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参内傘 <サンダイガサ> [野草]

                        ツルボ 蔓穂  ユリ科 ツルボ属

『蔓穂(つるぼ)』という名の、薄紫の小さな花です。
鱗茎で増えるため、群をなして咲いている所をよく見かけます。
葉が、見当たらなかったので調べると、花が終わる頃出て来るということでした。

鱗茎にデンプンを含む為、食用にもなるようです。また葉もゆでたり,いためたりして食べられるということです。

『蔓穂』という名前の意味は、よく分っていません。
別名を『参内傘(さんだいがさ)』と言いますが、これは昔の公家(くげ)や大名が、宮中に参内するときや儀式の時に、従者が差しかけた傘に姿が似ていることに由来するといいます。

どんな傘なのか知りたくて、あちこち調べたところ、『古事類苑』という明治時代に編纂された百科史料事典に図が載っていました。
骨を内側へ曲げて作った、柄の長い和傘のようですが、「袋入り傘」ということで、袋には紐などを垂らして、飾ってあるようです。
(図に『露(つゆ)』とありますが、紐などの垂れた先端を『露』というのだそうです)

                     

     古事類苑  五版(縮刷普及版)器用部Ⅱより
        吉川弘文館・刊(昭和51年より刊行)

 尚、図に「守貞漫稿」とあるのは、この項目の出典が、江戸時代に書かれた喜多川守貞という人の書いた本にあることを示しています。この本は、『近世風俗志』という書名で、岩波文庫から出版されています。

・・・と、言うことですが、そんなに似てはいないような気がしました・・・。


この『蔓穂』は、大分以前に記事にした、『シラー』の仲間だということです。
http://blog.so-net.ne.jp/albireo/2005-05-26
↑この記事にシラーの写真があります。
全体の感じは、シラーに似ているとも思えませんが、一つ一つの花の形は、似ているかも知れません。
ちなみに、『シラー』の和名は『大蔓穂(オオツルボ)』と言います。


↓またまた、ヤマトシジミが来ていました。

 

     薄紫の小さな花が

     野原に咲いていました

     その小さな花には

     やっぱり小さな蝶が

     花の一部分になったように

     すまして止まっていました


     優しい秋の風が吹いて

     小さな花がそっと揺れると

     小さな蝶も一緒になって

     まるで飛ぶことを忘れたように     

     静かに揺れているのでした  


     もしかしたら小さな蝶は

     ただ一箇所に留まって

     静かに咲いていられる

     小さな優しい花に

     なりたかったのでしょうか


     けれど野に咲く小さな花は

     大空を自由に飛んで

     どこへでも旅立って行ける

     小さく可憐な蝶に

     憧れているのかも知れません

 

 

薄紫の可憐な花は、群をなしてはいても、ひっそりと目立たずに咲いていました。

 


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ao

aoは最後の写真が特に好きです。背景の花のボケ味が良い。
まとまってるとわからないけど,一つ一つは興味深い形ですね。
by ao (2005-10-02 15:46) 

ツルボもいい紫色をしていますね。わたくしも今年はHPの方に載せました。昨年はじめて知ったお花でしたが、今年はいたるところで目に入ります。これもブログの影響でしょうか・・・^^
by (2005-10-02 16:09) 

shareki

淡いムラサキが良いですね。
明治時代の百科事典、見てて飽きなさそう、興味深いです。
by shareki (2005-10-02 17:12) 

ヤマトシジミ、とっても可愛らしいですね!
童話風の詩と相まってとても素敵です。物語風の詩は、大好きです。
ツルボは、上品な薄紫で、とても綺麗ですね。
by (2005-10-02 17:47) 

koza

ひっそり目立たず…
そんな自分になりたい。
by koza (2005-10-02 18:34) 

Silvermac

花と蝶、素敵ですね。バックも素晴らしい。
by Silvermac (2005-10-02 19:42) 

happy7smile

線香花火みたいな花ですね。
そこに、ヤマトシジミが止まってるのがまた、いいです。
by happy7smile (2005-10-02 19:51) 

あやこ

小さな星が咲いているような感じですね^^
お花もかわいいのですが、つぼみも飴のような感じでかわいいです*^^*
by あやこ (2005-10-02 20:32) 

Runa

可愛いお花ですね。
薄紫で 小さくて とても 可憐なお花で
そんな花に また 小さな蝶が 可愛く止まってる~
空を自由に 私も 飛べたら すぐ 逢いにいけるのにね~
by Runa (2005-10-02 20:57) 

penpen

薄紫の色もいいしお花の形も可愛いですね。それにalbireoさんの大好きなユリ科ですね。詩がとってもいいです。ひとつの物語が出来そうですね。
by penpen (2005-10-02 20:58) 

IXY-nob

いつものことですが、ご研究熱心には頭が下がります。昨日までの、海辺の写真もいいですね。逆光のキラキラステキです。以前の記事はniceだけで、失礼します!
by IXY-nob (2005-10-02 22:29) 

atom

紫色がカワイイ花です。秋の花には紫が多いですね。
by atom (2005-10-02 22:30) 

