこの色・・・
by (2005-11-13 00:18)
リンドウの色が綺麗で、それにハチがスポッとはまってしまうのが
面白い、、ナイスキャッチ。
ホトトギスもゲンノシヨウコのようにパチッと弾けて飛んで行くので
しようか・・・。
by puripuri (2005-11-13 00:22)
野菊の墓にそんな一節があったのですね。こんな幸せな場面があるのに悲しい結末なのが切ないですね。
by barbie (2005-11-13 01:27)
美しいです ほんとに初秋から中秋にかけての色にぴったり わたしの大好きな色を 堪能いたしました
by さねさし (2005-11-13 09:53)
リンドウの青いいですよね。。。
白もあったっけ?
by maya (2005-11-13 12:10)
マルハナ蜂がふっくふくですね~
切花のリンドウはあんまり開いたのを見たことがありません。
お日様に透けたブルーが、とっても綺麗ですね。
ホトトギスは、斑な模様がちょっと気持ち悪かったかな?
今は可愛いと思うのだから、不思議なものですね。
by 猫ふみふみ (2005-11-15 10:00)
◇ lapis さん ありがとうございます。2005-11-11 23:45)
このリンドウは、紫と言うより青に近いので、 lapis さん好みかも知れませんね(^^♪
僕は、「野菊の墓」の前回引用した部分に続いて、必ずこのシーンも思い出します。
TB、いつもありがとうございます。
◇ じゅんぺい さん ありがとうございます。
多分、受粉を確実にするための、リンドウの策略ですね!
ホトトギスは、ランの一種のようにも見えますね。
◇ mimimomo さん ありがとうございます。
ここのリンドウは、紫と言うより青い色でした。
昆虫も花の少なくなる頃は、大変だろうと思います。
◇ 座敷わらしっこ さん ありがとうございます。
最近は、園芸品種も多いようですね。
ピンクの花も、見たことがあると思います、
◇ mippimama さん ありがとうございます。
日当たりが良過ぎると、白っぽく飛んでしまうことがありますね。
僕は、自分の体で日陰を作って撮ったりもします。
◇ SilverMac さん ありがとうございます。
このリンドウは、紫と言うより青という感じでした。
ホトトギスも、案外花期の長い花ですね。
◇ ナナ さん ありがとうございます。
ここに咲いていたリンドウは、色が淡いので、より可憐な感じがしました。
ホトトギスは、小さい頃には本当に不気味にしか見えませんでしたよ・・・。
◇ Runa さん ありがとうございます。
蜂は、可愛かったです!
でも、動きが素早くて、なかなか撮れませんでした・・・。
◇ m-tamagoさん ありがとうございます。
語源は、はっきりとは分かりませんでしたが、漢方薬らしい名前ですね。
やはり、どちらも茶花に利用されるのですね。確かに、そういう風情の花だと思います。
◇ 三奈 さん ありがとうございます。
僕も、飾ってある花も、美しいとは思いますが、外で自然に咲いている花ほどには、心惹かれることが少ないかも知れません。折角活けた方には、ちょっと申し訳ない気もしますが・・・。
◇ gillman さん ありがとうございます。
こういう見事な色合いは、人工では作り難いかも知れません。
ただ、それを写真でどこまで再現できるのか?写真も、人工のものですから、難しいですね・・・。
◇ 春分 さん ありがとうございます。
昆虫は、よく見ているとなかなか可愛いものですね!
あらまぁ、また偶然だ。
◇ tanaka-ma3 さん ありがとうございます。
本当に、偶然が続きますね!
◇ 渋樹 さん ありがとうございます。
リンドウは、蜂が奥まで潜り込むことで、受粉の可能性を高めているのかも知れません。
◇ sera さん ありがとうございます。
この蜂の仲間は、よく花の中に潜り込むようです。
ホトトギスは、アップにしてみると、立派なランのようですね。
◇ penpen さん ありがとうございます。
エゾリンドウは、花弁の先が立ったままになるのが、特徴だそうです。
蜂は、何度もあちこちの花に出入りしていました。
◇ atom さん ありがとうございます。
秋には、紫の美しい花が多いですね。
◇ fumilin さん ありがとうございます。
この色も、秋の色ですよね!
◇ puripuri さん ありがとうございます。
ちょうど、蜂の大きさと合っているみたいです。
暫くもぐって、蜜を吸ってから、またもぞもぞと這い出て来て、次の花へと飛んで行きました。
ホトトギスの種は、また行ければ見て来たいと思ってはいるのですが・・・。
◇ barbie さん ありがとうございます。
僕は、前の記事に引用した部分と同時に、いつもこのシーンを思い出します。
ちょっと切ないですね・・・。
◇ sanesasi さん ありがとうございます。
リンドウは、亡くなった母も大好きな色の花でした。
僕の撮ったリンドウは、少し淡い色のようですが、僕はこの色も好きです。
◇ maya さん ありがとうございます。
白もあるそうです。
最近は、ピンクのリンドウもあるようですよ。
◇ 猫ふみふみ さん ありがとうございます。
そうですね。あの模様は、不気味に感じました。
僕は、花の中では特にユリが好きなので、その仲間と知って、ちょっと見る目が変わったように思います。
by albireo (2005-11-15 19:55)