本当に可憐っていう言葉の似合う花ですね。
私は、こういうピンクっぽい紫色が大好きなんです。 可愛いな~。。
by (2005-10-02 23:48) 

まい

「蝶は花になりたくて、花は蝶になりたい」なんて素敵な詩ですね。
葉は花が終わる頃にでてくるなんて変わってますね~他にもこういう植物はいっぱいあるのかな?
by まい (2005-10-03 00:25) 

ziziblog

ツルボ、いい花ですね。花時は葉が見られないんでしたっけ、ヒガンバナのように。
別名サンダイガサというんですか、そして、オオツルボ、勉強になります。
by ziziblog (2005-10-03 07:45) 

Baldhead1010

薄墨色のきれいな花ですね。
by Baldhead1010 (2005-10-03 08:38) 

puripuri

こちらの絵を見て時代劇の行列を想い浮かべてしまいました。
名付けにはロマンがあっていい。可愛い花ですが、山でないと見られない
のでしようか?
by puripuri (2005-10-03 10:57) 

猫ふみふみ

大名行列と聞いて、「したに~したに~」という声をまず思い出しました。
ツルボの下では案外虫たちの大名行列が繰り広げられているかも知れませんね。
by 猫ふみふみ (2005-10-03 11:22) 

SomethingPrecious

シラー・シビリカを、玄関周りに植えています。咲くのは早春のみ。
花は確かにこちらより大きく、形は似ていますが、穂になっている分こちらのほうが豪華に見えます。シラー・シビリカは殆ど青ですが、これはなんともいえない優しいラベンダー色ですね。
見過ごしてしまいそうな花、いつもよく見つけられます。植物園のようなところへいらっしゃるのでしょうか? 由来の傘まで載せていただいて、おかげ様で物知りになれます。
by SomethingPrecious (2005-10-03 14:42) 

akamaru

まるでリカの教科書みたいにくっきり!
by akamaru (2005-10-03 16:05) 

albireo

◇ ao さん ありがとうございます。
色合いのせいもあって、輪郭がぼんやりした感じですが、よく見ると面白い花だと思います。

◇ mimimomo さん ありがとうございます。
HPも、拝見させて頂きました。mimimomoさんの撮られた花の方が、色が濃くて紫の色がはっきりしているように思えます。
僕も、ブログのせいか、小さな花がやたらと目に付くようになりました。

◇ 渋樹 さん ありがとうございます。
『古事類苑』は、面白い本ですが、漢文からの引用は漢文のままなので、なかなか読むのは大変な本です・・・。

◇ lapis さん ありがとうございます。
一時代昔のような、文体で書いてみました。
いつか、これを元にした童話を書いてみたいと、ふとそんなことも思っています。

◇ こざき さん ありがとうございます。
編集というのは、やはり裏方のお仕事なのでしょうね。
目立たず、でもどこかで自己主張も必要な、難しい面があるように思います。

花と蝶、素敵ですね。バックも素晴らしい。
◇ SilverMac さん ありがとうございます。
群になって咲いているので、後の花が上手くボケてくれました。

◇ ハッピー さん ありがとうございます。
確かに、雄蕊の感じが線香花火のように見えるかも知れませんね!
ヤマトシジミには、最初は気付かずに撮っていました。

◇ あやこ さん ありがとうございます。
以前、あやこさんの記事で教えて頂いた、シラーの仲間だと知って、ちょっと驚きました。
つぼみは、確かにこんな飴がありますね!

◇ Runa さん ありがとうございます。
前のトンボの記事から、ずっと空への憧れみたいな詩になっていましたね・・・。
やっぱり、僕自身が空を飛ぶことに憧れているのかも知れませんね・・・。

◇ penpen さん ありがとうございます。
僕が、ユリが好きなことを覚えていて頂いて、とても嬉しく思います。
いつか、そんな童話を書いてみたい気もしています。

◇ IXY-nob さん ありがとうございます。
研究熱心ではなく、単なる好奇心です・・・。
前の記事にもnice!を頂き、ありがとうございます。

◇ atom さん ありがとうございます。
そうですね、秋の七草にも紫色の花がいくつも含まれていますね。

◇ koyuri さん ありがとうございます。
気に入って頂いて嬉しいです!こういう淡くて優しい感じの色って、いいですね!

◇ まい さん ありがとうございます。
最初、蝶がいることに気が付きませんでした。
まるで、花に化けているようにじっとしていたので、こんな詩を思いつきました。
花と葉が一緒に出てこない植物は、案外色々ありますね。
例えば、彼岸花もそうですが、こちらは葉が冬にでて春に枯れてから、花の付く茎が出て来ます。
それから、全然違う植物ですが、桜も染井吉野などは、花が終わる頃に葉が出て来ますね。

◇ zizi さん ありがとうございます。
参内傘という名に惹かれて、傘のことを調べてみました。
開いたところも見たかったのですが、家にある本ではここまでしか判りませんでした。

◇ Baldhead1010 さん ありがとうございます。
淡い、優しい色をしていますが、そのせいか目立たない花だと思いました。

◇ puripuri さん ありがとうございます。
本当は、傘自体を見たかったのですが、外の袋しか判りませんでした・・・。
この花は、山ではなく野原のようなところに咲いています。
僕が撮ったのは、家の方の海浜公園と、皇居の東御苑です。

◇ 猫ふみふみ さん ありがとうございます。
僕がいたときには、ヤマトシジミだけでしたが、人がいないときには、もっと沢山の虫たちが来るのかも知れませんね!

◇ きまぐれな人魚 さん ありがとうございます。
僕が知っているのは、シラー・ベルビアナ種だけですが、やはり青い色で、同じ仲間と知るまでは、全然シラーのことは思い出しませんでした。
この写真は、家の方の海辺の公園と、皇居の東御苑で撮りました。
名前の由来の傘の件は、僕自身の好奇心です。

◇ あかまる さん ありがとうございます。
出来るだけ細部まで、ちゃんと写しておかないと、名前を調べる時に分かり難いものですから・・・。
by albireo (2005-10-03 17:46) 

ユナ

昨日、蝶々の止まってるところを撮ろうとしましたが
近づくと逃げられてしまいダメでした。。。
by ユナ (2005-10-03 22:54) 

sera

ちょっと似ているかも、、、
この花は見たことがないんです(^_^;)
蝶々の写真のバックが面白い~虹みたいな曲線♪
by sera (2005-10-04 08:56) 

barbie

舞妓さんのかんざしのように見えました(^.^)
by barbie (2005-10-04 12:01) 

m-tamago

はじめまして。
縁あってこちらにたどり着きました、たまごと申します。
すばらしい内容ですね。まだ最初の方しか読めていませんが、これから
ゆっくり読ませて頂こうと思っています。
写真も美しく、気持ちが癒されます。

私は茶道や日本の美しい風景,お寺散策などが好きです。
gooで、茶道のブログを作っているのでお時間あったら寄ってみて下さい。
http://blog.goo.ne.jp/m-tamago/
by m-tamago (2005-10-04 12:36) 

albireo

◇ ユナ さん ありがとうございます。
チョウもトンボも、もうちょっとだけ待っていてくれれば!ということが、結構多いですね・・・。

◇ sera さん ありがとうございます。
蝶々の写真のバックは、イネ科の草の細い葉ですが、確かに虹のようですね!
もう少し早く気が付けば、詩の内容も変わっていたかも知れません!

◇ barbie さん ありがとうございます。
横にしてみたら、花簪のように見えますね!

◇ m-tamago さん はじめまして。ありがとうございます。
古い記事には、so-netの容量の関係もあって、画像を外してしまったものもあり、申し訳ありません。
神社やお寺に行くことは大好きですが、茶道には興味はありながらも未知の世界です。
後ほど、お邪魔させて頂きたいと思いますので、宜しくお願いします。
by albireo (2005-10-04 18:44) 

シラーの仲間でしたか。なるほど。
by (2005-10-04 19:47) 

実物を見てみたい!
綺麗なパープルがいいなあ。
by (2005-10-04 23:42) 

albireo

◇ tanaka-ma3 さん ありがとうございます。
図鑑で改めて調べなければ、僕もそうは思わなかったと思います。

◇ fumilin さん ありがとうございます。
先週末ごろまでは、皇居の東御苑で咲いていましたが、今はどうか分かりません。
ただ、実物は決して目立つ花ではありません。
by albireo (2005-10-05 00:02) 

ナナ

わぁ・・・今回の詩は、ちょっと宮沢賢治みたいですね。
!そういえば、お好きでしたっけ?

私、最近、全然物語書いていないなぁ・・

ところで、随分、読者方たちが変わりましたね。
時代は流れているんだナァ・・しみじみ
by ナナ (2005-10-05 20:46) 

albireo

◇ ナナ さん ありがとうございます。
確かに、ちょっと童話風でしたね。
ナナさんの物語も、また読みたいですね!
いっそ、今度so-netではじめた「ゴールデン・ブログ・アワード」に参加しませんか?ナナさんなら、大賞100万円!取れるかも知れませんよ!
(so-netブログに籍がある訳だし!)

最近、新しい方たちがコメントを下さるようになりました。
so-net以外の方も多くなって、とても有難い事だと思っています。
by albireo (2005-10-06 00:56) 

mimimomo

おはようございます^^
新規記事かと思うほど、昔のこと忘れています(-。-
管理ページアクセス解析(昨日分)を見ていたらここに入り込みました^^
ツルボの名(参内傘)も初めて読むようで、すっかり忘れていますね(__;
by mimimomo (2018-09-02 06:59) 

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